輜重輸卒制度は軍専用の輸送従事要員を用意しておく必要性から明治12年(1879)に発足され、翌13年より召集された。平時数か月間の短期教育を受け、戦時の輜重部隊の輸送要員に充用される臨時の兵員で、身分は二等兵と同等であったが、歩兵第一主義の思想が強かった旧陸軍では最下位の兵科とみなされていた。鉄道を占領する前の日本軍の輸送は人馬によっており、日清戦争時代(→「日清戦争」参照)と変わらなかった。日清戦争では軍夫(従軍労働者)が担当していた任務を日露戦争(→「日露戦争」参照)では輜重兵や輜重輸卒が担当した。山形県の輜重輸卒は主に第八師団に編成され、黒溝台会戦などで活躍した。