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4.採用したい人材(問19〜問22)

勝沼 千博

4-1.最も採用したい年齢層(問19)

 問19は「御社が新入社員を採用する際、最も採用したい年齢層を1つだけ選んで○をつけてください。」と質問した。【単純集計】の結果は、 20歳台(90.7%)、30歳台(2.3%)、10歳台と40歳台(1.2%)の順で多かった。

 規模別に見ると(表4-1)、 150人未満の企業では82.1%、150〜499人の企業では94.4%、500人以上の企業では95.0%と、ほとんどの規模の企業では20歳台の新入社員を採用したいと考えていた。(なお、150人未満の企業では10.7%の企業が無回答となっているため、無回答を除くと90%を超えている。)また、50歳台以上の新入社員を採用したい企業はなかった。

 業種別に見ると(表4-2)、製造業では90.9%、卸売・小売業では89.9%、サービス業では91.3%と、ほとんどの業種の企業では20歳台の新入社員を採用したいと考えていた。また、50歳台以上の新入社員を採用したい企業はなかった。

 創業年別に見ると(表4-3)、 1945年までの企業では87.0%、1945〜1959年の企業では95.7%、1960〜1971年の企業では100%、1978年以降の企業では85.7%と、ほとんどの規模の企業では20歳台の新入社員を採用したいと考えていた。しかし、10歳台を採用したい企業の創業年は1978年以降のみ、30歳台を採用したい企業の創業年は1945年までのみ、 40歳台を採用したい企業の創業年は1946〜1959年以降のみとなっていた。

4-2.新入社員に求める学歴(職歴)(問20)

 問20は「新入社員に求める学歴(職歴)は何ですか。1つだけ選んで○をつけてください」と質問した。【単純集計】の結果は、大卒の新卒者(74.4%)、社会人経験者(11.6%)、高卒の新卒者(4.7%)、専門学校卒の新卒者(3.5%)の順で多かった。

 規模別に見ると(表4-4)、 150人未満の企業では67.9%、150〜499人の企業では72.2%、500人以上の企業では85.0%と、多くの規模の企業では新入社員の学歴に大卒の新卒者を求めていた。 500人以上の企業と比較して、150人未満の企業と150〜499人の企業では、社会人経験者を求めている企業も多くみられた(150人未満では14.3%、150〜499人では13.9%、500人以上では5.0%)。また、500人以上の企業では、85.0%が大卒の新卒者と回答しており、高卒の新卒者を求めている企業はなかった。

 業種別に見ると(表4-5)、製造業では84.8%、卸売・小売業では70.4%、サービス業では60.9%と、多くの業種の企業では新入社員の学歴に大卒の新卒者を求めていた。また、卸売・小売業では社会人経験者(18.5%)、サービス業では専門学校卒の新卒者(13.0%)を求めている企業も多かった。

 創業年別に見ると(表4-6)、 1945年までの企業では91.3%、1945〜1959年の企業では65.2%、1960〜1971年の企業では94.1%、1978年以降の企業では52.4%と、多くの規模の企業では新入社員の学歴に大卒の新卒者を求めていた。(1978年以降の企業では無回答が14.3%と多かった。)大卒の新卒者の次に多くみられた社会人経験者は、 1945年までの企業では8.7%、1945〜1959年の企業では21.7%、1978年以降の企業では14.3%で、とくに1945〜1959年の企業で必要とされていた。また、1960〜1971年の企業では、大卒の新卒者に94.1%の回答が集中していた。

4-3.新規採用者に求める能力(問21)

 問21は「新規採用者に求める能力は何ですか。あてはまるものすべてに○をつけてください」と質問した。【単純集計】の結果は、コミュニケーション能力(79.1%)、元気・明るさ(73.3%)、一般常識(64.0%)、行動力(59.3%)、礼儀作法(50.0%)、統率力(15.1%)、語学力(8.1%)、部活動・サークル活動経験(4.7%)の順で多かった。

 規模別に見ると(表4-7)、 150人未満の企業では、全体と比較して、一般常識(75.0%)という回答が高く、コミュニケーション能力(71.4%)という回答は少なかった。 150〜499人の企業では、単純集計の結果と比較して、一般常識(52.8%)における割合は低かった。また、語学力と回答した企業はなかった。 500人以上の企業では、単純集計の結果と比較して、コミュニケーション能力(85.0%)と語学力(20.0%)における割合が高かった。なお、語学力は、χ二乗値検定の結果5%水準で有意差が認められ、150〜499人の企業では回答がなかったが、150人未満では10.7%、500人以上では20.0%が回答しており、150人未満と500人以上という「規模の両端」で語学力を求めるという結果が得られた。

 業種別に見ると(表4-8)、製造業では、全体と比較して、統率力(21.2%)における割合が高く、一般常識(70.4%)と礼儀作法(42.4%)、元気・明るさ(54.5%)における割合は低かった。卸売・小売業では、全体と比較して、一般常識(70.4%)と元気・明るさ(88.9%)における割合が高く、行動力(51.9%)における割合は低かった。また、部活動・サークル活動経験と回答した企業はなかった。サービス業では、全体と比較して、元気・明るさ(82.6%)と部活動・サークル活動経験(13.0%)における割合が高く、コミュニケーション能力(73.9%)と統率力(4.3%)における割合が低かった。なお、元気・明るさは、χ二乗値検定の結果1%水準で有意差が認められ、製造では54.5%と回答が少なかったが、卸売・小売(88.9%)とサービス(82.6%)では回答が多い、という接客業務の必要性という業種による相違があった。

 創業年別に見ると(表4-9)、 1945年までの企業では、全体と比較して、全体的に割合が低く、とくに一般常識(43.5%)、礼儀作法(39.1%)、統率力(8.7%)、元気・明るさ(60.9%)における割合は低かった。 1945〜1959年の企業では、全体と比較して、一般常識(69.6%)とコミュニケーション能力(87.0%)における割合が高く、統率力(8.7%)における割合は低かった。 1960〜1971年の企業では、全体と比較して、一般常識(76.5%)と元気・明るさ(88.2%)における割合が高く、礼儀作法(41.2%)と行動力(52.9%)、語学力(5.9%)における割合は低かった。また、部活動・サークル活動経験と回答した企業はなかった。 1978年以降の企業では、全体と比較して、礼儀作法(61.9%)と統率力(23.8%)、部活動・サークル活動経験(14.3%)における割合が高かった。

4-4.新規採用者に求める資格(問22)

 問22は「新規採用者に求める資格は何ですか。あてはまるものすべてに○をつけてください」と質問した。【単純集計】の結果は、運転免許(64.0%)、TOEIC(5.8%)、簿記検定(4.7%)、英検(3.5%)、社会人常識能力検定、秘書検定(2.3%)、漢検、情報処理(1.2%)の順に多かった。また、無回答が33.7%と多かった。

 規模別に見ると(表4-10)、運転免許(75.0%)、秘書検定(7.1%)における割合が高かったのは150人未満の企業、 TOEIC(15.0%)、英検(10.0%)における割合が高いのは500人以上の企業であった。また、150人未満の企業では、漢検、社会人常識能力検定、秘書検定、 150〜499人の企業では、英検、漢検、簿記検定、秘書検定、情報処理、 500人以上の企業では、情報処理と回答した企業はなかった。

 業種別に見ると(表4-11)、製造業では81.8%と運転免許を求める企業が突出していた。卸売・小売業では、全体と比較して、TOEIC(11.1%)と簿記検定(7.4%)における割合が高かった。サービス業では、運転免許(43.5%)と回答した企業以外は、新規採用者に求める資格を回答した企業はなかった。

 創業年別に見ると(表4-12)、 1945年までの企業では、英検(8.7%)における割合が高かった。 1946〜1959年までの企業では、簿記検定(8.7%)における割合が高かった。 1960〜1971年までの企業では、運転免許(58.8%)と情報処理(5.9%)と回答した企業以外は無回答であった。 1978年以降の企業では、運転免許(52.4%)とTOEIC(4.8%)と回答した企業以外は、新規採用者に求める資格を回答した企業はなかった。

Copyright 2010, Katsunuma Chihiro

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