4 公式構造 【本書の目次へ戻る】【つぎへ】

  公式構造(formal structure)とは、組織の規則によって規定された統制−応答行為コミュニケーションのパターンである。専門化(specialzation)とは、分業化や労働の細分化の程度が高いことであり、専門化の程度が高ければ、課業遂行者にとって課業の理解可能性の程度が高くなるため、組織のコミュニケーションにおける情報エントロピーが低下する標準化(standardization)とは、手続が規則によって明確に制定されている程度のことであり、標準化の程度が高ければ、課業遂行者にとって課業の理解可能性の程度が高くなるため、組織のコミュニケーションにおける情報エントロピーが低下する。同様に、標準化の程度が高ければ、管理者にとって課業遂行者の課業の予測可能性の程度が高くなるため、組織のコミュニケーションにおける情報エントロピーが低下する集権化(centralization)とは、権限が組織のより上位の階層に集中して所在している程度のことであり、権限がある階層の課業遂行者にとって、課業の予測可能性が高くなるために、組織のコミュニケーションにおける情報エントロピーが低くなる。また、影響力がある階層の課業遂行者にとって、課業の予測可能性が高くなるために、組織のコミュニケーションにおける情報エントロピーが低くなる。工業デザイン部門などの知識集約的部門は一般従業員の影響力が比較的強いことから、一般従業員の自律性の程度が高いネットワーク型組織としての性格が強いと言えよう。 公式構造の内部相関については、専門化と標準化はともに課業遂行者にとって課業の理解可能性の程度が高くなるという、課業遂行者のコミュニケーションにおける情報エントロピーを削減する方策であるために専門化は標準化と正の相関関係にある集権化は専門化・標準化と負の相関関係にあるという命題が、公式構造の説明については、規模の増加という組織の内部環境の多様性を削減するために、専門化や標準化という組織が処理しなければならない情報を削減する方策によって、組織のコミュニケーションにおける情報エントロピーを削減するため規模は専門化・標準化と正の相関関係にある規模の増加という組織の内部環境の多様性を削減するために、分権化という中間管理者への権限の委譲により、上位の組織成員が判断しなければならない情報を削減する方策によって、組織のコミュニケーションにおける情報エントロピーを削減するため規模は集権化と負の相関関係にある、という命題が報告されている。

Copyright by 2007 Ogiso, Michio
【先頭行へ】【本書の目次へ戻る】 【つぎへ】