はじめに
バンザイクリフ慰霊碑
(アメリカ合衆国サイパン島)
近年戦没者に関する慰霊・追悼・顕彰や、いわゆる「靖国問題」に関する研究は著しい活況を呈しているものの、靖国神社の歴史や、その背景をなしている、我が国における人神祭祀など、神道的な祭祀の歴史を踏まえた研究は多くなく、また、村上重良氏等に代表される古典的な議論の再生産といった研究も多数見られます。しかし、建学の精神を神道におく本学には、神道的な人を神に祀る信仰や、靖国神社に代表される戦没者に対する神道的な慰霊・祭祀(「英霊祭祀」)について、社会に対して説明してゆく責任があります。そこで、当センターにおいては、「建学の精神による独自の研究計画の策定・推進」「外部資金による若手研究者の育成支援」という設立目的に立脚し、靖国神社の問題はもとより、ひろく日本における「人神祭祀」について、主に神道の側から基礎的な事項を明らかにしつつ検討を加えるため、「招魂と慰霊の系譜に関する基礎的研究」を実施し、併せて本学にこの分野に関する継続的な研究を行なう人的、資料的な基盤の形成を図ることにしました。
本事業は若手研究者育成の観点から、大学院学生、研究補助員、PD研究員、当センターの教員からなる研究グループを組織したうえで、「人神祭祀」や戦没者に対する慰霊・祭祀の歴史的展開と、変容について文献史料やフィールドワークにもとづく実証的な研究を実施します。そして、まず、古代末期から現代に至る「人神祭祀」の流れをあとづけたうえで、改めて近代神道における「英霊祭祀」をその流れの中に位置づけます。そのうえで、近代における招魂社や靖国神社、軍や地域共同体、仏教などの宗教団体における英霊に対する祭祀のシステムや具体像をあきらかにしていきたいと考えています。以上の研究により、靖国神社の存在や、戦没者に対する慰霊の存り方が、単に近代日本において創出されたものではなく、日本における神道や民俗宗教の霊魂観、神観念と、それにもとづく慰め・悼み・追憶の歴史と経験の上に成り立つものであることが具体的な史料に基づき解明されるとともに、「招魂」や「怨親平等」など、これまで自明のものとして用いられてきた概念の解明や再検討がなされる予定です。
ウェブサイト作成作業および資料デジタル化作業については、文学研究科神道学・宗教学専攻(宗教学)武田智彦が担当しました。
謝辞
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