設問30は、「あなたが好きな音楽のジャンルを、つぎのなかからすべて選択してください」と多重回答で質問した。 【単純集計】の結果は、回答が多い順に「J-POP」が49.5%、「アニメソング」が29.7%、「J-ROCK」が24.8%、「外国のヒップホップ」が18.8%、「クラシック音楽」が17.8%、「映画、ゲームのサウンドトラック」が16.8%、「R&B、ソウル」が16.8%、「外国のポップ・ミュージック」が15.8%、「レゲエ」が14.9%、「ジャズ」が13.9%、「J-HIPHOP」が10.9%、「外国のハード・ロック」が9.9%、「ハウス」が8.9%、「外国のオルタナティブ・ロック」が8.9%、「外国のパンク・ロック」が7.9%、「外国のへビー・メタル」が6.9%、「フォークソング」が5.9%、「K-POP」が5.0%、「その他の外国のロック」が4.0%、「ヴィジュアル系」が3.0%、「歌謡曲」が4.0%、「その他 」が2.0%、「演歌」が1.0%、「音楽を聴かない」が0.0%であった。
なお、設問31で「前問で「その他」と回答した方は、好きな音楽のジャンルをひとつ書いてください」と自由回答方式で質問した結果、2人以上の回答があったジャンルがなかった。
クロス集計とχ二乗値検定の結果、性別(表5-1)では、、女性の方が男性よりも好きなジャンルとして5%水準で有意差が認められたものが、「アニメソング」(女性:52.9%>男性:25.0%)、K-POP(女性:17.6%>男性:2.4%)であった。一方、男性の方が女性よりも好きなジャンルが多いと5%水準で有意差が認められた項目はなく、男女間で好きなジャンルの差はほとんど見られなかった。
課外活動別に見ると(表5-2)、無所属を除くと体育会連合会加盟部会所属者のみが「レゲエ」が好きと回答していることがわかった。それ以外に、課外活動別に好きな音楽ジャンルの差は見られなかった。
好きな音楽のジャンルの潜在的次元を探索するために、因子抽出の打ち切り基準を固有値の下限=1.5と設定した因子分析を行った (表5-3)。その結果、固有値が1.5以上の因子が5つ析出された。以下、いずれの因子についてもバリマックス回転後の、第1因子の固有値は2.889、分散の説明率は12.562%であった。 第1因子は、「外国のオルタナティブ・ロック」が0.844、「外国のハード・ロック」が0.598、「外国のパンク・ロック」が0.709、「その他の外国のロック」が0.822、「歌謡曲」が0.437、と負荷が強く、「外国のヘビーメタルと歌謡曲を除いた外国のロックジャンル」と解釈できる。したがって、外国のあるロックジャンルを回答している回答者は他の外国のロックジャンルも回答しているという傾向が明らかになった。 第2因子の固有値は2.656、分散の説明率は11.548%であった。 第2因子は、「外国のポップ・ミュージック」が0.639、「R&B、ソウル」が0.722、「外国のヒップホップ」が0.772、「J-HIPHOP」が0.481、「K-POP」が0.552、と負荷が強く、「広義でのヒップホップジャンル」と解釈できる。 第3因子の固有値は2.219、分散の説明率は9.647%であった。 第3因子は、「クラシック音楽」が0.617、「フォークソング」が0.600、「ジャズ」が0.577、「アニメソング」が0491.、「映画、ゲームのサウンドトラック」が0.579、と負荷が強く、「クラシック音楽とフォークソング、ジャズでの比較的穏やかで電子的な要素を含まない音楽ジャンル」と「アニメソングと映画、ゲームのサウンドトラックで楽曲以外の作品の主題歌や演出として使われる音楽ジャンル」の2つと解釈できる。第4因子の固有値は2.000、分散の説明率は8.695%であった。 第4因子は、「外国のへビー・メタル」が0763、「ヴィジュアル系」が0.769、と負荷が強く、「外国と日本でのヘビーメタル要素を含んだジャンル」と解釈できる。ヴィジュアル系とは派手で過激なファションが特徴的な日本のロック・ミュージックジャンルの一つであるが、音楽的にもスピードと重低音を強調していて外国のヘビーメタルに近い要素が見られるのでこのような分析結果になったのだと考えられる。 第5因子の固有値は1.992、分散の説明率は8.660%であった。 第5因子への負荷が強かったのは、「J-POP」の0.639のみであった。
設問32は、「あなたが1日に聴く音楽の時間はどのぐらいですか。ひとつだけ選んでください。」と単一回答で質問した。 【単純集計】の結果は、回答が多い順に「2時間以上」が29.7%、「30分〜1時間未満」が29.7%、「1時間〜2時間未満」が26.7%、「10分〜30分未満」が9.9%、「10分未満」が3.0%、「音楽を聴かない」が1.0%であった。
クロス集計とχ二乗値検定の結果、性別(表5-4)では、5%水準で有意差が認められた項目がなく、1日に音楽を聴く時間で男女間に差がないことがわかった。
設問33は、「あなたは音楽をどんな時に聴きますか。つぎのなかからすべて選択してください。」と多重回答で質問した。 【単純集計】の結果は、回答が多い順に「電車に乗っている時」が79.2%、「歩いている時」が58.4%、「自宅で暇な時 」が42.6%、「車に乗っている時」が32.7%、「自宅以外の場所で勉強する時 」が25.7%、「自転車に乗っている時 」が23.8%、「自宅で勉強する時」が23.8%、「就寝前」が22.8%、「その他の時間帯 」が7.9%、「音楽を聴かない」が2.0%であった。
クロス集計とχ二乗値検定の結果、性別(表5-5)では、女性の方が男性よりも音楽を聴く音楽を聴くことが多い時間帯として5%水準で有意差が認められたのが、「歩いている時」(女性:82.4%>男性:53.6%)、「自宅以外の場所で勉強する時」(女性:47.1%>男性:21.4%)であった。一方、男性の方が女性よりも音楽を聴く音楽を聴くことが多い時間帯として、5%水準で有意差が認められた時間帯はなく、男女間で音楽を聴く時間帯の差はそれほど見られなかった。
設問34は、「あなたは音楽をどうやって聴きますか。つぎのなかからすべて選択してください。」と多重回答で質問した。 【単純集計】の結果は、回答が多い順に「iPod(apple製)」が50.5%、「iPhone」が35.6%、「Youtube等の動画投稿サイト」が30.7%、「PCで直接再生」が21.8%、「ウォークマン(SONY製) 」が19.8%、「自宅据え置きのコンポ」が16.8%、「iPhone以外のスマートフォン」が9.9%、「appleとソニー以外のポータブルオーディオ」が2.0%、「スマートフォン以外の携帯電話」が3.0%、「音楽を聴かない」が1.0%、「その他の方法で再生」が0.0%であった。
クロス集計とχ二乗値検定の結果、性別(表5-6)では、音楽を聴く方法として5%水準で有意差が認められた項目がなく、男女間で音楽を聴く方法の差は見られなかった。
設問35は、「設問35 あなたは音楽をどのような方法で入手しますか。つぎのなかからすべて選択してください。なお「CDなど」には、DVD、アナログ盤、カセットテープを含みます。」と多重回答で質問した。 【単純集計】の結果は、回答が多い順に「TUTAYA等でCDなどをレンタル」が64.4%、「店舗でCDなどを購入 」が39.6%、「人からCDなどを借りる、貰う」が34.7%、「iTunes Store」が29.7%、「インターネットサイトでCDなどを購入」が16.8%、「その他の方法で入手」が5.9%、「iTunes Store以外の有料音楽配信サイト」が3.0%、「音楽を入手したことが無い」が1.0%であった。
クロス集計とχ二乗値検定の結果、性別(表5-7)では、音楽の入手方法として5%水準で有意差が認められた項目がなく、男女間で音楽の入手方法の差は見られなかった。
設問36は、「あなたは音楽に関する情報をどうやって入手しますか。つぎのなかからすべて選択してください。」と多重回答で質問した。 【単純集計】の結果は、回答が多い順に「Youtube等の動画投稿サイト」が56.4%、「テレビ番組」が26.7%、「口コミ」が23.8%、「動画視聴サイト以外のインターネットサイト」が22.8%、「CDレンタルショップ 」が21.8%、「CD(レコード)ショップ」が16.8%、「その他の方法で入手」が9.9%、「音楽雑誌」が6.9%、であった。
クロス集計とχ二乗値検定の結果、性別(表5-8)では、女性の方が男性よりも多い音楽情報の入手方法として1%水準で有意差が認められた「テレビ番組」(女性:58.8%>男性:20.2%)、そして、5%水準で有意差が認められたのが、「CD(レコード)ショップ」(女性:47.1%>男性:21.4%)であった。一方、男性の方が女性よりも多い音楽情報の入手方法として5%水準で有意差が認められた項目はなかった。
設問37は、「おもに日本で活動しているアーティストのなかから、あなたが好きなアーティストをすべて選択してください。」と多重回答で質問した。 【単純集計】の結果は、回答が多い順に「Mr.Children」が20.8%、「ゆず」が18.8%、「スピッツ」が18.8%、「いきものがかり」が17.8%、「サザンオールスターズ」が17.8%、「宇多田ヒカル」が17.8%、「ポルノグラフティ」が17.8%、「桑田佳祐」が17.8%、「コブクロ」が16.8%、「マキシマム ザ ホルモン」が15.8%、「嵐」が14.9%、「BUMP OF CHICKEN」が14.9%、「EXILE」が13.9%、「椎名林檎」が13.9%、「福山雅治」が12.9%、「B'z 」が12.9%、「aiko」が12.9%、「Perfume」が12.9%、「YUI」が12.9%、「GReeeeN」が12.9%、「DREAMS COME TRUE」が11.9%、「UVERworld」が10.9%、「ゴールデンボンバー」が10.9%、「初音ミク」が10.9%、「スキマスイッチ」が10.9%、「その他の国内アーティスト」が10.9%、「安室奈美恵」が9.9%、「L'Arc〜en〜Ciel」が9.9%、「斉藤和義」が9.9%、「水樹奈々」が9.9%、「HY」が9.9%、「ナオト・インティライミ」が8.9%、「ももいろクローバーZ」が8.9%、「SEKAI NO OWARI」が7.9%、「きゃりーぱみゅぱみゅ」が7.9%、「AKB48」が6.9%、「三代目J Soul Brothers」が6.9%、「JUJU」が6.9%、「木村カエラ」が6.9%、「SMAP」が5.9%、「絢香」が5.9%、「西野カナ」が5.9%、「FUNKY MONKEY BABYS」が5.0%、「SKE48」が5.0%、「国内で好きなアーティストはいない」が4.0%「関ジャニ∞」が3.0%、「Berryz工房」が3.0%、「家入レオ」が2.0%、「乃木坂46」が1.0%、であった。
なお、設問38で「前問で「その他」と回答した人は、おもに日本で活動しているアーティストのなかから一番好きなアーティストをひとつ書いてください」と自由回答方式で質問した結果、2人以上の回答があったアーティストがなかった。
クロス集計とχ二乗値検定の結果、性別(表5-9)では、女性の方が男性よりも好きなアーティストとして1%水準で有意差が認められたのが、「aiko」(女性:41.2%>男性:7.1%)、Perfume(女性:35.3%>男性:8.3%)、そして、5%水準で有意差が認められたのが「SEKAI NO OWARI」(女性:23.5%>男性:4.8%)であった。一方、男性の方が女性よりも好きなアーティストとして5%水準で有意差が認められたのが、「桑田佳祐」(男性:21.4%>女性:0.0%)であり、男女間での好きなアーティストの差はそれほど見られなかった。
課外活動別に見ると(表5-10)、無所属を除き体育会連合会加盟部会所属者のみが、「DREAMS COME TRUE」、と「Berryz工房」、「西野カナ」を回答していることがわかった。それ以外に、課外活動別に好きなアーティストの差は見られなかった。
好きな日本のアーティストの潜在的次元を探索するために、因子抽出の打ち切り基準を固有値の下限=2と設定した因子分析を行った (表5-11)。その結果、固有値が2.0以上の因子が6つ析出された。以下、いずれの因子についてもバリマックス回転後の、第1因子の固有値は5.496、分散の説明率は11.216%であった。 第1因子は、「福山雅治」が0.471、「ゆず」が0.538、「サザンオールスターズ」が0.525、「コブクロ」が0.600、「ポルノグラフティ」が0.469、「スピッツ」が0.551、「DREAMS COME TRUE」が0.604、「桑田佳祐」が0.544、「斉藤和義」が0.461、「絢香」が0.679、「FUNKY MONKEY BABYS」が0.409、「HY」が0.434、「スキマスイッチ」が0.558、と負荷が強かった。特に、「福山雅治」、「ゆず」、「コブクロ」、「スピッツ」、「桑田佳祐」、「斉藤和義」、「スキマスイッチ」ではフォークの要素があり、音楽性においての共通点が見られる。そしてフォークと同様に落ち着いた音楽性を持つアーティストが「DREAMS COME TRUE」、「HY」、「スキマスイッチ」である。したがって、第1因子では、フォークやフォークのような落ち着きのある音楽性であるアーティストが分類されているといえる。 第2因子の固有値は3.949、分散の説明率は8.060%であった。 第2因子は、「B’z」が0.494、「AKB48」が0.735、「GReeeeN」が0.512、「関ジャニ∞」が0.675、「SKE48」が0.763、「乃木坂46」が0.699、と負荷が強く、B’zとGReeeeNを除くならば、「アイドル系アーティスト」と解釈できる。したがって、ある女性アイドル系アーティストを好きだと回答している回答者は、他の女性アイドル系アーティストも好きだと回答しているという傾向が明らかになった。 第3因子の固有値は3.227、分散の説明率は6.585%であった。 第3因子は、「宇多田ヒカル」が0.404、「aiko」が0.686、「Perfume」が0.502、「椎名林檎」が0.619、「SEKAI NO OWARI」が0.583、と負荷が強く、「SEKAI NO OWARIを除けば、女性アーティスト」と解釈できる。 第4因子の固有値は2.979、分散の説明率は6.080%であった。 第4因子では、「安室奈美恵」が0.596、「JUJU」が0.747、「Berryz工房」が0.608、「西野カナ」が0.640、と負荷が強く、「伴奏がバンドによる演奏ではなくDTMなどの外部音を中心にしている女性アーティスト。Berryz工房以外は女性単独歌手」と解釈できる。 第5因子の固有値は2.911、分散の説明率は5.941%であった。 第5因子は、「SMAP」が0.684、「きゃりーぱみゅぱみゅ」が0.549、「木村カエラ」が0.591、「家入レオ」が0.617、「マキシマム ザ ホルモン」が0.458、と負荷が強く、個々のアーティスト同士でのジャンル的、メンバーの明確な共通点は見られないといえる。 第6因子の固有値は2.771、分散の説明率は5.656%であった。 第6因子は、「YUI」が0.553、「水樹奈々」が0.426、「初音ミク」が0.421、と負荷が強く、「(初音ミクはVOCALOIDのキャラクターだが)女性単独歌手」と解釈できる。特に「水樹奈々」の楽曲を「初音ミク」がカバーした、あるいはアレンジしたという曲が動画投稿サイトに多数あるため、両者の相関関係は強いと考えられる。
どのようなアーティストが好きな人がJ-POPというジャンルを好きだと回答しているかを調べるために、好きなアーティスト別のJ-POPとのクロス集計、すなわち当該のアーティストが好きだと回答した人がJ-POPを好きだと回答しているか否かの集計を行った(表5-12)。 χ二乗値検定の結果、あるアーティストが好きだと回答している場合、同時にJ-POPも好きと回答している傾向が高いと1%水準で有意差が認められたのが 「Mr.Children」の81.0%(Mr.Childrenが好きだと回答した21人のうちJ-POPが好きだと回答した人の割合)、「ポルノグラフティ」(18人)の88.9%、「スキマスイッチ」(11人)の90.9%であった。また、5%水準で有意差が認められたのが、「いきものがかり」(18人)72.2%、「ゆず」(19人)の73.7%、「aiko」(13人)の76.9%、「EXILE」(14人)の78.6%、「SMAP」(6人)の100.0%。「絢香」(6人)の100.0%、「SEKAI NO OWARI」(8人)の87.5%、「ナオト・インティライミ」(9人)の88.9%、「UVERworld」(11人)の81.8%、「ももいろクローバーZ」(9人)の88.9%であった。つまり、これらのアーティストを好んでいる人は、他のJ-POPも好んで聴いている傾向が強いということが明らかになった。
また、それとは逆にあるアーティストが好きだと回答している場合、同時にJ-POPを好きだと回答していない傾向が高いと6%水準で有意差が認められたのが「初音ミク」の81.8%(初音ミクが好きだと回答した11人のうち、J-POPが好きだと回答しなかった人の割合)であった。つまり、初音ミクのようなボーカロイドを好んでいる人は、他のJ-POPに関心がないという傾向が見て取れる。したがって、インターネット媒体で公表されることが多いボーカロイドと、大衆性の高いJ-POPの両方が好きという人はここでは少ないということがわかった。
どのようなアーティストが好きな人がJ-ROCKというジャンルを好きだと回答しているかを調べるために、好きなアーティスト別のJ-ROCKとのクロス集計、すなわち当該のアーティストが好きだと回答した人がJ-ROCKを好きだと回答しているか否かの集計を行った(表5-13) 。 χ二乗値検定の結果、あるアーティストが好きだと回答している場合、同時にJ-ROCKも好きと回答している傾向が高いと5%水準で有意差が認められたのが、「SMAP」(6人)の66.7%、10%水準で有意差が認められたのが、「木村カエラ」(7人)の57.1%、「その他の国内アーティスト」(11人)54.5%であった。「木村カエラ」はバンド構成の楽曲が多いので、木村カエラが好きな人がJ-ROCKも好きという傾向が強いのは、理解しやすい結果である。
また、それとは逆にあるアーティストが好きだと回答している場合、同時にJ-ROCKを好きだと回答していない傾向が高いと5%水準で有意差が認められたのが、「スピッツ」(19人)の52.6%、「BUMP OF CHICKEN」(15人)の53.3%であり、10%水準で有意差が認められたのが、「ポルノグラフティ」(18人)の55.6%、「Mr.Children」(21人)の90.5%、「aiko」(13人)の53.8%、「Perfume」(13人)の53.8%であった。なお、「マキシマム ザ ホルモン」は、5%水準での有意差が認められたものの、16人中8人の50.0%がJ-ROCKを好きだと回答していたため、マキシマム ザ ホルモンが好きな場合にJ-ROCKが好きか否かを判断することはできないが、表示していない「マキシマム ザ ホルモン」が好きだと選択しなかった85人のうちの80.0%の68人がJ-ROCKを好きと選択していないため、マキシマム ザ ホルモンが好きで無い人はJ-ROCKも好きでは無いという傾向が認められた。 さて、明らかにJ-ROCKであると考えられる「BUMP OF CHICKEN」を好きな人がJ-ROCKを好きと回答していない傾向があるとは、一見意外な結果だと思われるかもしれないが、「スピッツ」や「Mr.Children」といったバンド構成のアーティストを好きだと回答している場合もJ-ROCKが好きと回答していない傾向がある。つまり、日本のバンド構成のアーティストが好きであってもJ-ROCKが好きとは限らないということである。したがってJ-ROCKというジャンルを好む人はもっとバンド色が濃いアーティストが好きなのか、または大衆性が高くメディアの露出も多いバンド構成のアーティストはそもそもJ-ROCKとは捉えていないのではないかと考えられる。
好きな音楽のジャンル(設問30)と音楽の入手方法(設問35)との関係を調べるために、設問30と設問35(ただし「7_その他の方法で入手」を除く)の両方とも5%以上の回答があった項目を選んで、個々の好きな音楽のジャンル別の音楽の入手方法のクロス集計を行った (表5-14)。 χ二乗値検定の結果、「iTunes Storeで音楽を入手している」と回答した場合、同時に特定の音楽ジャンルが好きである傾向が高いと6.2%水準で有意差が認められたのが、「レゲエ」の53.3%(レゲエが好きだと回答した15人のうち「iTunes Store」を利用していると回答した人の割合)であった。同様にχ二乗値検定を行うと、「インターネットサイトでCDなどを購入」と回答した場合に1%水準で有意差が認められたのが、「ハウス」(9人)の55.6%。「店舗でCDなどを購入」と回答した場合に6.3%水準で有意差が認められたのが、「J-ROCK」(25人)の56.0%。「TUTAYA等でCDなどをレンタル」と回答した場合に1%水準で有意差が認められたのが、「J-POP」(50人)の80.0%、そして5%水準で有意差が認められたのが、「外国のオルタナティブ・ロック」(9人)の100.0%、「外国のパンク・ロック」(8人)の100.0%、「J-ROCK」(25人)の84.0%。「人からCDなどを借りる、貰う」と回答した場合に5%水準で有意差が認められたのが、「J-ROCK」(25人)の56.0%であった。
以上の結果から、考えられる好きなジャンルと音楽の入手方法の関係としては、まずインターネット経由での入手方法である、「iTunes Store」と「インターネットサイトでCDなどを購入」で有意差が認められたのがそれぞれ「レゲエ」と「ハウス」といった一般的な店舗(CDショップやTUTAYA)で入手しにくいジャンルであるということが指摘できる。つまり、逆にいえば、「レゲエ」と「ハウス」はiTunes Storeで入手するのが容易ということである。。さらに音楽の品揃えという観点から見れば、「店舗でCDなどを購入」で有意差が認められたのが「J-ROCK」、「TUTAYA等でCDなどをレンタル」で有意差が認められたのが「J-POP」、「外国のオルタナティブ・ロック」、「外国のパンク・ロック」、「J-ROCK」と各入手方法で入手しやすい音楽ジャンルに有意差が認められているといえる。また、「J-POP」を好きだと回答した人のうち80.0%が「TUTAYA等でCDなどをレンタル」と回答しているということも、TUTAYAで一番品揃えが豊富な音楽ジャンルが「J-ROCK」ということが大きく影響していると考えられる。同じく、「TUTAYA等でCDなどをレンタル」で有意差が認められた「外国のオルタナティブ・ロック」、「外国のパンク・ロック」に関しても、TUTAYAにおいて外国のロック系ジャンルは他の洋楽ジャンルより比較的豊富に揃っているジャンルということが起因していると思われる。また、「人からCDなどを借りる、貰う」で唯一有意差が認められた「J-ROCK」については、そもそもその音楽ジャンルが好きという人が一定程度いないとCD等を貸し借りすることは出来ないので、5-1.で前述したように、今回の調査で好きな音楽のジャンル3位であり、人気ジャンルである「J-ROCK」が有意差を認められたのだと考えられる。