第2部 自己組織化モデルと組織構造の三次元モデルの概念枠組【本書の目次へ戻る】
第4章 自己組織化モデル
第5章 組織構造の三次元モデル
第6章 仮説の提示
第2部では、第1部で検討した先行研究の問題点を踏まえたうえで、組織の公式的側面と非公式的側面との両方を掌握でき、かつ、組織を均衡維持的な構造保存的システムだけではなく自己創出的システムとしても捉えられる概念枠組の考案を試みる。そこで、まず、第4章では、組織を自己組織化という視点から再概念化することを通じて、組織に関する諸変数間の理論的根拠を説明するための概念枠組である、自己組織化モデルについての検討を行う。つぎに、第5章では、組織の公式的側面に関するマクロな属性と非公式的側面に関するミクロな属性との関係の分析を目的として、合理性などの組織に関する諸概念の吟味を通じて、組織構造を記述するための概念枠組である、組織構造の三次元モデルを提唱する。そして、第6章では、これらの概念枠組に基づいて、第3部での調査研究のための仮説およびその理論的根拠を提示する。
自己組織化モデルは組織の構造よりも過程を重視する理論であるが、継起的な組織過程についての命題の一般化を可能にするような多くのケースの時系列データを収集することは非常に困難である。そこで、調査研究のうえでは共時的な横断的データの収集を前提として、公式的および非公式的な組織過程の共時的なパターンを組織構造として記述・測定する概念枠組として組織構造の三次元モデルを用い、自己組織化モデルは組織構造の三次元モデルに準拠して測定された変数間関係の理論的根拠を説明するための概念枠組として用いることにした。つまり、自己組織化モデルは、組織過程に関する直接的には経験的に検証し得ない変数間関係の理論的根拠の説明を担当し、また、組織構造の三次元モデルは、調査によって収集された公式的および非公式的な組織過程の共時的なデータを組織構造という視点から記述することを担当するものであり、両方の概念枠組をもって組織の過程−構造分析を行う。
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