東京国立博物館インターンシップ実施報
史学専攻博物館学コース博士課程前期2年 河合奈々瀬
今回私は、東京国立博物館の学芸研究部列品管理課平常展調整室で、8月末~12月初頭の約3カ月にわたり、10:00~17:00までの一日7時間のインターンシップ活動を行った。この部署はその名の通り、膨大な資料を展示する当館の平常展の展示スケジュールを管理することや、それら資料の題箋・キャプションを制作することを主な職務としている。またこれらの職務に加え、当館に寄せられる様々な電話での質問にも応対している。
私が任された仕事はパソコンでの記入作業が中心だった。インターンが始まった当初は、平常展エリアにある「国宝室」でかつて使用されたパネルの写真が、パソコンのデータに保存されていたので、それを参照してWordに記録する作業をした。また10月の上旬頃からは、「旧解説文」と記されたダンボールにまとめられていた、手書きの題箋・キャプションをWordに記録する作業に従事した。根気のいる作業ではあったが、教科書やテレビで見たことのある国宝の来歴や、基本的な美術用語・人物の概要を自然と覚え込むことができて勉強になった。
これらのパソコン作業に加え、様々な作品の題箋が収納された戸棚から、職員の方に指定された題箋を取り出す作業もした。題箋にはひとつずつ作品番号が明記され、その番号をもとに取り出すようになっていたのだが、何百という題箋がひとつの引き出しに保管されていたため、なかなか目的の題箋を見つけられず苦労した。しかし普段展示ケース越しに見るばかりの題箋を、手にとってじっくり眺めることができ、やり甲斐のある作業でもあった。
そのほか様々な博物館のイベントを見学する機会にも恵まれた。例えば2012年初春から開催される特別展、「北京故宮博物院200選」の記者会見や、その前に開催された特別展「法然と親鸞 ゆかりの名宝」の準備工事やオープニングセレモニーへも、職員の方々の勧めもあり仕事の合間を縫って見学することができた。いずれも大規模な展覧会で大勢の人が集まっていたが、その裏側で準備に追われる職員の方々の姿には学ぶところが多かった。博物館の内情については、大学院の授業でもしばしば耳にするが、やはり実際目にするのと学んだこととでは異なる点が多く、貴重な体験を頂いた。
以上約3ヶ月にわたり、日本を代表する博物館にお世話になったことで、これまで机上の学問だった自分の博物館学に、多少現実的なイメージを取り入れることができるようになったと思われる。ただ上記したように、あくまで任されたのは事務的なパソコン作業が中心であり、学芸員の方の仕事ぶりは遠くから拝見する程度に止まってしまった。致し方のないことだが、折りを見て様々な職員の方にもっとお話を伺ってみればよかったと、今となっては少し悔やんでいる。運が良ければ、いずれ自分も何処かの博物館で働けることができるかもしれないが、今回のインターン活動を通して学んだことを参考に、少しでも良い働きができればと願っている。