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1-8.育児休業制度(問8)

環買 研介

 「問8 貴社の育児休暇制度についてうかがいます」という質問に対して、「十分に活用されている」が51.5%、「あまり活用されていない」が41.2%、「この制度を利用することは困難である」が3.1%、無回答が4.1%であった。

クロス集計(表1-8-1によると、女性比率の多い企業のほうが育児休暇への対応がなされているのがわかる。女性が全体の24%以上の企業は十分に活用されていると言う回答が66.7%を占めており、あまり活用されていないが33.3%、困難であるという回答は0.0%であった。逆に女性が全体の17%未満の企業は、十分に活用されているが35.5%、あまり活用されていないが48.4%、困難であるが9.7%となっている。このことから、女性の従業員数が少ない企業にはこの制度はあまり理解されていないと考えられる。

しかし、あまり活用されていないという回答は、この制度をあまり利用することができない状況、つまり形式上での育児休暇とも考えられる。良く考えれば育児休暇は90%をこえる企業で利用することが可能ということではあるが、実際この制度を十分に利用できる企業は50%、もしくはそれ以下であろう。

 なぜならば、この制度は利益を考える企業にとって、非常に難しい問題である。公務員であればこの制度の確立はた易いであろうが、実際の企業ではそうは行かないであろう。育児休暇があるならば、その前に産休もある。これを含めると、約2年間、雇用者を保障しなければならない。(但し、育児休暇を女性がとる場合)

 このような制度を考えると、企業は女性を雇用することに消極的にならざるを得ない。女性が寿退社せずに出産し、この制度を使い2年後復帰した場合、果たして前と同じ能力の仕事ができるのかという問題もある。これらの育児休暇を含めた諸問題を解決しないことには、女性はいつまでたっても社会進出で男性と並ぶことはできないであろう。だが、これは企業の努力だけでは解決することは不可能である。国の対応が必要である。

Copyright 2002, Kensuke Kannuki

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