神道と日本文化の国学的研究発信の拠点形成 Kokugakuin University
 メニュー
  • ホーム

  •     ・COEプログラムのご案内
        ・最新のお知らせ
        ・最近の刊行物
    
ホーム >> COEプログラム事業の遂行と成果について >> a. 調査 >> グループ2「神道・日本文化の形成と発展の研究」
スイス・フランスにおける在外護符資料調査 
公開日: 2006/2/14
閲覧数: 3932 回
Size 4708 bytes
印刷用ページ
 
1.調査期間

平成17年10月30日〜11月6日

2.調査地
スイス  ジュネーブ ジュネーブ市立民族学博物館
フランス パリ    コレージュ・ド・フランス日本学高等研究所

3.出張者

千々和 到(事業推進担当者)
平藤 喜久子(日本文化研究所講師・COE事業推進協力者)
太田 直之(國學院大學21世紀研究教育計画委員会嘱託研究員)

4.調査の目的

 本調査は、平成15年度より過去2回にわたって実施してきた、ヨーロッパにおける日本の護符の大規模コレクション調査の第3回目である(過去の調査については神道と日本文化の形成と発展に関するパリ・ロンドン調査報告フランス パリのコレージュ・ド・フランスにおけるベルナール・フランク護符コレクションを中心とする、護符調査報告を参照)。今回は、スイスのジュネーブ市立民族学博物館で所蔵している、フランスの考古学・人類学者ルロワ=グーラン収集の護符コレクションに対する調査、およびフランスのコレージュ・ド・フランス日本学高等研究所に寄託されているベルナール・フランク護符コレクションの補足調査を目的とした。

5.調査の概要

<ルロワ=グーラン護符コレクション>
 本コレクションは、フランスの著名な人類学者・考古学者であるアンドレ・ルロワ=グーランが、外務省の留学生として来日し、滞在していた1937年から39年にかけて収集したものである。彼の没後、遺族によってスイスのジュネーブ市立民族学博物館に寄贈され、現在同館の所蔵となっている。
 このコレクションの最大の特徴は、その収集期間がわずか二年間の間に特定できることであろう。一般に護符に類する資料は発行年月日などが記載されることは殆ど無く、したがってその護符がいつ発行されたものであるかを特定することはまず不可能であるが、グーラン・コレクションは、彼自身が現地に赴き収集したものに関しては、少なくとも彼の来日中である1937年から39年の間に発行されたものであることがわかるのである。これにより、護符の時代的な変化を追う上での一つの基準を得られることの意義は大きい。
 次に本コレクションの概要について、現在整理中であるため正確な数は確定できないが、今回確認し得た範囲では総数で600点余を数えることができた。ルロワ=グーランはこれらの護符を、分析の目的毎(地名・本尊など)に10冊のファイルに分けて整理しており、現在の整理はこの分類にそって行なわれている。
 さらにこれらの護符の中身について述べると、大多数が神社の祭神や寺院の本尊を描いた絵札であり、収集対象となっている地域はグーランの留学先が京都であった関係からか、京都を中心とする関西の社寺が圧倒的多数となっている。さらに特徴的なのは、四国八十八ヵ所霊場および西国三十三ヵ所観音霊場の巡礼寺院発行の護符がほぼ全て揃っていること、同構図で版や発行社寺の異なる護符が意識的に収集されていること、高野山や大峰山・醍醐寺といった修験関係の護符を多く見出すことができること、などを指摘することができる。
 今回の調査では、本コレクションの内380点程度について本尊名・発行社寺・文字情報などを記入した目録を作成し、さらに特徴的なものについては写真撮影を行なった。
 今後はこれらの資料をもとに全点の目録を完成させ、さらに併行して実施しているフランク・コレクションとの比較分析を実施していく。

awashima
ルロワ=グーランによる整理の一例。加太神社(現淡嶋神社)の玉串。書き込みはルロワ=グーランによるもの。

hase kirihata
西国8番 長谷寺                  四国10番 切幡寺

<ベルナール・フランク護符コレクション>
 フランク・コレクションに関しては、昨年度調査までで大部分の写真撮影を終了しており、今回の調査では保存のための整理および新出資料の補足調査を実施した。
 新出資料としてはフランク氏が収集した護符の内、氏自身の整理によって別置されていた護符50点余、およびフランク氏が知人から贈られ、あるいは古美術商より購入した近世末から明治のものと思われる大型の絵札類があり、これらについて撮影を行った。この内前者は祈祷札等の文字の札を中心に構成されており、絵札を中心として日本の神仏のパンテオンを再現しようとしたフランク氏の整理・収集方針が分かるという意味で興味深い。

 以上が今回の調査の概要である。各コレクションの調査を通じて得ることができた資料・情報に関しては現在鋭意整理・分析作業が進行中であり、整理作業が終了でき次第公開する予定である。

 最後になるが、ジュネーブ市立民族学博物館の担当者ジェローム・デュコール氏ほかの方々、フランク・コレクション調査でお世話になった仏蘭久淳子氏、松崎碩子氏、ジョセフ・キブルツ氏をはじめとする方々のご好意に深く感謝する。

(文責 21世紀研究教育計画委員会嘱託研究員 太田直之)
 
このセクションの目次に戻る | 総目次に戻る
このページに対するお問い合せ先: 研究開発推進機構事務課

國學院大學研究開発推進機構 〒150-8440 東京都渋谷区東4-10-28
TEL 03-5466-0162
Copyright © 2002-2004 Kokugakuin University. All rights reserved.