第2回公開フォーラムの成果と今後の活動への反映


 平成19年7月7日(土)の午後1時から、國學院大學渋谷キャンパスの120周年記念2号館2階2203教室で、第2回の公開フォーラム「現場と世界につながる環境総合教育〜地域と国際を結ぶフィールド実践による主体形成〜」を開催しました。当日の参加者は、約105名で、その内訳は、國學院大學から約60名(教員10名、職員2名、大学院生3名、学生約45名)、外部から約45名(研究者約10名、実践活動に携わっている者約10名、市民や学生等約25名)でした。岩手県や茨城県など遠方から出席した方もおりました。当日は、第2部構成の報告がなされ、その後で、午後6時近くまで、熱心にデイスカッションが行われました。その成果及び今後の事業への反映は、次の通りです。

1)実施した公開フォーラムの成果

 本取組のタイトルは、「歴史文化を踏まえた環境総合教育の拠点形成―地域と国際を結ぶフィールド実践による主体形成―」であるので、平成19年2月18日に開いた第1回フォーラムでは、「歴史・文化をふまえた環境総合教育」に焦点をあて、とくに歴史・文化の視点から多角的に掘り下げる実践・教育活動に関して、様々な経験の交流と討論が行われました。

 今回の第2回目のフォーラムは、本取組のサブタイトルに焦点をあて、「現場と世界につながる環境総合教育―地域と国際を結ぶフィールド実践による主体形成―」というテーマで開催しました。

 今回の第2回目のフォーラムの内容は、現場や国際分野に焦点を移したものでしたが、第1回に引き続いて参加した参加者からは、「第1回フォーラムに次ぐ、すばらしいフォーラムでした」(アンケート回答より)という評価を得ることが出来きました。

 第1部では、学生とともに海外の現場を訪れて学ぶ、地域と国際を結ぶフィールド実践を行っている3名の教員が、自分たちの活動を通して、環境教育・国際理解教育の実際とその効果について報告しました。森島紘史氏(名古屋市立大学)からはバナナ・ペーパーで結ぶスリランカでの国際環境教育、横山正樹氏(フェリス女学院大学)からはフィリピンでのエクスポージャー(現場生活交流体験)、中馬祥子からは國學院大學経済学部ネットワーキング学科で実施しているタイでのフィールド調査活動について報告がなされました。

 第2部では、末吉和弘氏(NICE:国際ワークキャンプセンター)からは、国際ワークキャンプの取組を通して、大学とNGOはどのような連携の可能性があるのか報告されました。ついで、楠原彰(國學院大学文学部)は、自己の教育活動の体験を語り、従来の大学における教育活動の反省を踏まえて、学生が現場での学びを通して、どのようにして主体形成が可能であるかについて考察を行いました。

 第3部のパネルディスカッションでは、フィールド実践のさまざまなアプローチのそれぞれの特徴について話し合いが行われました。とくに調査目的の実習・学びと、現場体験型の学びとの違いについて討論されました。実際、両方の型の授業に参加した学生からも、その違いや得られる事柄について体験が語られました。

 楠原彰は、大学における学びの衰弱を克服する方法の一つとして、現場体験型の授業の意義を話しましたが、その話に触発されて、国際現場体験授業の意義について掘り下げた討論ができたことは成果でした。

 パネルディスカッションでは、「現場」をどうとらえて位置づけているかについて、扱うテーマや題材などをふまえて、活発に議論されました。パネリストだけでなく、現場体験授業に参加した経験のある学生からも、現場体験授業の意義について感想や意見が表明されました。主体的に参加した学生が、フィールド実践の教育で得た経験や学びを、各人の人生に引き継ぎ、将来に生かそうとしている様子を確認できたことは、大きな収穫でした。

2)今後の活動への反映

 夏休み期間には、環境教育研究プロジェクトチームの教員が、各自或いは共同して、ゼミ合宿等のプログラムにおいて、いくつかの現場体験実習を行うことにしています。そうしたプログラムに参加する教員及び学生は、国外・国内の現場において、生活と行動を共にする中で、今回の公開フォーラムで検討された点についてさらに考察を深めていくことが期待されています。特に、タイにおける「フィールドスタディ」は、経済学部の古沢広祐が担当して9月1日から12日の間行うことにしています。その計画の具体化にあたっては、今回のフォーラム及び現代GPプログラムで積み重ねてきた成果を踏まえて、国際と地域を結ぶフィールドの実践をより実りのあるものにするよう務めることにしています。

 最後に、外国の方から、このフォーラムに参加している学生は、環境問題に関心を持っているが、一般の学生に関心を持たせるにはどうしたらよいかとの質問が、パネリストに向けられました。國學院大學での取組では、環境教育の導入として、総合講座「歴史・文化的視点からの自然との共生」を設けましたが、そのガイダンスをきちんとして、より多くの学生に関心を持たせるきっかけを与えるように努力したいと思います。

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