ホーム >> COEプログラム事業の遂行と成果について >> a. 調査 >> グループ2「神道・日本文化の形成と発展の研究」 東海・近畿地方神社調査 | |||
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東海・近畿地方神社調査報告 1 調査目的 今回は、これまでの神社立地に関する調査を踏まえつつ、 ・著名神社と、神社に関連すると見られる古代祭祀の総合的な状況把握 ・地域社会と神社との関係 という2点に重点を置き、実地調査を行った。 参考 愛媛県東予・中予地域神社調査報告 http://21coe.kokugakuin.ac.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=26# 長野県北信地域(旧信濃国)神社調査報告 http://21coe.kokugakuin.ac.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=71# 2 調査日 平成15年11月27日(木)〜30日(日) 3 調査先 熱田神宮(愛知県名古屋市熱田区神宮) 真清田神社(愛知県一宮市真清田) 各務原市埋蔵文化財調査センター(岐阜県各務原市那加門前町) 城之越遺跡(三重県上野市比土) 大神神社(奈良県桜井市三輪) 石上神宮(奈良県天理市布留町) 4 調査参加者 岡田 莊司(事業推進担当者) 加瀬 直弥(COE研究員) 小林 宣彦(COE奨励研究員) 永田 忠靖(大学院文学研究科博士課程後期) 鈴木 聡子(大学院文学研究科博士課程前期) 根本 祐樹(大学院文学研究科博士課程前期) 5 調査の詳細 5-1 神社および祭祀の場の把握について 今回確認した愛知県の神社と大神神社摂社・狭井神社については、水源との関係が示唆された。特に熱田神宮については、元々本殿があった場所の真北の清水社北側に湧泉が存在していた点が確認でき、これまでの調査でも注目してきた要素が存在していたことがわかった。また、真清田神社については、木曽川水域の伏流水が流れる場所である点、さらに、扇状地の扇央である点から、島根県の青木遺跡(島根県出雲市東林木町)の立地上の特徴と一致する点が理解できた。 熱田神宮清水社北側 真清田神社 一方で、奈良県の神社については、大神神社が、後背の三輪山に水源を発する巻向川と初瀬川を外縁としたちょうど中間、すなわち祭壇と見立てられる地形上に禁足地がある点や、石上神宮も、禁足地の北側から礼拝していた形跡があり、これを踏まえて地形を確認すると、大神神社と同様の配置を有していることが理解できた。これは、今までの事業に基づいて確認された諸神社の状況とは違った立地上の特徴と解釈できよう。 また、水辺の祭祀の遺構として注目される城之越遺跡については、各務原市埋蔵文化財調査センターにて、各務原市教育委員会の渡邉博人氏から説明を受けた岐阜県内の祭祀遺跡や、これまでの調査で見てきた状況とは違い、複数ある湧水点への祭祀が確認できない一方で、そうした水が合流する場所に祭祀を行った跡が存在した。 城之越遺跡 5-2 地域社会と神社との関係 この点については、岐阜大学助教授の早川万年氏より、古代神社を研究する上での要点として、以下の点等をご教授賜った。 ・祭祀の場が神観念との関係で変質する点と、その過程について確認する必要がある点 ・『延喜式神名帳』などの記載を見ても明らかなように、神社行政においては、郡が重要な意味を持つ点 早川氏との面会 今回、そして、これまでの調査によって、神社と神社に関する祭祀の地域的な特徴をより総合的、専門的に検討する必要性が理解できた。来年度以降の事業計画に、こうした分野からの知見をさらに得て、古代神社の実態を探求していきたい。 なお、今回調査に協力頂いた関係者各位、特に、本事業と関連させることに留意されながら知見を提供して頂いた早川万年氏に、この場を借りて深謝したい。 文責:加瀬 直弥(COE研究員) |
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