今回の調査において、調査対象企業数983社に対し有効回答企業は128社だった。有効回答企業128社のうちで問7で「貴社では旅行に関する業務を行っていますか」と質問して「はい」と回答した企業は16社と、アンケートとしては非常に少なく壊滅的な数になっている。
旅行業務を実施していると、回答があった企業の業種を見てみると(表5-1-1)、航空6.7%、鉄道・バス60.0%、倉庫・運輸13.3%、レジャー20.0%、サービス20.0%という内わけになる。業種ごとの旅行業務実施の割合を見てみると、旅行業務の実施の比率が最も高い業種は鉄道・バスで60.0%になっている。一方、旅行業務実施している業種で一番低い比率になっているのは航空であり、旅行業務の実施をしている企業はわずか6.7%(1社)からしか回答が得られなかった。そして旅行代理店が含まれるレジャーやサービス業においてもわずか20.0%(3社)しか回答が得られなかった。
そもそも旅行関連企業の母集団の数が少なかったこともあるので、あまりはっきりと言うのは難しいが、今回の調査の回答が鉄道・バスという陸上交通系からが多く目立っている。そのことから分析すると、まず航空業は、2001年9月11日の同時多発テロの影響によって大打撃を受けていた。そしてその余波は、旅行代理店などにも及んでいた。それが今回の調査にも影響が出たと見ることができる。この事は、調査を開始する時点から危惧はされていた事ではあったが、想像以上に回答数が集らなかった。
そして、テロの影響によって、海外にいかなくなった人が国内に流れたこともあって国内旅行は収益を上げている。その事もあって鉄道・バスという陸上交通系は、今回の調査に答えてくれる企業が多かったのではないかと考えられる。これらの要因によって、今回のような回答企業の偏りが起こったと見られる。