学科紹介 日本文学専攻 国語学専攻 伝承文学専攻 書道課程
文学科(II部) 貴重図書紹介 入試情報 資料室 HOME

  貴重図書紹介

  竹取物語絵巻(武田祐吉博士旧蔵本)

解説 文学部名誉教授 徳江 元正

 

   「物語のいできはじめの(おや)」と称されて著名な割には、古い絵巻は遺されていない。
 本書も、江戸期のもので、寛文から元禄間にかけての製作と考えられる。
 住吉派の画で、3巻計17図あり、詞は先行する木活字本系とほぼ同文である。

 

 

 

 

絵 上巻 第1図

 竹取の翁の家。根本が光っている竹の中から見いだした「3寸(みき)ばかりなる人」を、持ち帰って、()に入れて妻の(おうな)に育てさせているところ。

絵 下巻 第15図

かくや姫のすがた・かたちの美しいことを御門(みかど)は聞こし召され、内侍の一人に命じて、「いかばかりの女ぞと見て参れ」と仰せられた 内侍は仰せ言を、翁に伝えるが、姫は、御門の仰せ言を「かしこしとも思はず」と言って、対面さえしない。

 

 

 

詞 下巻

かくや姫昇天の後、御門は、姫が書き置いた(ふみ)不死(ふし)の薬とを、駿河の国にあるという山の頂きで火をつけて燃やすがよいと命じられた。
士(つわもの)どもが、そのため、大勢山に登ったので「()に富む山」富士の山となづけたと、地名起源説話で、『竹取物語』は結ばれる。
その時、薬などを焼いた煙が、今もってなお、雲の中へたちのぼっていると、富士山が活火山であった印象をあざやかに止めている。