第8章 第4節 環境変数と公式構造変数との交互作用効果【第8章の目次へ戻る】仮説に戻る【つぎへ】

 本節では、環境変数と公式構造変数との交互作用効果が創発的構造変数、非公式構造変数、および、生産性変数に対してどのような影響を与えるか「工業デザイン・サンプル」を対象として分析する。なお、創発的構造変数および非公式構造変数に対する環境変数と公式構造変数との交互作用の分析は、第6章で提示した仮説には含まれない探索的分析ではあるが、ここで取り扱うことにした。
 本節での分析結果から、第4仮説群「環境変数と構造変数との交互作用効果についての仮説」はつぎのように評価できよう。
 仮説4「環境変数と公式構造変数との交互作用効果は成果変数に影響を与える」は、環境の異質性に関する仮説を除いて部分的に支持された。
 仮説4−1「環境の異質性と標準化との交互作用効果と成果変数とは正の相関関係にある」は支持されなかった。
 仮説4−2「環境の異質性と集権化との交互作用効果と成果変数とは負の相関関係にある」は支持されなかった。
 仮説4−3「環境の変動性と標準化との交互作用効果と成果変数とは負の相関関係にある」はどちらかと言えば支持された。
 仮説4−4「環境の変動性と集権化との交互作用効果と成果変数とは負の相関関係にある」は、部門長の評価による環境の変動性と集権化との交互作用効果に限って部分的に支持された。
 環境変数と公式構造変数との交互作用効果が創発的構造変数、および、非公式構造変数に対して与える影響についての探索的分析は、つぎのように要約できよう。
 創発的構造変数への環境変数と公式構造変数との交互作用効果については、まず、創発的構造変数への環境の異質性および環境の変動性と標準化との交互作用効果は有意なものではなかった。つぎに、環境の異質性の程度が低い場合には集権化と創発的構造変数とは無相関であるが、環境の異質性の程度が高い場合には集権化と創発的構造変数とは負の相関関係を示した。そして、創発的構造変数への環境の変動性と集権化との交互作用効果は有意なものではなかった。
 非公式構造変数への環境変数と公式構造変数との交互作用効果の分析結果については、まず、環境の異質性と標準化との交互作用項とは非公式構造変数のなかの組合に関する変数と負の相関を示す傾向が見られた。非公式構造変数への環境の変動性と標準化との交互作用効果は有意なものではなかった。また、環境の異質性と集権化との交互作用項は一部の非公式構造変数と統計的に有意な相関を示したが、これらは創発的構造変数を統制した場合には有意ではなくなった。非公式構造変数への環境の変動性と集権化との交互作用効果は有意なものではなかった。

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