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7.電子書籍(設問29〜設問35)

日暮 麻琴

7-1.電子書籍の利用頻度(設問29)

 設問29は「書籍はどの媒体で読むことが多いですか。なお、以下「電子書籍」とはkindleなどの電子書籍サービスにて購入できるものを指します。ひとつだけ選んでください。」と質問した。 【単純集計】の結果は、「1_紙媒体の書籍しか読まない」が26.5%、「2_紙媒体の書籍を読むことが多い」が29.6%、「3_紙媒体書籍と電子書籍をおなじくらい利用する」が10.9%、「4_電子書籍で読むことが多い」が10.0%、 「5_電子書籍しか読まない」が2.2%、「6_本を読まない」が20.9%であった。

 性別に見ると(表7-1)、男性の場合「1_紙媒体の書籍しか読まない」が27.9%、「2_紙媒体の書籍を読むことが多い」が26.0% 「3_紙媒体書籍と電子書籍をおなじくらい利用する」が10.4%、「4_電子書籍で読むことが多い」が9.7%、「5_電子書籍しか読まない」が2.6%、「6_本を読まない」が23.4%、 であった。女性の場合、「1_紙媒体の書籍しか読まない」が23.7%、「2_紙媒体の書籍を読むことが多い」が36.8%、「3_紙媒体書籍と電子書籍をおなじくらい利用する」が11.8%、 「4_電子書籍で読むことが多い」が10.5%、「5_電子書籍しか読まない」が1.3%、「6_本を読まない」が15.8%であった。 また、カイ2乗検定の結果は5%水準で有意差が認められなかった。

7-2.電子書籍の利用媒体(設問30)

 設問30は「電子書籍を読む際は主にどの端末を利用しますか。ひとつだけ選んでください。」と質問した。 【単純集計】の結果は、「1_スマートフォン」が52.6%、「2_タブレット」が10.0%、「3_パソコン」が2.2%、「4_その他の端末」が1.3%、「5_電子書籍を読んだことがない」が33.9%であった。

 性別に見ると(表7-2)、男性の場合、「1_スマートフォン」が45.5%、「2_タブレット」が13.0%、 「3_パソコン」が3.2%、「4_その他の端末」が1.9%、「5_電子書籍を読んだことがない」が36.4%であった。 女性の場合、「1_スマートフォン」が67.1%、「2_タブレット」が3.9%、「3_パソコン」が0.0%、「4_その他の端末」が0.0%、 「5_電子書籍を読んだことがない」が28.9%であった。 また、カイ2乗検定の結果は1%水準で有意差が認められ、 「1_スマートフォン」(女性67.1%>男性45.5%)は女性が多く回答し、「2_タブレット」(男性13.0%>女性3.9%)と「5_電子書籍を読んだことがない」(男性36.4%>28.9%)は 男性が多く回答する結果となった。 また、「3_パソコン」と「4_その他の端末」の回答に大きな差は認められなかったが、どちらも女性の回答が0.0%であったことから、男性のほうが女性より スマートフォン以外の電子機器端末を普段使いすることが多い可能性があると考えられる。

7-3.電子書籍でよく利用するジャンル(設問31)

 設問31は「電子書籍で漫画をどの程度読みますか。あてはまるものをひとつだけ選んでください。」と質問した。 【単純集計】の結果は、「1_電子書籍では漫画しか読まない」が23.9%、 「2_電子書籍では主に漫画を読む」が21.3%、 「3_電子書籍では漫画とその他の書籍を同じくらい読む」が8.7%、 「4_電子書籍では漫画以外の書籍を読むことが多い」が4.8%、 「5_電子書籍では漫画を読まない」が5.7%、 「6_電子書籍は利用しない」が35.7%であった。

 性別に見ると(表7-3)、男性の場合、「1_電子書籍では漫画しか読まない」が21.4%、「2_電子書籍では主に漫画を読む」が20.8%、 「3_電子書籍では漫画とその他の書籍を同じくらい読む」が8.4%、 「4_電子書籍では漫画以外の書籍を読むことが多い」が5.2%、 「5_電子書籍では漫画を読まない」が6.5%、 「6_電子書籍は利用しない」が37.7%であった。女性の場合、「1_電子書籍では漫画しか読まない」が28.9%、 「2_電子書籍では主に漫画を読む」が22.4%、 「3_電子書籍では漫画とその他の書籍を同じくらい読む」が9.2%、 「4_電子書籍では漫画以外の書籍を読むことが多い」が3.9%、 「5_電子書籍では漫画を読まない」が3.9%、 「6_電子書籍は利用しない」が31.6%であった。 また、カイ2乗検定の結果は5%水準で有意差が認められなかった。

7-4.電子書籍と紙の本の比較(設問32)

 設問32は「電子書籍と紙の本、どちらのほうが好きですか。ひとつだけ選んでください。」と質問した。 【単純集計】の結果は、「1_電子書籍」が11.3%、 「2_どちらかというと電子書籍」が8.7%、 「3_どちらかというと紙媒体の本」が35.2%、 「4_紙媒体の本」が30.0%、 「5_本は読まない」が14.8%であった。

 性別に見ると(表7-4)、男性の場合、「1_電子書籍」が13.0%、 「2_どちらかというと電子書籍」が10.4%、 「3_どちらかというと紙媒体の本」が33.1%、 「4_紙媒体の本」が27.3%、 「5_本は読まない」が16.2%であった。女性の場合、「1_電子書籍」が7.9%、 「2_どちらかというと電子書籍」が5.3%、 「3_どちらかというと紙媒体の本」が39.5%、 「4_紙媒体の本」が35.5%、 「5_本は読まない」が11.8%であった。 また、カイ2乗検定の結果は5%水準で有意差が認められなかった。

7-5.電子書籍の利点(設問33)

 設問33は「電子書籍の便利だと思う点を選んでください。つぎのなかからすべて選択してください。」と質問した。 【単純集計】の結果は、「1_持ち歩くのに重くない」が63.5%、 「2_書店に行かなくても購入できる」が38.7%、 「3_保管場所が不要」が23.0%、 「4_無料の書籍がある」が22.6%、 「5_ちょっとした時間でも読むことができる」が21.7%、 「6_文字の大きさを変えることができる」が6.5%、 「7_紙の書籍と比べて安い」が6.5%、 「8_紙を使わないので環境に良い」が7.4%、 「9_特になし」が12.2%、 「10_その他」が1.7%であった。

 性別に見ると(表7-5)、男性の場合、「1_持ち歩くのに重くない」が57.1%、 「2_書店に行かなくても購入できる」が42.2%、 「3_保管場所が不要」が18.8%、 「4_無料の書籍がある」が17.5%、 「5_ちょっとした時間でも読むことができる」が21.4%、 「6_文字の大きさを変えることができる」が7.8%、 「7_紙の書籍と比べて安い」が6.5%、 「8_紙を使わないので環境に良い」が7.8%、 「9_特になし」が14.9%、 「10_その他」が1.3%であった。女性の場合、「1_持ち歩くのに重くない」が76.3%、 「2_書店に行かなくても購入できる」が31.6%、 「3_保管場所が不要」が31.6%、 「4_無料の書籍がある」が32.9%、 「5_ちょっとした時間でも読むことができる」が22.4%、 「6_文字の大きさを変えることができる」が3.9%、 「7_紙の書籍と比べて安い」が6.6%、 「8_紙を使わないので環境に良い」が6.6%、 「9_特になし」が6.6%、 「10_その他」が2.6%、であった。 また、10カテゴリーのカイ2乗検定の結果は1%水準で有意差が認められ、 「1_持ち歩くのに重くない」(女性76.3%>男性57.1%)と「3_保管場所が不要」(女性31.6%>男性18.8%)と「4_無料の書籍がある」(女性32.9%>男性17.5%)は女性が多く回答し、 「2_書店に行かなくても購入できる」(男性42.2%>女性31.6%)と「6_文字の大きさを変えることができる」(男性7.8%>女性3.9%)と「9_特になし」(男性14.9%>女性6.6%)は男性が多く回答する結果となった。 女性のほうが、スペースや持ち運びに関する点を重視し、男性は本を読む際や買う際の利便性を重要視する結果となったことが伺える。 スペースに関しては、女性のほうが普段持ち歩くバッグに小さいものを好む傾向があることなどが影響したのではないかと考えられる。

 読書媒体の嗜好別にみると(表7-6)、紙媒体派と比べて電子書籍派の回答が多かったのは、「1_持ち歩くのに重くない」(85.7%>62.8%)、 「2_書店に行かなくても購入できる」(42.9%>40.3%)、 「3_保管場所が不要」(25.0%>23.3%)、 「4_無料の書籍がある」(35.7%>18.6%)、 「5_ちょっとした時間でも読むことができる」(25.0%>19.4%)、「10_その他」(3.6%>2.3%)の6つだった。 電子書籍と比べて紙媒体派の票を集めたのは、「6_文字の大きさを変えることができる」(6.2%>3.6%)、 「7_紙の書籍と比べて安い」(7.8%>7.1%)、 「8_紙を使わないので環境に良い」(8.5%>0.0%)、 「9_特になし」(9.3%>0.0%)の4選択肢という結果となった。この中でも、「6_文字の大きさを変えることができる」は、 本を読む際の利便性に関する選択肢の中で唯一、電子書籍派の票を集めることができなかった。ここから考えるに、電子書籍を利用する 学生は、一般的に想像されるより文字の拡大機能を利用しておらず、あまりその有用性を実感できていないことが伺える。 今回の回答者が本学の学生で、おそらく平均年齢が20歳前後であまり高くならなかったことも要因の一つと考えられる。

7-6.電子書籍の欠点(設問34)

 設問34は「電子書籍の不便だと思う点を選んでください。つぎのなかからすべて選択してください。」と質問した。 【単純集計】の結果は、「1_読みにくい」が42.2%、 「2_簡単にページを戻れない」が22.6%、 「3_媒体の充電が切れたら読めなくなる」が32.6%、 「4_紙の本のようにページをめくる実感が得られない」が24.8%、 「5_紙の書籍に比べて購入できる本が少ない」が10%、 「6_ジャンルに偏りがある」が5.2%、 「7_紙の書籍と比べて高い」が3.5%、 「8_書き込みがしにくい」が12.2%、 「9_特になし」が13.0%、 「10_その他」が1.3%であった。

 性別に見ると(表7-7)、男性の場合、「1_読みにくい」が36.4%、 「2_簡単にページを戻れない」が22.1%、 「3_媒体の充電が切れたら読めなくなる」が28.6%、 「4_紙の本のようにページをめくる実感が得られない」が20.8%、 「5_紙の書籍に比べて購入できる本が少ない」が9.1%、 「6_ジャンルに偏りがある」が3.2%、 「7_紙の書籍と比べて高い」が3.2%、 「8_書き込みがしにくい」が9.7%、 「9_特になし」が16.9%、 「10_その他」が0.6%であった。女性の場合、「1_読みにくい」が53.9%、 「2_簡単にページを戻れない」が23.7%、 「3_媒体の充電が切れたら読めなくなる」が40.8%、 「4_紙の本のようにページをめくる実感が得られない」が32.9%、 「5_紙の書籍に比べて購入できる本が少ない」が11.8%、 「6_ジャンルに偏りがある」が9.2%、 「7_紙の書籍と比べて高い」が3.9%、 「8_書き込みがしにくい」が17.1%、 「9_特になし」が5.3%、 「10_その他」が2.6%であった。また、カイ2乗検定の結果は1%水準で有意差が認められ、 「1_読みにくい」(女性53.9%>男性36.4%)と「3_媒体の充電が切れたら読めなくなる」(女性40.8%>男性28.6%)と 「4_紙の本のようにページをめくる実感が得られない」(女性32.9%>男性20.8%)と「6_ジャンルに偏りがある」(女性9.2%>男性3.2%)と 「8_書き込みがしにくい」(女性17.1%>男性9.7%)は女性が多く回答し、「9_特になし」(男性16.9%>女性5.3%)は男性が多く回答する結果となった。

 読書媒体の嗜好別にみると(表7-8)、紙媒体派と比べて電子書籍派の票を集めたのは、「2_簡単にページを戻れない」(28.6%>24.0%)、 「6_ジャンルに偏りがある」(7.1%>4.7%)、「10_その他」(3.6%>0.8%)の3つという結果となり、設問33の回答に比べて少ない結果となった。 このことから、電子書籍を愛用している人たちは、その不便さよりも利便性を重視してあえて電子書籍の利用を選んでいることが読み取れるのではないだろうか。 しかし、「1_読みにくい」、「2_簡単にページを戻れない」、「3_媒体の充電が切れたら読めなくなる」などが比較的多い票を集めており、特に 「2_簡単にページを戻れない」は紙媒体派よりも多くの割合の人が選択していることから、その利便性と同時に一定の不便さも感じていることが伺える。 一方、紙媒体派は「1_読みにくい」(48.8%>35.7%)、「3_媒体の充電が切れたら読めなくなる」(37.2%>35.7%)、 「4_紙の本のようにページをめくる実感が得られない」(27.9%>14.3%)、「5_紙の書籍に比べて購入できる本が少ない」(12.4%>10.7%)、 「7_紙の書籍と比べて高い」(3.1%>0.0%)、「8_書き込みがしにくい」(15.5%>10.7%)、「9_特になし」(9.3%>7.1%)の7つの選択肢で 電子書籍派よりも割合的に多くの票を集めた結果となり、紙媒体派がかなり多くの不満を電子書籍に感じていることが伺える。特に 「4_紙の本のようにページをめくる実感が得られない」は一番差のつく結果となり、紙媒体派が利便性のほかに紙の質感を重視して紙の書籍を 利用していることもわかった。読むためだけの利便性に関する点だけではなく、書き込みや購入できる本の種類に関しても票を集めたことから見るに、 学術書などの専門的な書籍をよく利用する大学生にとっては、まだまだ電子書籍は利用しずらい点が多くあるとも考えられるのではないだろうか。

7-7.電子書籍における今後の意向(設問35)

 設問35は「今後、本を読む際は電子書籍と紙の本のどちらを主に利用していきたいと思っていますか。ひとつだけ選んでください。」と質問した。 【単純集計】の結果は、「1_電子書籍」が20.9%、 「2_紙媒体の本」が58.3%、 「3_本は買わない」が20.9%であった。

 性別に見ると(表7-9)、男性の場合、「1_電子書籍」が22.7%、 「2_紙媒体の本」が52.6%、 「3_本は買わない」が24.7%であった。女性の場合、「1_電子書籍」が17.1%、 「2_紙媒体の本」が69.7%、 「3_本は買わない」が13.2%であった。 また、カイ2乗検定の結果は5%水準で有意差が認められ、 「2_紙媒体の本」(女性69.7%>男性52.6%)は女性が多く回答し、「1_電子書籍」(男性22.7%>女性17.1%)と「3_本は買わない」(男性24.7%>女性13.2%)は 男性が多く回答する結果となった。設問34の「電子書籍の不便だと思う点を選んでください。つぎのなかからすべて選択してください。」という質問の回答で、 女性のほうが不便な点を多く答えていたことも併せて考えると、女性のほうが電子書籍に対して不満を抱いていることがうかがえる。

Copyright 2019, Higurashi Makoto, 国学院大学経済学部 2018年度「アンケート調査」『渋谷、横浜、通学方法、プロ野球、アディダス、電子書籍、携帯アプリ、コーヒーと紅茶と国内旅行についての調査』』2019年3月17日 公表

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