収 蔵 資 料


 収集の理念は、博物館法に準拠し、日本考古学に関する資料を網羅的に収集し、分類・保存・展示し、斯学の発展、普及に寄与し、本学考古学、博物館学実習に備えるところにある。
 国内外の考古資料を中心に民族(俗)資料を含む収蔵資料は約9万点を数え、その代表的なものは展示室において公開している。

 旧石器時代
 北海道白滝村の一括資料をはじめ、新潟県壬遺跡、長野県柳又遺跡、同男女倉遺跡、同小坂遺跡など各地の資料を網羅的に収蔵している。

 長野県柳又遺跡の後期旧石器 (細石刃・細石刃石核・ナイフ形石器・彫器など)

 縄文時代
 縄文時代の遺物は、本館収蔵品の中でも充実しており、関東以北の資料を中心に2万点以上の収蔵品を誇る。中でも長野県石小屋洞窟遺跡出土の
微隆起線文土器及び、長野県柳又遺跡、新潟県壬遺跡など縄文時代草創期の希少な遺物を公開している。また、縄文時代前期の花鳥山遺跡出土遺物、中期の神奈川県野川遺跡、土橋遺跡出土遺物、晩期では秋田県大野遺跡の一括資料を公開している。縄文時代の土製耳飾りや石製装身具類、土偶、土版といった祭器も数多く収蔵している。


考古学資料館縄文土器データベース

        

 旧石器・縄文時代展示コーナー        縄文土器(中期)茨城県石岡市出土       
 

 弥生時代
 弥生時代を代表する遺物に銅鐸があげられる。本館では銅鐸出土遺跡として全国的に名高い、伝滋賀県大岩山出土の
袈裟襷文銅鐸を所有している。また、わが国最古級クラスとされる熊本県斎藤山遺跡出土の鉄斧や関東地方では弥生時代初期に属する神奈川県岡津古久古墳出土の一括土器、同県秦野市平沢出土の土器を一括で所蔵している。

         

         石包丁の使用                  甕棺 北部九州出土
 

 古墳時代
 古墳時代遺物では、国の
重要文化財に指定されている千葉県姉ケ崎二子塚古墳出土の石枕や茨城県常陸鏡塚古墳出土滑石製模造品、奈良県ホケノ山出土画文帯神獣鏡の他、各期に及ぶ中国鏡、長野県片山出土の挙手人面土器、静岡県洗田遺跡、千葉県遺跡の土製模造品、福島県建鉾山遺跡出土の滑石製模造品等の神道考古学関連遺物が充実している。また、器物埴輪の他、力士埴輪や武人埴輪、動物埴輪など各種のバリエーションに富んだ埴輪資料を収蔵している。

   

   古墳時代展示コーナー                  武人埴輪 群馬県長久手古墳


 歴史時代
歴史時代の主な資料は、奈良時代の一括資料である神奈川県下曽我遺跡出土遺物や各地の国分寺瓦、瀬戸、常滑、信楽などの中世古窯、蔵骨器、経塚遺物、板碑などの他に、高札や江戸青山上水の水道管などの近世資料も展示している。

 

中世の蔵骨器 各地出土      古瀬戸瓶子 群馬県板倉町

 外国資料 その他
外国資料は、中国、朝鮮関係遺物が中心をなしている。中国関連では、新石器時代の考古遺物や殷代の甲骨文字・漢代の陶器・明器・貨幣・青銅器・銅鼓などで、朝鮮関係では三国時代遺物、高麗、李朝の陶磁器、青銅器などを収蔵している。その他、フィリピン、タイ、インドネシアなど東南アジア各地、太平洋諸島の石器時代遺物、南北アメリカ考古資料など比較関連資料を収蔵、展示している。
その他、東南アジア各国の狩猟道具・漁労具・生活用具などを収蔵している。

 
     
銅鼓 Heger式  中国各地出土            土偶 台湾紅頭嶼  
              

             

            寄贈コレクション

寄贈コレクションコーナー           要覧

              
 野口義麿コレクション
 國學院大學専門部、慶応義塾大学を卒業後、東京国立博物館学芸部考古課先史室長を歴任、遺言によって縄文時代を中心とした膨大な資料が寄贈され、展示コーナーを設けてある。資料は北海道から沖縄県に至る広範なエリアに及び、縄文時代晩期の青森県亀ヶ岡遺跡や千葉県余山貝塚、神奈川県十三菩提貝塚出土遺物など学史的に名高い資料を含んでいる。

 

野口義麿氏      壷形土器青森県亀ヶ岡遺跡

 椛島 隆コレクション
 椛島隆氏は、世田谷中学で樋口清之博士の薫陶を受け考古学に目覚め、都下の中学校で教鞭を執る傍ら、神奈川、東京近在の遺跡を50年に亙って入念に踏査、膨大な資料を収集された。中には行政的な発掘調査がなされないまま破壊されつつあった遺跡に赴き、入念に遺物を拾い集めた行為を誰が批難できよう。完形土器21点を含め、土器片は70箱、石器類は4,000点を優に越えている。コレクションは海外にも及び、中国、朝鮮半島の石器時代遺物にも優秀なものが含まれている。

               

               椛島隆氏       土偶 東京都多摩市連光寺遺跡


 
小野良弘コレクション
 小野良弘氏は、國學院大學法学部に学び学業の傍ら考古学に興味を抱き、樋口清之博士の門下となった。卒業後は、殊に先史時代の攻玉研究に邁進され千葉県の遺跡踏査に情熱を傾けられた。神楽場 遺跡や天神台遺跡など縄文時代晩期の攻玉にかかる一括資料は、製作工程を明らかにできる第一級の資料である。氏の意志によって本館に移管された遺物は13,000点以上にものぼる。

 

  小野良弘氏        千葉県松山遺跡採集のヒスイ大珠


 徳富蘇峰コレクション
 明治から昭和時代にかけての言論人、歴史家、評論家で、その業績は神奈川県二宮町の
徳富蘇峰記念館などで知ることができる。名は猪一郎、蘇峰は号である。蘇峰コレクションは、言論活動の傍ら教養的趣味の一つとして蒐集されたもので、長男、次男によって多数の考古資料が加えられた。したがって、蘇峰単独のコレクションというよりも親子で蒐集された徳富家コレクションとして捉えた方が的確であろう。内容的には石器時代遺物・古瓦・板碑・古陶磁など極めて広範なものが含まれている。本館の収蔵品は財団法人蘇峰会が所蔵されていた約7000点に及ぶ資料が一括寄贈されたものである。

            
           
徳富蘇峰氏        阿弥陀三尊板碑 鎌倉時代 

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