國學院大學の考古学 文学部史学科考古学専攻・大学院文学研究科史学専攻考古学コース
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科学研究費補助金 基盤研究C 課題番号:22601009

博物館における人文資料形成史の研究
-静嘉堂文庫所蔵松浦武四郎旧蔵資料の研究と公開-



■ 研究の目的
 明治政府の命を受け開拓使判官として蝦夷地に赴任「北海道」の名付け親として知られる探検家、松浦武四郎の好古家としての一面に焦点をあて、近代博物館における人文資料形成史の観点から、公益財団法人静嘉堂文庫に収蔵されている松浦武四郎(1818~1888)旧蔵コレクション(考古・工芸)約1,000点の資料化と公開を目指すものである。
 松浦武四郎コレクションは、幕末から明治にかけての北方探検家、松浦武四郎が、明治3年(1870)に北海道開拓使判官を辞して以降、蒐集された考古・工芸品を含む古美術コレクションで、武四郎自らが整理し木箱に収められた状態で静嘉堂文庫に保管されている。考古資料の多くは武四郎の自書『撥雲余興』第一集(明治10年刊)、第二集(明治15年刊)に所載されており、出土地、採集地の特定が可能であることは該期におけるコレクション形成史上稀に見る好資料である。武四郎研究の泰斗、吉田武三は「この大著に収められた珍器逸品が、現在どうなっているかは筆者は、仄聞も目認もしていない」(吉田武三1964『拾遺松浦武四郎』)とあることからも、ほとんど世に知られていないコレクションであることが理解できよう。本コレクションは、その経緯は不明ながら岩崎弥之助(1851~1908)の篤志で運良く静嘉堂文庫に収まり、戦火、散逸の憂き目に遭わなかった奇跡のコレクションとも言える。
 本研究では、考古学的観点からの写真・実測図による資料の正確な記録と人文資料形成史の観点から関連資料調査に基づく時代背景、古物を巡る人的ネットワークなどを明らかにすることを目的としている。

■ 研究期間
平成22年度~平成24年度

■ 研究組織
研究代表者
 内川隆志:國學院大學研究開発推進機構准教授
連携研究者
 阪本是丸:國學院大學研究開発推進機構長・神道文化学部教授
 加藤里美:國學院大學研究開発推進機構講師
研究協力者
 成沢麻子:公益財団法人静嘉堂主任司書
 長谷川祥子:公益財団法人静嘉堂文庫美術館主任学芸員
 山田正樹:公益財団法人静嘉堂文庫美術館学芸員
 大橋美織:公益財団法人静嘉堂文庫美術館学芸員
 笹木義友:北海道開拓記念館学芸員
 三浦泰之:北海道開拓記念館学芸員
 山本 命:松浦武四郎記念館
作業協力者・研究協力者
 村松洋介:國學院大學学術資料館学芸員
 宇野淳子:学習院大学大学院博士課程後期
 加藤理香:東京大学埋蔵文化財調査室
 平野哲也:杉並区教育委員会

■ 調査の方法
 コレクションの正確な資料化を最優先とするため、資料に合わせて最も適した方法を検討し、年度計画に基づいて図化・写真撮影を実施する。資料の安全を確保するため原図作成、写真撮影作業は基本的に静嘉堂内でおこない、その後のデジタルトレース、写真整理等の作業は國學院大學で実施する。資料に付随する出土地、採集地等に関する現地調査を含めた情報収集作業についても、資料全体を詳細に検討した後、文献収集、現地調査計画を実施し、合わせて、本コレクション成立の時代背景を探るべく、関連する幕末から明治にかけての好古家研究、文化財保護行政史研究、博物館史研究を実施する。
 資料化の基本姿勢としては、コレクション全体を把握するため木箱に収納された資料、さらには一部未収納の状態で保管されている資料の器種ならびに数量を把握し、清掃を兼ね資料のコンディションチェックを実施、スケールを写し込んだ写真撮影による現状記録を行う。基本的には、松浦武四郎の意図によって整理されているため箱単位で記録し、資料に付随する注記、書付、『撥雲余興』との照合を実施し、全て記録する。木箱そのものや、資料が収納されている四方箱、蒔絵箱、包布等についても実測、写真撮影を実施し記録する。実測は資料保存を最優先とし、松浦武四郎の手によって連結、装飾された勾玉・管玉などの石製装身具類を個々にばらして実測することは原則としてしない。


連絡先:國學院大學考古学研究室 〒150-8440 東京都渋谷区東4-10-28 03-5466-0248