【目次】

0.調査の方法(データの収集)

「アンケート調査」担当教員 小木曽 道夫

0-1.実査の方法と調査対象

 「髪型についての調査」(以下、「本調査」と称す)は、國學院大學経済学部の2012年度 月曜日1時限開講「アンケート調査」のために実施した。本調査は、2012年度後期 月曜日4時限開講「アンケート調査入門」の受講者535人を調査対象として、K-SMAPY(Kokugakuin university Supporting system for Making Academic Plans and Yearly schedule)のアンケート機能を利用した「インターネット集合調査」により、2012年10月2日 00:00 〜 2012年10月8日 23:59の期間で実施した。なお、2012年度「アンケート調査入門」の成績評価の基準は、「アンケート調査」で実施するアンケート調査への回答という課題の配点が20%であり、回答者を特定するために記名式により調査を実施した。有効回答は427人、有効回答率は79.8%であった。
 K-SMAPYのアンケート機能を利用したため実査経費は0円であった。

0-2.集計・分析方針

 調査票に挿入した単純集計結果の集計値は427人であり、実質的な非該当の選択肢も集計に含めた。「基礎クロス集計」では、IBM SPSS Statistics 20.0J Base SystemのCROSSTABSを利用するよりもレイアウトがきれいであるという理由からSPSS for Windows 20.0J.のCTABLESを使用した。学生の集計・統計分析実習では、開講教室である國學院大學のC(コンピュータ)5教室のパソコンにインストールしてあるSPSS 16.0 Japanese、および、814研究室のIBM SPSS Statistics 20.0J Base Systemなどを使用した。
 今年度は『髪型についての調査』であり、設問1設問26は、性別に集計しないと回答の意味を理解しにくい設問が多いため、これらの設問については、性別クロス集計を実質的な「単純集計」として扱い、男女計の単純集計結果は、原則として表示するだけに留めた。「基礎クロス集計」の軸は下記の性別を用いた。なお、「基礎クロス集計」でも実質的な非該当の選択肢を集計に含め、「全体」は427人であり、単純集計に等しい。
 また、共通した髪型の回答選択肢を用いて、(現在の)自分の髪型(設問8)と自分が変えたい髪型(設問21)とを比較したり、彼氏または彼女にさせたい髪型(設問23)と異性の好きな髪型(設問25)との比較を意図したため、これらの設問について髪型の分析を行った。さらに、「髪型はおしゃれの現れである」という問題意識から、おしゃれかの自覚(設問27)を従属変数とする分析を行った。なお、参考までに、課外活動別居住形態別のクロス集計表を公表した。

0-3.回答者の属性

0-3-1.クロス集計の軸

 性別設問31で「最後に、あなたの性別について伺います」と質問した結果は、「男性」が71.0%(303人)、「女性」が29.0%(124人)であった。

0-3-2.性別の回答者の属性

 課外活動は設問28で「あなたは國學院大學の課外活動団体に所属していますか。複数の課外活動団体に所属している場合には、もっとも力を入れているものを1つだけ選んでください」と質問した結果は、「体育会連合会加盟部会」が11.2%(48人)、「その他の体育系部会」が12.2%(52人)、「文化団体連合会加盟部会」が8.3%(33人)、「その他の学術・文化系部会」が9.2%(41人)、「所属していない」が57.8%(253人)であった。
 性別の課外活動については、χ二乗値検定の結果は5%水準で有意差が認められず、各回答選択肢の2値変数に対しても5%水準で有意差が認められなかった。(表0-1)。体育会連合会加盟部会に所属していると回答した人は、男性が12.5%、女性が8.1%で、男性の方が体育会連合会加盟部会に所属している人が多かったが、5%水準では有意差が認められなかった。その他の体育系部会に所属していると回答した人は、男性が12.2%、女性が12.1%と同じくらいであった。文化団体連合会加盟部会に所属していると回答した人は、男性が8.3%、女性は6.5%と同じくらいであった。その他の学術文化系部会に所属していると回答した人は、男性が9.2%、女性は10.5%と同じくらいであった。所属していないと回答した人は、男性が57.8%、女性が62.9%とこれも同じくらいであった。

 居住形態は設問29で「あなたはどこから通学していますか」と質問した結果は、「自宅から」が70.5%(301人)、「自宅以外から(下宿や寮など保護者とは別居)」が29.5%(126人)であった。
 性別の居住形態は(表0-2)、男性は自宅が69.3%で、自宅外が30.7%であり、女性は自宅が73.4%、自宅外は26.6%であり、χ二乗値検定の結果は5%水準で有意差が認められなかった。

0-4.学生生活の充実度

 設問30は「あなたの学生生活は充実していると思いますか」と質問した。【単純集計】の結果は、「充実している」が23.9%、「まあまあ充実している」が37.9%、「普通である」が26.7%、「あまり充実していない」が6.6%、「充実していない」が4.9%であった。性別に見ると(表0-3)、女性では「充実している」が29.8%と多いのと比べて、男性では「充実している」が21.5%と少ない代わりに「充実していない」(5.9%)と「あまり充実していない」(8.6%)が多く、χ二乗値検定の結果は1%水準で有意差が認められ、女性の方が充実度が高かった。
 学生生活の充実度とは、「充実している」に1点、「まあまあ充実している」に2点、「普通である」に3点、「あまり充実していない」に4点、「充実していない」に5点を与えた元の得点に、-1を乗じたものに6を加えて、「充実している」に5点、「まあまあ充実している」に4点、「普通である」に3点、「あまり充実していない」に2点、「充実していない」に1点を与えるスコアに変換した変数のことである。
 学生生活の充実度の全体での平均は3.69と「まあまあ充実している」と「普通である」の中間ぐらいであり、標準偏差は1.06であった(表0-3)。性別に見ると、学生生活の充実度の平均は男性が3.62、女性が3.88で、分散分析のF検定の結果は5%水準で有意差が認められ、学生生活の充実度は女性の方が高かった。

 参考までに、学生生活の充実度を従属変数として、a)名義尺度の単一回答の場合には当該の変数別の平均と標準偏差を計算して、分散分析のF検定を行ない、b)順序尺度の単一回答、または、多重回答の場合にはこれらの変数と学生生活の充実度との相関分析(γ)を行った【学生生活の充実度の分析表】
 結論として、髪型と学生生活の充実度とは関連・相関が無かった。
 分散分析のF検定の結果、男女ともに、髪色(設問4)(表0-5)、パーマ(設問7)(表0-6)、美容師・理容師の指名(設問14)(表0-10)による学生生活の充実度には差が認められなかった。染髪(設問4)別(表0-5)では、女性の場合は、「染めていない」人は3.55と充実度が低いが、「髪の一部を染めている」人は4.50と充実度が高く、分散分析のF検定は5%水準で有意差が認められた。課外活動(設問28)別では、分散分析のF検定は全体で1%水準で有意差が認められ、「所属していない」人が最も充実度が低かった(全体:3.51、男性:3.44、女性:3.65)。
 相関分析の結果、男女ともに、髪の長さ(設問1〜設問3) (表0-4)、自分の髪型(設問8)(表0-8)、整髪(設問10〜設問15)(表0-9)、高校の時と比べての髪型の変化(設問17)(表0-11)、他人の印象の相違(設問18)(表0-12)、髪型を決めるとき参考にするもの(設問19)(表0-13)、自分が変えたい髪型(設問21)(表0-14)、彼氏または彼女にさせたい髪型(設問23)(表0-15)、異性の好きな髪型(設問25)(表0-16)は、(表0-11)の女性の場合での高校の時と比べて「染めた」(設問17)がγ=0.260と弱い正の相関を示したことを除けば、無相関であった。おしゃれかの自覚(設問27) (表0-17)は、男性ではγ=-0.230とおしゃれかだと自覚していれば(逆スコア)学生生活が充実している傾向が見られた。

Copyright 2013, Ogiso Michio, in 國學院大學経済学部 2012年度「アンケート調査」 『髪型についての調査』

【目次へ】| 【本論へ】