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1.2002年 FIFA ワールドカップ韓国・日本に関する商品の製造・販売(問1)

別井 佑

 問1「貴社は2002年 FIFA ワールドカップ韓国・日本(以下、「ワールドカップ」と略す)に関する商品を製造または販売しましたか」という設問に対して235社の有効回答が得られた。【単純集計】の結果、「はい」と答えた企業が43社あり17.0%を占めた。「「いいえ」と答えた企業は195社であり83.0%を占めた。調査を実施する以前では、ワールドカップ・ブームを利用して非常に多くの企業がそれを利用すると予測したが、この数字はこのような予想を否定する結果となった。
 さて、業種別、規模別の二つの面から結果を分析してしていくとつぎのような結果が得られた。

【業種別クロス集計分析結果】(ワールドカップ関連商品の製造・販売の業種別のクロス集計 )
 小売・卸売の129社のなかで「はい」すなわち「ワールドカップに関する商品を製造・販売した」と回答したのは21.7%(49社)であった【表1-1】。全体での17.0%よりは4.7%「はい」という回答が多いことになる。実際に商品を流す卸と商品を並べる小売はわずかであるがワールドカップを利用しやすかったのだろう。「いいえ」と回答した企業は78.3%(89社)を占めていた。業種別ではない全体よりはその分「いいえ」が少ないことになるが、小売・卸売に限定してもワールドカップに関する商品を製造・販売した企業が少ないという傾向は同様であった。
 食品製造で「はい」と回答した企業のは11.5%で、食品業種の78社のうち9社に過ぎなかった。全体と比べて、5.5%減となっている。小売・卸売と比べると差はさらに開き、10.2%減となっている。小売・卸売と比較して、ワールドカップ関連商品を製造・販売しなかった企業が多い傾向にあった。食品製造のうちで「いいえ」と回答した企業は88.5%となり、69もの会社は、ワールドカップの間にこれといってワールドカップに関する商品を製造・販売するという行動に移すことはなかったと回答している。なお、「いいえ」と回答した企業の中には韓国料理など、ワールドカップが開催される以前から共同開催国である韓国に関する商品を製造または販売していた企業もあった。しかし、日韓共同開催のワールドカップが開催される以前から製造または販売していた商品については、ワールドカップには関連はあるがワールドカップ関連の商品と意識して製造・販売したわけでないと解釈したためにこのような数字として表れたのだと解釈できよう。
 外食は回答社数は一番少ないものの食品製造と似かよった結果になった。「はい」と回答した企業は88.5%、「いいえ」という回答が88.5%で、奇しくも食品業界と同じパーセンテージになっている。外食も食品製造以上に、商品の製造や販売は難しいことが伺えるが、特別メニューとしてもワールドカップを利用した企業はごく少数に留まったことがわかった。

【規模別クロス集計分析結果】(ワールドカップ関連商品の製造・販売の業種別のクロス集計)
 規模別に見ると【表1-2】、「はい」と回答した企業は、200人未満の企業では18.0%(9社)であった。事前には、小規模企業はワールドカップの波に乗ろうという考えがあるのではないかと予想したが実際に製造・、販売している企業は少なかった。小規模企業の場合は資金的にも製造・販売は難しく、手堅い経営をしている企業が多かったのではないかと解釈できよう。200〜499人の規模の企業では、9.2%(6社)が「はい」と答えた。規模別で最も製造、販売していないと答えた企業規模であった。500〜999人の規模の企業で「はい」と回答したのは16.7%(10社)であった。この規模の会社になれば、ワールドカップに対しての商品を販売する人材や費用も捻出しやすかったと思われる。それを裏付けるのが、1000人以上の規模の企業であり、「はい」と回答した企業が25.4%(15社)となっていて、規模別では最も製造・販売したことになる。
 ワールドカップでは広告業者が利益を抜きん出て得たが、オフィシャルスポンサーのような大きな会社ほど、商品をワールドカップに関連付けるキャンペーンをしていた。規模が大きくなるほど、ワールドカップのようなイベントには費用が出せる分有利だろう。

2.参加国に関する製品の製造・販売に関する商品の製造・販売(問2)

 問2では、問1で「はい」すなわち「ワールドカップに関する商品を製造・販売した」と回答した40社を対象として、まず「ワールドカップに関する商品のうち、つぎにあげる参加国に関する商品を製造または販売しましたか。該当する国があればその国の番号にすべて○をつけてください」と、どの参加国に関する商品を製造・販売したかを質問した。「ワールドカップに関する商品を製造・販売した」と回答した40社のうち、32ヶ国のうちどれかの参加国に関連した商品を製造・販売したのは75.0%(30社)で、ワールドカップに関する商品を製造・販売しても個々の参加国に関連した商品は製造・販売しなかったのは25.0%(10社)であった。【単純集計】の結果、その国に関する商品を製造・販売したという回答が多かった国の順番では、日本の60.0%が抜きんでて多く、第二位は韓国の32.5%(13社)であり、共同開催国が上位二位を占めた。三番目に多かった国は、ワールドカップの歴代最多優勝国であり、かつ、結果的に今大会の優勝国となったブラジルの25.0%であり、四番目に多かったのは前回優勝国のフランスの17.5%であった。五番目に多かった15.0%の国はイングランドとイタリアであり、七番目に多かった12.5%の国は、アルゼンチン、ベルギー、ドイツ、メキシコの各国であった。
 さらに問2では、各国ごとの商品を製造・販売した企業を対象としてその国ごと商品の売れ行きについても質問した。その結果、「たいへんよく売れた」という回答が最も多かったのは、イングランドの50.0%であった。しかし、24ヶ国では、「売れ行きはよくなかった」という回答が50.0%以上であった。

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