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2−2 ISO9000番台の取得目的と取得後の結果(問2、問3)

福崎 努

 

2−2−1 ISO9000番台の取得目的

全体として、問2の「ISO9000番台の取得目的」で多くみられたものは、顧客満足の向上(91.6%)・市場競争力の向上(58.7%)・業務効率の改善(58.1%)・従業員の教育・訓練の改善(52.4%)と以上4つが50%を超える結果となった【単純集計】。また、売上の増加(18.2%)・国内市場の開拓(18.9%)は20%を切り、取得目的としてはやや低い結果となった。そして、上記以外の結果は以下のとおりで、品質コストの低減(34.3%)・経営管理の改善(37.8%)・従業員の士気の向上(32.2%)・国際市場の開拓(22.4%)であった。

 

2−2−2 ISO9000番台取得後の結果

問2のISO9000番台の取得目的別に問3のISO9000番台取得後の結果を集計してみると、つぎのような結果が得られた(表2−2−2)

 

(1)顧客満足の向上

全体では61.0%の企業が「大変良くなった」または「かなり良くなった」と回答し、そのうち、およそ7%の企業で「大変良くなった」としている。しかし、取得目的としたという回答は90%を超えていたが、取得目的としていた企業のなかでは30.1%の企業が「変化なし」という意外な結果に終わった。

 

(2)業務効率の改善

取得目的としていた企業の75.5%は「大変良くなった」または「かなり良くなった」と回答した。また、取得目的としていなかった企業でも、30.1%の企業が「大変良くなった」または「かなり良くなった」と回答したが、しかし、4.7%の企業が「やや悪くなった」としているのも見逃せない。

 

(3)売上の増加

取得目的でも低い数値だったことを反映し、取得目的としていた企業でも70.0%の企業が「変化なし」という結果になった。

   

(4)品質コストの低減

取得目的としていた企業のおよそ半数で「良くなった」としているのに対し、取得目的以外に企業では60%を超える答えが「変化なし」であった。

 

(5)経営管理の改善

全体の結果では51%の企業が「かなり良くなっている」にしているが、これを取得目的の企業に絞ると、80%を超える数値になり、目的と結果が伴ったものと言える。

   

(6)市場競争力の向上

およそ60%の企業が目的としていたが、結果としては60%以上の企業で「変化なし」ということになった。ゆえに、ISO9000番台を取得したからといって市場競争力にはつながらないということが言える。

 

(7)従業員の士気向上

取得目的としていた企業では「変化なし」と答えた企業が6.5%だった為、ISO9000番台を取得することは、従業員の士気の向上につながるといえる。しかし、取得目的以外の企業では30%弱の企業でしか「良くなった」という結果だった為、こちらも逆の意味で目的と結果が伴ったものと言えるだろう。

 

    (8)従業員の教育・訓練の改善

全体の結果からみてもわかるように60%を超える企業で「良くなった」としていることから、従業員の教育・訓練におおいに貢献していることがわかった。

 

    (9)国際市場の開拓

取得目的としていなかった企業のほとんどが「変化なし」としている。全体的にみても60%を超える企業が「変化なし」という結果になった。

 

  (10)国内市場の開拓

こちらも(9)と同様にほとんどの企業が「変化なし」という結果になった。

 

    という結果になった。ここで全体的な結果として言えることは、前述したように、主な取得目的で顧客満足の向上、市場競争力の向上、業務効率の改善、従業員の教育・訓練の改善が挙げられる。また、ISO9000番台取得後の結果として、従業員の教育・訓練の改善、従業員の士気の向上、経営管理の改善などに結び付くが、市場競争力や市場の開拓などにはあまり影響がないようだ。

 

Copyright 2000, Tsutomu Fukuzaki

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