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経済ネットワーキング学科

経済ネットワーキング学科の概要
経済ネットワーキングのコース説明
(1)「地球環境と開発経済」コース
(2)「地域と経済」コース
(3)「企業ネットワーキング」コース

経済ネットワーキング学科の概要

 戦争から50年の間に日本は、物質的な豊かさでは世界でもトップクラスになりました。しかし、この間の発展は環境問題、都市への集中など、様々な問題をもたらしました。日本の後を追うように急速に発展してきたアジア諸国がある一方で、アフリカなどには発展から取り残され、飢餓にあえいでいる国もあります。日本以外の先進国でも、国際的な競争の激化と高失業率など、多くの問題が起きています。特に環境問題は、「経済発展と環境の調和」という地球規模で取り組まなければならない最も重要な課題となっています。また、日本企業の海外進出もめざましく、国際社会の中で日本企業はどのような役割を果たしていくのか、さらに急速に進む国内の高齢化に対応して、どのような社会をつくっていくのか、鋭く問われています。

 しかしながら、これらの問題は複雑な利害関係の下にあり、既得権をもつ人々や組織間の対立、また国家間でも利害は対立しがちであり、問題への対応は進んでいないのが現状です。こうした現代の経済社会が直面する諸問題を解決していくには、地域や国家のような従来の枠組みを超え、情報・組織・人的関係の各レベルで関係形成を行っていくことを通して、協同・共生・福祉・人権を発展させていくことが求められています。

 経済ネットワーキング学科は、このような視点から経済社会活動を組織していく人材(ネットワーカー)の養成をめざしています。そのために、既存の経済学の手法にとどまらず、問題状況(現場)に即した調査分析の能力を育成していくことを特に重視しています。したがって、教室での講義に加えて、現場に出かけて行うフィールドワーク(体験学習・実地調査など)の授業「専攻地域事情」「社会経済調査I・II・III」などを取り入れています。また、ネットワーカーに必要な基本的な能力を身につけるために、次のような特色ある授業が行われます。

  1. 2年次において、学科基幹科目として、ネットワーキングの基本理論や手法などについて学ぶ。
  2. コミュニケーション・スキルとしての専攻地域言語(英語、中国語、マレー語、ポルトガル語のいずれか)を3・4年次においても継続的に学修する。
  3. 必要な情報を収集・発信することのできるコンピュータの利用法を身につけることができる。

 さらに、3年次からは、「地球環境と開発経済」コース、「地域と経済」コース、「企業ネットワーキング」コースの3コースから1つを自ら選択し、そのそれぞれのコースで、専門応用科目を履修することになります。自分のコースの指定科目の中から24単位(12科目)以上取ることが必要です。それぞれのコースにおいて、どのような専門教育科目を選んで勉強していけばよいのか、モデルケースをファイルで用意しましたので、参考にしてください。

経済ネットワーキングのコース説明

(1)「地球環境と開発経済」コース

 このコースでは、私達の住む日本を含む先進国と発展途上国が、地球という有限の環境の中でどのように共生してゆくのか、そして地球環境と調和した持続的発展をいかに実現していくのかをテーマとして学びます。そのためには理論的な分析だけではなく、先進国の資源多消費型経済の与える影響、発展途上国が直面している経済問題、日本の政府開発援助(ODA)の現状など現場で生じている具体的な問題、さらにはボランティアの活躍ぶりや非政府組織(NGO)の役割と課題についてもしっかり学ぶことが大切です。また、実際に現場での観察や調査を通じて、現実に起きている問題を認識することが必要です。したがって、このコースを選択する場合は、特に現地での実習を含む「専攻地域事情」、「社会経済調査IA」、「社会経済調査IB」、「専攻地域言語」の履修を4年間の学生生活の中でどのように位置づけるかがポイントになります。そして、それ以外の専門科目の履修を通じて、現場で認識した問題点の解決策を理論モデルとしてではなく、関係する様々な組織のネットワーキングを通じて考えることができるようになるでしょう。 ここに揚げる履修モデルは、専攻地域言語にマレー語を選択した場合の例です。このモデルを学年ごとに少し詳しくみましょう。これを一つの参考にして、2年次以降のことも考えながら自分なりの履修科目を設計してください。

 1年次…専門基礎科目と教養総合科目の語学は、3・4年次の専門的な学習をする際に、前提として必要な知識やスキルを修得するための科目ですから、できる限り早いうちに履修することが望ましい科目です。特に専門基礎科目は、1年次で大半の科目を履修できるので、2年次以降に多くを残さないようにしてください。

 2年次…前期の「ネットワーキング原理」と「社会経済調査論」は、ネットワーキングと現場での調査、観察のための導入となる科目です。後期の「専攻地域事情」において、より具体的な問題を学びます。「専攻地域事情」は複数開講され、実習の形態も多岐にわたりますので注意して選んでください。現地語も英語もしっかり学び、海外での実習に意欲的に取り組んでほしいと思います。なお、学科基幹科目の選択必修4科目8単位は2年次で必ず履修し、できれば6科目すべてを履修するようにしてください。

 3・4年次…3・4年次のモデルに含まれる科目は、演習を除いてすべてどちらの学年でも履修できます。しかし、学科基幹科目は早い学年で履修することが望ましいといえます。「社会経済調査IA」と「社会経済調査IB」は、同じ学年で履修してください。3年次のモデルでは、各地域の現状を分析する科目が中心となっています。4年次の科目では、それらの現状分析に対して、様々な組織の問題と地域間の交流を学ぶようにつくってあります。

(2)「地域と経済」コース

 このコースは、地域経済の自立と発展を主要なテーマとし、地域が持っている環境や条件を活かしながら豊かな生活を自立的に営んでいけるようになるための方法を探求していきます。

 地域経済は、都市化、高齢化、外国人労働者問題といった国家共通の問題が具体的に発生する現場です。日本経済が現実に直面している課題は、この地域において具体的に発生しており、したがって地域において解決されなければなりません。

 産業構造の変化の中で、地域の産業と雇用はどうなっていくのか、高齢者の割合がますます高くなっていく中で地域はどのような福祉を実現していく必要があるのか、そして地域の活性化の担い手をいかに育成・確保していくのか、また自治体や地域の諸団体はどのような役割を果たしていく必要があるのかなど、日本の豊かさを築き上げていくためには多くの課題が山積みしています。このコースでは、こうした問題が、それぞれの地域においてどのようにあらわれているのか具体的に学びながら、その解決策を検討していきます。

 「専攻地域事情」と「社会経済調査IIIA」「社会経済調査IIIB」は、現場での調査を通じて問題を具体的に把握しようとする科目です。現実の地域経済は制度的な枠組みにも大きく制約を受けているので、地方自治体の財政や行政制度ついて学ぶことも重要です。問題の解決に向けて必要な理論的分析とともに、地域に関係する、また地域を超えた様々な組織や人々のネットワーキングの実際を学ぶことを通じて、その重要性と手法を取得していきます。 ここに揚げる履修モデルは、専攻地域言語に日系ブラジル人が使用しているポルトガル語を選択した場合の例です。

 1年次…専門基礎科目と教養総合科目の語学は、3・4年次の専門的な学習をする際に、前提として必要な知識やスキルを修得するための科目ですから、できる限り早いうちに履修することが望ましい科目です。特に専門基礎科目は、1年次で大半の科目を履修できるので、2年次以降に多くを残さないようにしてください。

 2年次…前期の「ネットワーキング原理」と「社会経済調査論」は、ネットワーキングと現場での調査、観察のための導入となる科目です。後期の「専攻地域事情」において、より具体的な問題を学びます。自分の目と耳で実際の地域の様子をしっかり受けとめ、何が問題であるのかきちんとした認識をもってもらいたいと思います。なお、学科基幹科目の選択必修4科目8単位は2年次で必ず履修し、できれば6科目すべてを履修するようにしてください。専門応用科目の「経済統計」と「財政の基礎」も3・4年次でより専門的な科目を履修するための基礎となります。

 3・4年次…3・4年次のモデルに含まれる科目は、演習を除きすべてどちらの学年でも履修できます。しかし、学科基幹科目は早い学年で履修することが望ましいといえます。「社会経済調査IIIA」と「社会経済調査IIIB」は、同じ学年で履修してください。3年次のモデルでは、各地域の現状と制度を分析する科目が中心となっています。4年次では、それらの現状分析に対して、地域の自立と発展を意識した分析が中心となっています。

(3)「企業ネットワーキング」コース

 生産活動を合理的に遂行するための尺度として、企業は、一定の資本を使ってどれだけの利益を生み出すことができるかを表す“収益力”を一般に用います。いま日本で単独の株式会社として営んでいる事業が、今後も期待されるだけの利益をあげえないと見込まれるときは、国内的には、会社の合併や分割、子会社化や持株会社化によるグループ化等の手段を用い、会社組織の枠組を必要に応じて組替えることで対処しようとします。また海外に目を向け、直接現地法人を設立したり、あるいは有力な現地法人との国際ジョイント・ベンチャーを利用するなど、国境を越えた事業展開によって問題へ対応します。

 環境の変化に適応するため、企業が行うこのような組織の組替えに関する手法と理論について事例研究を通し考察し、そのひとつとしてネットワーキングの手法に期待される役割を学ぶことがこのコースの目的です。具体的には、企業活動のグローバル化の一環として行われる主としてアジアへの進出に伴う様々な摩擦問題を取上げ、その原因を探り、解決方法を検討します。そのために必要な外国語、情報システムと情報処理、マネジメント等の知識と技法を学ぶことになります。

 掲げている履修モデルは、専攻地域言語に英語を選択した場合の例です。このモデルを学年ごとに少し詳しくみていきます。

 1年次…専門科目と教養総合科目の履修が相半ばすることになります。専門基礎科目については、必修4科目の修得を目指すとともに、選択必修の中から、企業活動の歴史や発展の経緯、その基礎となる経済の基礎知識および企業経営のスキルに関する基礎を学びます。

 2年次…前期の「ネットワーキング原理」と「社会経済調査論」がネットワーキングと現場での調査、観察のための導入となる科目であり、後期の「専攻地域事情」によって現場での具体的な問題を学びます。それに加え、現地での摩擦解消に資する「異文化コミュニケーション」の他、企業経営に求められる知識の吸収とスキルの修得に繋がる科目を選択しています。

 3・4年次…3年次より専門科目の学習が中心になります。専攻地域言語の通年での学習が義務づけられると共に、企業ネットワーキングの現実の問題がどこに、どのような形で生み出されているかを現場で発見し、その解決策を探る「社会経済調査IIA」「社会経済調査IIB」の履修が薦められます。さらに、企業経営に求められる知識の吸収とスキルの修得について引続き努力することが求められています。4年次では、企業ネットワーキングに影響を及ぼす経済問題や法律問題にまで視野を広げて学ぶことが期待されています。

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