本書は大学の専門科目において組織について初めて学ぶ学生を念頭におく組織の入門書である。そのため、リーダーシップ、経営戦略、人事管理の入門書と重複しないように配慮した。また、入門書であるという性格上、論理構造は単純化した方が適切であると考え、概念定義、操作的定義、変数間関係についての知見、変数間関係についての理論的根拠という社会科学の実証研究の定型的な論理構造に準拠して単純化した。したがって、社会科学の実証的方法についての基礎知識を習得済みであることが望ましいが、社会科学の方法についての補論および統計用語の解説において補足した。また、操作的定義(実質的には調査票)が既発表のものは出典を注記するに留めた。さらに、操作的定義した指標を加算尺度などの統合変数に要約することの是非を検証する因子分析などについては、既発表の場合には出典を注記するに留めた。
本書の論理構造は、意味するものと意味されるものとの関係については、抽象性が高いレベルでは概念定義、具体性が高いレベルでは操作的定義を紹介する。予測可能性に関する関係については、抽象性が高いレベルでは変数間関係の理論的根拠、具体性が高いレベルでは調査結果に基づく変数間関係を紹介する。
1 組織では組織の概念定義を行い、2 自己生産では変数間関係の理論的根拠を提示する。3 組織環境以降では、組織環境、公式構造、課業特性、能率、および、有効性それぞれの概念定義、操作的定義、変数間関係についての知見とその理論的根拠について紹介していく。