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2-3 効果が高い広告媒体

中島 高・長屋 賢司

 

まず、単純集計結果を概括すると、どの年齢層に対しても「TV・CM」での広告がほとんど一位を占めていて、大学生あたりから、社会人男性までの年齢層で「インターネット」が普及してきている。また女性や若い世代の年齢層には「雑誌」などでアピールをしているみたいである。高齢者へはほとんどが「TV・CM」でその他には「ラジオ」、や「ポスター」などである。

つぎに、テレビCMを利用する形態を評価する企業はどの年齢層に対しても20%中盤〜30%中盤と高評価を得ている。視覚と聴覚両方で興味を引きつけやすいテレビはやはり、広告効果が大ということだろう。次に、ラジオだが、こちらは顕著に差が表れた。OLおよび大学生は0%に等しく、高齢者が14.7%で、他は、概ね5%前後という結果になった。この背景にあるのはやはり、テレビとの違いであろうと思う。視覚的に弱っている人が比較的多数いる高齢者はどちらかというとラジオの方を重宝するという見方が強いのだろう。次に雑誌だがここでは、女性を中心とした若い年齢層に有効だという結果が出た。ファッションなど、流行に敏感な若い女性ほどそれに関連した雑誌に多く目を通しているという推測からこのような結果となったのだろう、しかし、子供と高齢者を除けば、他の年齢層でも10%後半〜20%前半と安定した人気を誇っていると言える。それぞれの年代・性別に向けた雑誌が、若い女性向けほどでは無いにしても、それなりに購読者が多いことが影響していると類推できる。次に、目をみはるほど顕著に差が出たのがインターネット広告だ。大学生、社会人(男性)、他企業はそれぞれ、38.3%、31.2%、38.1%と高いパーセンテージを叩き出しているのに対し、OL18.4%を除く全ての年齢層では10%を割り込んでおり、まだまだ日本ではインターネットが一部の年齢、身分、職種の者以外には普及していない事を覗わせる。しかし、インターネット広告の波及効果がどの程度か予測不可能といわれている今、年齢層に偏りがあるとはいえここまで重きを置いている企業が多い事は驚きに値する。この他、交通広告、看板・ポスターは全体的にあまり重視されていないようだ。只、看板・ポスターで高齢者層が13.5%と他と比して何故こんなに高い数字を示しているのか疑問だ。

 全体的に見ると、どの広告媒体においても、大学生・社会人・OLを対象としたものは有効と判断している傾向にある。大まかに見てこれらの年齢層は俗に生産年齢人口と呼ばれるが、様々なメディアに触れる機会が多い年齢層なのでこのような結果が出たのも当たり前と言えば、当たり前の事と言える。その他、高齢者のパーセンテージがどの広告媒体でもバランスよく推移している事も見逃せない。

この結果より、現在では企業が一番に重視している広告媒体は「TV・CM」であることが分かった。これはなんだかんだ言っても今一番人の目に触れる機会があることがあるからだと思う。次に若い世代、今一番コンピューターに触れる機会の年齢層に対して「インターネット」で広告している。やはり、今インターネットを使う人口が多いなかでそして的を絞ってきているのも分かった。企業は、現代のニーズに合わせしっかりとしたねらいをつけて広告をしているのである。そして現代から少しずつ離れていっている「ラジオ」などは若い世代にはあまり対象にはされておらず一番使っている頻度が高い高齢者にターゲットをしぼっている。結果的にはだいたい自分の予想と近い結果となったが、企業も時代に合わせて的を絞っているということがわかった。

Copyright 2001, Takashi Nakajima and Kenji Nagaya

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