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3-2 フレックスタイム勤務制(問2327

永井 雄彦

3-2-1 フレックスタイム勤務制の導入(問23

 

【規模別】規模別に見てみると、3-2-1のようになる。

 1000人未満のところではほとんどの企業が導入していないのに対して、1000人を超える企業では半分以上が導入している。このことから、規模が大きい企業の方がフレックスタイムを導入しやすいということが言える。

【業種別】また、業種別で見てみると、3-2-2のようになり、製造業での導入が多いことがわかる。逆に建設業ではほとんどの企業が導入していない。特定の時間を決めて働くことが難しい職種では導入されてないようである。

 

3-2-2 フレックスタイム勤務制の導入理由とその結果

23でフレックスタイム勤務制を導入していると回答した49社に対して、フレックスタイム勤務制の導入理由(問24)とその結果(問25)について質問した。
 まず、導入理由についてだが、仕事の成果を上げるためと答えた企業が79.6%と多かった【単純集計結果】。しかし、次の問25で導入した結果を聞いてみると、仕事の成果が上がったと答えた企業は28.6%しかなく、思い通りの成果がでていないことがわかる【単純集計結果】。だが、仕事の成果が下がったという所はないので成果という面で考えてみると悪影響を与えているということはなさそうである。さらに、問24で「仕事の成果を上げるため」と回答したか否かという導入理由別に問25で「仕事の成果が上がった」かどうかクロス集計した結果(3-2-3)、仕事の成果を上げることが導入理由であると回答した39社のうちの33.3%が結果として仕事の成果が上がったと回答していたのと比べて、仕事の成果を上げることが導入理由であると回答しなかった10社のうち結果として仕事の成果が上がったと回答していたのは10.0%に過ぎなかった。

そうはいっても、社内での連携が取り難くなったということや、顧客へのサービスが低下したという事実はあるので、フレックスタイムを導入するという事は簡単ではないようだ。なによりも、まだまだフレックスタイムの事をわかっていないということもありフレックスタイムの利点をいかしきれてないようである。

 

3-2-3 フレックスタイム勤務制を導入しない理由(問26

 

フレックスタイム勤務制を導入しない理由について自由回答で質問した。その回答は一言で要約するならば自社の勤務形態にそぐわないという事であった。フレックスタイムのように皆がばらばらに出勤してしまっては、仕事が成り立たないという事である。

  その他の理由として注目すべきだった事は、近年、裁量労働制が重要視されているのでフレックスタイムの必要性がないのではないか、ということであった。

 これはこれでよい意見だと思う。その企業の形態に合っている事をするのが一番良いことであるからだ。だが、そうはいっても、裁量労働制にはまだまだ反発もあり、みなし裁量労働制の問題や、残業を合法化してしまうのではないかといった危惧間もある。

 フレックスタイムにしろ、裁量労働制を導入するにしてもどちらがいいとかではなく、いかに自社の形態に合っているかという事である。どちらも合わないということもあるはずである。

 

3-2-4 今後のフレックスタイム勤務制導入予定(問27

 問23でフレックスタイム勤務制を導入していないと回答した92社に対して「今後、フレックスタイム勤務制を導入する予定はありますか」と質問した。現在、フレックスタイムを導入していないところは、それなりの理由があって導入していないのだから、78.3%が今後も導入予定がないのは当然である。よって、この回答結果は順当なところといえるであろう。フレックスタイム以外の労働方法の採用を予定しているということもあると思う。

 

【まとめ】

  数年前に話題になったフレックスタイムの現状ということでこの調査を行った。一時は注目されていたフレックスタイムが、それほど浸透していないということがわかり、意外であった。裁量労働制など新しい労働方法が注目されているということも原因なのかもしれない。フレックスタイムには時差通勤や、それなりによいところもあると思う。だが、その会社の事情にそぐわなければどうしようもないということか。やはり、勤務時間がばらばらになってしまうことに対するデメリットは大きいのであろう。なによりも、こういった新しい労働法に対する理解が難しいということもある。新しいことをするにはそれなりのリスクもあるし、さまざまな問題も出てくると思う。よほどの効果がないかぎり、自社の中に取り入れることにはならないのであろう。

Copyright 2001, Takehiko Nagai

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