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1-2-3.重視している能力の規模別集計結果

山内 塁・鳥居 慶一・蘇木 隆文・小嶋 嘉文

【在学時中の成績】
 規模別クロス集計の結果(表1-2-3)、非常に重視していると回答した企業は全体では3.0%であった。全体の66.0%が重視、もしくはどちらともいえないと回答している。成績も参考対象の1つではあるが、決してそれを鵜呑みにして面接(評価・判断)はしないということであろうか。
 企業規模にかかわらず、どちらともいえないが四割近くを占めついで重視するが続いた。参考にはするが決定的ではないということが伺える。

【課外活動】
 全体的に見て「重視している+どちらともいえない」で81.0%を占めており、企業における関心度の高さがうかがえる。しかし、全ての項目において「どちらともいえない」が「重視している」を上まっており、ただ課外活動を行うのではなく、その内容も企業は注視しているといえる。
 課外活動については、どちらともいえないが五割近くになったが、重視するも三割五部にいったため重視される傾向にあることがわかる。

【協調性】
 「重視している」が全体の67.0%を占めており、企業における重要度の高さは証明されているが、「どちらともいえない」も全体の2位にあたる19.0%という数字が示しているように、周りとの協調性ばかりでは、雇い主からしては十分満足はできないということである。
 協調性については重視しているという回答が七割近くにのぼり、協調性が企業に求められていることがわかる。また会社規模が大きくなるにつれて協調性が求められていることも伺える。

【プレゼンテーション能力】
 この項目も上記に記した協調性とリンクして重要といえる。 全体の60%近くが「重視している」と回答している。 注目すべき点は、全体の集計値が「協調性」とほぼ一致しているという事である。
 プレゼンテーション能力は五割近くの企業が重視していると答え500人以上の規模の会社では七割に上った。

【リーダーシップ能力】
 企業の規模が大きくなると重視される傾向が読み取れる。中企業のうちの89.1%が「重視」、または「非常に重視」している割合が多い。大企業では、少し減るものの87.5%が重視する傾向がある。全体の割合でも78%が重視していて、リーダーシップ能力に関しては全般的に必要とされている。
 リーダーシップ能力については、企業規模にかかわらず高い割合で重視する傾向にあることがわかる。また非常に重視しているとの回答も18パーセントに上った。

【コミュニケーション能力】
 リーダーシップ能力以上に、重視している傾向が強い。100〜499人の企業は95.7%が、500人以上の企業もほぼ同じ95.8%が「重視、非常に重視」となっている。しかも、「非常に重視」している企業だけでもが4割前後を占めいかに重要視されているかがわかる。一方、100人未満の企業は「重視、非常に重視」の割合が67.9%と、大、中企業に比べ重視されていない。
 コミュニケーション能力についても、全体として重視する傾向にあることがわかった。また重視していないと答えたのは100人未満の企業の3.6パーセントにとどまった。

【礼儀作法】
 上記2つの能力と同じような傾向が見られる。500人以上の企業の87.5%が「重視+非常に重視」と回答している。中企業も84.7%が重視している。しかし、500人以上および100〜499人の企業の礼儀作法能力に関しては、重視はしているけれども、「非常に重視」という回答は少なく、500人以上の企業で8.3%、100〜499人の企業で13%だった。逆に、100人未満の企業は「どちらともいえない」という企業も35.7%あったが、「非常に重視」という企業も17.9%もあり、500人以上・100〜499人の企業よりも多かった。
 礼儀作法については、重視または非常に重視が七割強を占め重要視されていることがわかる。また重要視しないまたはあまり重要視しないと答えたのは全体で3%にとどまった。

【出身校】
 「どちらともいえない、あまり重視しない、重視しない」と回答した企業が、全体の92%を占めた。特に500人以上の企業の「重視していない」という回答が37.5%と、中小企業の「重視していない」という回答の平均の倍以上と目立った結果となった。
 出身校については、この質問には重視しないという傾向が全体的に見て取れる。また500人以上の企業で重視しない、またはあまり重視しないが60パーセントを超えている。

【まとめ】
 企業は(職場で働く人にとって)肩書きよりも、その人の持つ人間性や実際の能力を重視する3)協調性・4)プレゼンテーション能力>1)在学中の成績・2)課外活動という図式が成り立つのではないだろうか、という事である。全体的に見た場合では、6)コミュニケーション能力>3)協調性・4)プレゼンテーション能力・5)リーダーシップ能力・7)礼儀作法>2)課外活動>1)在学中の成績>8)出身校、という構造が成り立つのではないかと思われる。1)在学中の成績、2)課外活動、8)出身校はすべて学校生活でのことであり、企業の中で働いていく上では必要のないものといえる。しかし、3)協調性、4)プレゼンテーション能力、5)リーダーシップ能力、6)コミュニケーション能力、7)礼儀作法はすべて今までだけでなく、企業の中でも発揮されていく能力であるため、企業から重要視されているのではないかと、考えられる。

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