問4では「貴社では、大学の文系学部の新卒者を採用する際に、つぎの資格を持っていれば優先して採用しますか」と質問した。この節では8種類の(2)事務系の資格についての分析を行う。
【単純集計】の結果は、8種類のすべてについて「1.この資格を取得していなければ採用しない」と回答した企業は0.0%とまったく無かった。また、「2.優先して採用する」という回答は2.0%以下でしかなかった。概して事務系の資格は、経理系やコンピュータ系の資格と比べて重視されていないと言えよう。以下、「4.関係ない」という選択肢の%(相対度数)に注目し、この度数が低い順、すなわち採用に関して重要視されている順に8種類の資格を並べ替えて分析を行う。
事務系の資格のうち「4.関係ない」という選択肢の度数がもっもと低かった第1位は7)ビジネス実務法務検定の65.4%であった。以下、第2位は1)秘書技能検定の66.5%、第3位は2)ビジネス能力検定の68.7%、第4位は6)ビジネス文書検定の69.2%、同率第5位は5)日本語文章能力検定と8)BATIC(国際会計)検定試験の72.5%、同率第7位は3)日本漢字能力検定と4)日商マスターの74.2%であった。
事務系の8種類の資格の相互関係を探索するために因子分析を行ったところ(表2-2-1)、固有値が1.0以上の因子が1つしか析出されず、因子負荷行列の回転を行うことができないため、実質的には主成分分析と同じ結果となった。第1因子(=主成分)への因子(=主成分)は0.788から0.926といずれも強い正の負荷を示した。この結果から、ある資格を重視している企業では他の資格も重視しているが、ある資格を軽視している企業では他の資格も軽視していることが明らかになった。
規模別に見ると(表2-2-2)、事務系の8種類の資格はいずれも規模とは関連が無く、企業規模に関わらず「関係ない」という回答が多かった。
業種別に見ると(表2-2-3)、書技能検定、ビジネス能力検定、日本漢字能力検定、日本語文章能力検定、BATIC(国際会計)検定試験は業種とは関連が無く、業種に関わらず「関係ない」という回答が多かった。
ビジネス実務法務検定は、「取得していれば採用に有利」という回答が製造で40.3%と多く、卸・小売では13.3%と少ない傾向が見られた。また、日商マスターも、「取得していれば採用に有利」という回答が製造で25.4%と多く、卸・小売では10.0%と少ない傾向が見られた。