2 自己生産 【本書の目次へ戻る】【つぎへ】

 自己生産(self production)とは自己の構成素または単位体を生産することである。 特定の条件を満たした場合に限定してある種類の自己生産システムが他の種類の自己生産システムを規定しあう事態を指して、条件つき相互規定(conditional inter difinition)と呼ぶ。 組織は、組織目標に志向しての統制とこれに対する応答行為から構成されるコミュニケーションを自己生産する予測可能性の軸における継起的な情報エントロピーは、ある事象によって他の事象を予測できる程度が高ければ低くなり、理解可能性の軸における同時的な情報エントロピーは、意味するものと意味されるものとの結びつきが明確であれば低くなる組織を構成するコミュニケーションは、情報エントロピーが低ければ選択され、情報エントロピーが高ければ棄却されがちであるコミュニケーションが変異せず、かつ、選択されれば構造保存自己生産となる。コミュニケーションが変異せず、かつ、棄却されれば構造保存自己生産となる。コミュニケーションが変異し、かつ、棄却されれば構造探索自己生産となる。コミュニケーションが変異し、かつ、選択されれば構造変容自己生産となる。 本書の第一命題は、組織のコミュニケーションにおける情報エントロピーが低ければ組織成果は高くなる。この命題の従属変数である組織成果は、有効性と能率を含むため、組織のコミュニケーションにおける情報エントロピーが低ければ有効性は高くなる組織のコミュニケーションにおける情報エントロピーが低ければ能率は高くなる、という二つの命題に分割することができる。 本書の第二命題は、組織の外部環境についての情報エントロピーが低ければ有効性は高くなる

Copyright by 2007 Ogiso, Michio
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