第5章 組織構造の三次元モデル【第2部の目次へ戻る】
第1節 組織と合理性
第2節 組織構造の三次元
官僚制理論とヒューマン・リレーションズという組織理論の二大潮流のうちの、前者はマクロな組織の公式的側面を、後者はミクロな組織の非公式的側面を分析対象としていた。そこで、本章では、組織のマクロな公式的側面とミクロな非公式的側面とを連結することを目的とする概念枠組である、組織構造の三次元モデルについて検討する。組織構造の三次元モデルとは、組織構造を公式構造、創発的構造、非公式構造という三つの次元から記述する概念枠組のことである。この概念枠組は、組織成員個人を調査単位とする職務特性や帰属を組織単位でアグリゲートすることにより、これらを組織構造と位置づけ、公式構造などの組織を調査単位とする変数との関係の分析を可能にすることを意図するものである。
本章では、まず、合理性概念の吟味を行い、そして、先行研究における組織構造の次元の検討を踏まえて、組織構造の三つの次元を定義することにしたい。
組織構造の三次元モデルとは、組織構造を、公式構造、創発的構造、および、非公式構造という三つの次元から記述する概念枠組のことである。そして、公式構造は予測可能性とりわけ形式合理性を向上させる保存的自己組織化と、創発的構造は散逸的自己組織化のうちの予測可能性と理解可能性の両方とも低下させるゆらぎの自己増幅過程と、非公式構造は散逸的自己組織化のうちの予測可能性と理解可能性の両方とも再び向上させる自己創出過程との関連が深い。
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