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  矢部健太郎 講師 (YABE Kentaro)

  博士(歴史学)
  國學院大学文学部史学科卒業(1995.3)
國學院大学大学院文学研究科日本史学専攻博士課程前期修了(1997.3)
國學院大学大学院文学研究科日本史学専攻博士課程後期修了(2004.3)

専門分野 日本中世史
研究テーマ 室町・戦国・織豊期の政治史・公武関係史
授業担当科目 史学基礎演習B、史学展開演習、日本史演習V、日本時代史W、史学入門、日本文化史
主要著書・論文 「豊臣秀吉から天皇への使節」(『日本史研究』459号、2000年11月)
「豊臣『武家清華家』の創出」(『歴史学研究』746号、2001年2月)
「太閤秀吉の政権構想と大名の序列」(『歴史評論』640号、2003年7月)
「東国『惣無事』政策の展開と家康・景勝―『私戦』の禁止と『公戦』の遂行―」(『日本史研究』509号、2005年1月)
「殿上淵酔の成立と展開」(二木謙一編『戦国織豊期の社会と儀礼』(吉川弘文館、2006年)

ゼミについて
 私は、日本中世後期、すなわち室町・戦国・織豊期の政治史、特に公武関係史の研究をしています。公武関係史では、武家権力と天皇・公家衆を中心とする朝廷とがどのような関係を有していたのか、お互いにどのような意識で相手を見ていたのか、ということを考えていきます。その際、室町幕府・戦国大名・豊臣政権の発給した古文書類や、公家衆・寺社・宮中の女房衆などの書き連ねた日記類などが、たいへん重要な史料となります。そのため、和様漢文はもちろんのこと、かな文字の史料を読解する力も身につける必要があります。
 ところで、中世後期の研究にあたっては、古代〜中世前期までとは大きく異なっている点が二つあります。一つは、残存する史料が比較的多いこと。もう一つは、残存する史料の内、活字化されているものが比較的少ないこと。つまり、時代が下るために史料は多いわけですが、古代〜中世前期のようにほとんどの史料が活字化された状況にはない、ということです。そこで、この時代の研究に欠かせない能力として、「くずし字」を読む力が求められるのです。もちろん、活字化された史料も正確に読めないのに、「くずし字」の史料が読みこなせるはずはありません。一方で、「くずし字」を読む力は、一朝一夕に身に付くものでもありません。そこで、私のゼミでは「くずし字」に慣れるための方法として、「くずし字」の史料を自分の力で活字化して、その中身をじっくり読み込む、という形式の演習も行いたいと思っています。一年間で読める文書の数は減ってしまうかもしれませんが、「くずし字」を読む方法を学んでもらい、個々にその能力を高めていく上での手助けになればいいと思っています。
受験生や学生に一言
 私は、学生時代に体育連合会剣道部に所属していました。日々の厳しい稽古に励みながら、専門の日本史学に加えて、教職課程や博物館学芸員資格課程も選択していたため、毎日が慌ただしかったことを覚えています。しかし、あの苦しい日々を経験したことは、無駄だったとは思いません。研究の時間をすべて剣道に充てていれば、もう少し強い剣士になれたかも知れない。しかし、剣道の時間をすべて研究に充てていたとして、もっとマシな研究ができていたかと言えば、私はそうは思いません。剣道で培った気力・体力は、私が研究する上で不可欠なものなのだ、と思っています。だから、今も剣道を続けているのです。何かをしよう、とする時、大事なのは「集中力」ではないでしょうか。人は誰でも、平等に1日は24時間しか与えられていないのです。その時間をいかに有効に使えるか。大学生というのは、子供(高校生)から大人(社会人)へ成長する大切な時期です。4年間という限られた時間ですが、様々な経験を積み、楽しみながら充実させてもらいたいと思います。