第8章 第5節 生産性の説明モデル【第8章の目次へ戻る】

 ここでは、分析結果の要約として、生産性変数を最終従属変数とする分析モデルを提示することにしたい。
 このモデルによれば、まず、部門長の評価による生産性は標準化によって説明され、標準化は部門の規模によって説明された。つぎに、自己評価による生産性は自律性および一貫性という創発的構造変数によって説明され、自発性を含めてこれらの創発的構造変数は注文生産志向と集権化との交互作用項によって説明された。そして、相互評価による生産性は、会社への支持および組合への動員の主効果と、相互評価による変動性と標準化との交互作用効果および部門長の評価による変動性と集権化との交互作用効果によって説明された。また、相互評価による生産性を説明する会社への支持は仕事への支持によって説明され、仕事への支持は自律性および自発性によって説明された。
 時間的な順序関係が認められる因果関係として、自律性が向上すれば仕事への支持が向上し、仕事への支持が向上されば会社への支持が向上し、会社への支持が向上すれば相互評価による生産性が向上する、という因果連鎖モデルを提示することができよう(図3)

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