7 有効性 【本書の目次へ戻る】

 組織の有効性(effectiveness)とは組織の目的、および、組織の目的をより具体化した組織目標が達成されている程度である。環境の変動性は分析不可能で予測が困難な情報負荷を組織に課するものであり、標準化は臨機応変な個別的対応ができないのでこのような環境には適応できないために環境の変動性が高くかつ標準化が低ければ有効性は高い環境の異質性は組織が処理すべき情報量を増加させるが、この情報は例外発生の頻度が高くとも分析可能で比較的予測可能なものである、と考えられるために、形式合理的な官僚制化によって削減する方策が有効である、と考えられるため環境の異質性が高くかつ官僚制化が高ければ有効性は高い、ことは組織の外部環境についての情報エントロピーが低ければ有効性は高くなるという本書の第二命題を支持している。自律性または自発性が高いことは、課業遂行者の課業に対する予測可能性が高く組織のコミュニケーションにおける情報エントロピーが低いことと、組織が組織成員に対して仕事のやりがいという誘因を提供している程度が高いことを意味するため、仕事の目標と課業遂行者の目標とが一致している程度を高め、さらに、仕事への支持の程度が高いことは、仕事の目標と課業遂行者の目標とが一致している程度が高く、課業遂行者の仕事の目標への理解可能性が高く、組織のコミュニケーションにおける情報エントロピーが低いことを意味するため、組織目標と課業遂行者の目標とが一致している程度を高め、さらに、会社への支持の程度が高いことは、組織目標と課業遂行者の目標とが一致している程度が高く、課業遂行者の組織目標への理解可能性が高く組織のコミュニケーションにおける情報エントロピーが低いことを意味するため、組織の有効性を増加させることから、自律性または自発が向上すれば仕事への支持が向上し、仕事への支持が向上すれば会社への支持が向上し、会社への支持が向上すれば相互評価による生産性が向上することは、本書の第一命題である、組織のコミュニケーションにおける情報エントロピーが低ければ能率は高くなる組織のコミュニケーションにおける情報エントロピーが低ければ有効性は高くなる、を支持している。自律性および自発性をネットワーク型組織の指標と考えるならば、ネットワーク型組織は仕事への支持および会社への支持という能率を媒介して有効性を向上させる、と判断できよう。

Copyright by 2007 Ogiso, Michio
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