出力例で用いたデータの出典と文献|SPSSの使い方

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出力例で用いたデータの出典と文献

出力例で用いたデータの出典

國學院大学 経済学部「アンケート調査」 2012年度「髪型についての調査」【を開く】

 調査対象は、2012年度「アンケート調査入門」の受講者535人で、K-SMAPY(Kokugakuin university Supporting system for Making Academic Plans and Yearly schedule)のアンケート機能を利用した「インターネット集合調査」により、2012年10月2日 00:00 〜 2012年10月8日 23:59の期間で実施し、有効回答は427人、有効回答率は79.8%であった。

國學院大学 経済学部「アンケート調査」 2011年度「学食、スポーツ、インターネットの利用、ゲーム、自動車会社、行ってみたい国および収入と支出についての調査」【を開く】

 調査対象は、2011年度「アンケート調査入門」の受講者239人で、K-SMAPY(Kokugakuin university Supporting system for Making Academic Plans and Yearly schedule)のアンケート機能を利用した「インターネット集合調査」により、2011年9月30日 1:00 〜 2011年10月3日 18:00の期間で実施し、有効回答は221人、有効回答率は92.5%であった。

國學院大学 経済ネットワーキング学科「社会経済調査UA・B」 1999年度「企業の環境対策への取り組みと商品開発戦略についての調査」【を開く】

 調査対象は業種、上場/非上場の別を問わない企業とし、、東洋経済新報社『会社四季報・CD-ROM版』に収録されている上場企業2433社、店頭公開企業865社、未上場企業3567社の計6865社を調査対象とした。等間隔抽出法を用いて抽出確率を7分の1として980社を調査対象として抽出した。郵送調査によってデータを収集し、980社のうちの220社から有効回答が得られ、有効回答率は22.4%であった。


「工業デザインの生産性向上」(PID)調査
 相関分析、偏相関分析、回帰分析、および、交差的時間差相関分析という因果分析の出力例では、(財)日本生産性本部 生産性研究所「工業デザインの生産性向上」調査研究プロジェクト(以下、「PID調査」と称す)のために収集されたデータを用いた。このデータの詳細な分析結果などは小木曽(1997)で公表している。

【データの収集】(小木曽(1997:136-42)・小木曽(2007:145-9)からの抜粋)
 PID調査では、工業デザイン部門の生産性を向上させる要因を明らかにすることを目的として、工業デザイン部門の現状把握、工業デザイン部門と他の部門との比較、および、デザインのイメージなどについての研究も行った。PID調査は、日本の製造業企業の工業デザイン部門を調査対象とした、1983年11月(以下、1983年度と称す)、および、1985年3月(以下、1984年度と称す)と、工業デザイン部門との比較を意図して、製造業企業の商品開発関連部門、アパレル産業のデザイン部門、および、デザイン事務所を調査対象とした1986年1月(以下、1985年度と称す)の三つの調査時点で実施した。1983年度と1984年度では、後述する「部門調査」、「個人調査」、および、「相互評価調査」の三通りの方法によって、1985年度では「相互評価調査」を除く二通りの方法でデータを収集した。
 「部門調査」とは、部門という組織自体を分析単位とするものであり、当該の部門の責任者を対象に郵送法により調査を実施した。「個人調査」とは、当該部門のメンバーという組織成員個人を調査単位とするものであり、当該部門の責任者宛に必要人数分の調査票を送付し、留置法もしくは集合法により調査の実施を依頼し、郵送法により回収する方法をとった。「相互評価調査」は工業デザインのエキスパートにPID調査の対象となる工業デザイン部門の生産性を評価してもらう目的で実施したものである。なお、エキスパートのうちの大半は、PID調査で有効回答が得られた企業の工業デザイン部門の管理者であるために(残りは学識経験者)、この方法を「相互評価」と呼ぶことにした。

表 「工業デザインの生産性向上」調査の有効回答数
  部門調査個人調査
  有効回答企業数有効回答部門数有効回答企業数有効回答部門数有効回答者数
1983年度工業デザイン67672828744
1984年度工業デザイン686857572072
1985年度商品企画626625148
開発419419245
技術726725281
販売363777
アパレル産業22117
デザイン事務所10101111106

 1984年度に収集した工業デザイン部門と1985年度に収集したデータとを合計すると、「部門調査」については79社の157部門、「個人調査」については69社の 148部門、2,936名から有効回答が得られ、「部門調査」と「個人調査」との両方でデータを収集できたのは67社の142部門であった。これらの1984年度に収集した工業デザイン部門と、1985年度に収集した「他部門」、アパレル産業、および、デザイン事務所のデータをまとめて「全サンプル」と呼ぶ。このように、PID調査では、3年間に渡る実査を通じて、さまざまな種類の組織からデータを収集することができた。しかし、データの回収状況は完全なものではなく、三通りの方法全てでデータを収集できたのは一部の組織に過ぎない。そこで、本書での分析では、分析目的に応じて異なるサンプルを対象に分析を行うことにした。つまり、「相互評価調査」を含む三通りの方法すべてでデータを収集できたのは、製造業企業の工業デザイン部門だけであるために、生産性および環境変数に関係する横断的分析の際には、1984年度の工業デザイン部門、計68部門のデータを分析対象とした(以下、「工業デザイン・サンプル」と呼ぶ)。また、三通りの方法すべてでパネル・データを収集できたのは、23の工業デザイン部門だけであるために、縦断的分析の際にはこれらを分析対象とした(以下、「パネル・サンプル」と呼ぶ)。
 「全サンプル」とは、1984年度に収集した工業デザイン部門と、1985年度に収集した「他部門」、アパレル産業、および、デザイン事務所、のべ163の組織のことである。「工業デザイン・サンプル」とは、「全サンプル」のうちの、1984年度に収集した工業デザイン部門、のべ68(「個人調査」の有効回答は57)の組織のことである。「パネル・サンプル」とは、「工業デザイン・サンプル」のうちの、1983年度および1984年度の両時点からデータを収集できた23の組織のことである。

【操作的定義など】
【課業特性または創発的構造変数の操作的定義など】小木曽(1997:150-4,270-1)・小木曽(2007:94-6,98-9)からの抜粋 
 課業特性(task characteristics)とは、組織成員が自己の課業を充実したもの、または、単調なものとして知覚している程度であり、「個人調査」において、回答者の仕事や職場の様子について記述した文章が回答者の仕事や職場にあてはまっているかどうか質問し、「そう思う」という回答に5点、「かなりあてはまる」に4点、「どちらともいえない」に3点、「あまりあてはまらない」に2点、「そうは思わない」に1点を与える5点尺度により操作的定義した。課業特性を部門単位でアグリゲートした創発的構造(emergent structure)とは、組織成員間での相互行為を通じて形成される組織成員によって知覚された職務や課業のパターンである。課業特性および創発的構造の下位次元には、ネットワーク型組織の操作的定義でもある自律性と自発性が含まれる。自律性(autonomy)とは、職務の遂行に関する意思決定を自ら行える程度、自発性(voluntariness)とは、強制されるからではなく自ら積極的に仕事に取り組んでいく程度である。課業特性の指標については、小木曽(1997:150-4,270-1)を参照されたい。

【コミットメントと満足または非公式構造変数の操作的定義など】小木曽(1997:155-9,271-2)・小木曽(2007:105-9)からの抜粋 
 コミットメント(commitment)とは、ある社会単位に対して貢献しようとする意欲や忠誠心、満足(satisfaction)とは、ある社会単位から得られる報酬に対する欲求充足のことであり、それぞれ、「個人調査」において、会社、同僚、仕事、および、労働組合という社会単位のそれぞれについて4項目ずつの計16項目からなる、当該の社会単位への態度を記述した質問に対して、「そう思う」という回答に5点、「かなりあてはまる」に4点、「どちらともいえない」に3点、「あまりあてはまらない」に2点、「そうは思わない」に1点を与える5点尺度により操作的定義した。コミットメントを部門単位でアグリゲートしたものを、ある社会単位が持つ自発的な貢献を生み出す能力である動員(mobilization)、満足を部門単位でアグリゲートしたものを、社会単位が供給する報酬から生まれる感情的な誘因である支持(support)とし、動員と支持を総称して非公式構造と呼んだ。したがって、組合への動員とは組合が持つ自発的な貢献を生み出す能力、会社への支持とは会社が供給する報酬から生まれる感情的な誘因、仕事への支持とは仕事が供給する報酬から生まれる感情的な誘因のことである。コミットメントと満足の指標については、小木曽(1997:155-9,271-2)を参照されたい。

【生産性変数の操作的定義など】小木曽(1997:163-6,272-3)・小木曽(2007:118-9)からの抜粋
 PID調査では、経済活動のインプットとアウトプットとの比により測定する狭義の生産性とは異なる、審美性のような文化的価値や企業の公的責任のような社会的価値を含む経済的価値には換算し得ない有効性である広義の生産性という観点から、つぎの三通りの方法により生産性を操作的定義した。相互評価による生産性は、「相互評価調査」において有効回答企業の工業デザインについての工業デザインのエキスパートによる、つぎの6指標・5点尺度の評価を単純平均して測定した。つまり、1.造形的にすぐれた審美性や情緒的価値、2.企業イメージ向上への貢献、3.新しいニーズや購買層の開拓、4.売上や利益(コスト)への貢献、5.ユーザーに貢献する機能的形態、6.時代を先どりし新しいトレンドを提案する独創性の6指標について、「非常に大きな成果をあげている」という回答に5点、「かなりの成果をあげている」に4点、「中程度」に3点、「あまり成果をあげていない」に2点、「ほとんど成果をあげていない」に1点を与えた5点尺度による評価を単純平均したものである。


【文献】

  1. 小木曽道夫(1987)「組織の構造の三次元と自己組織化過程」『組織科学』第21巻第3号、63−74頁
  2. 小木曽道夫(1997)『組織の自己革新〜知識集約的部門の現場から』【を開く】、夢窓庵、ISBN4-944088-06-X C3036 定価(本体2300円+税)
  3. 小木曽道夫(2007)『自己生産する組織〜組織の環境、公式構造、課業特性、能率、および有効性の関係』【を開く】夢窓庵、ISBN978-4-944088-16-4 C3036 \1143E、定価(税込み1200円)

Copyright: text 2000-2013 by Michio Ogiso, Revised on 21. Oct. 2013

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