【単純集計】全体では集計された結果を見ると、コスト、商品需要を非常に重視している企業が多い。非常に重視していると重視しているの総計では、「価格設定」が高い値を示しており、他社との価格競争が行なわれていることがわかる。また「商品需要」も高い値を示していることから、消費者ニーズに沿った商品開発が行なわれているとおもわれる。デザインを重視する企業は、少ない。
【機能性・実用性】「非常に重視している」「重視している」共に3割を越しており、高い関心ごとであることがわかる。
【デザイン】「重視している」が最も多く、次いで「どちらともいえない」が多い。「重視していない」企業の値が最も多い。企業に関心は、比較的低い。
【価格設定】「非常に重視している」が4割を超え、次いだ「重視している」も3割を超えている。企業間の価格競争が背景かと思われる。
【コスト】「非常に重視している」が5割を超え、最も多い。コスト面の問題は最も重要な課題であるといえよう。
【商品需要】「非常に重視している」が5割近い。「重視している」は3割強である。
【革新性】「重視している」が最も高い値を示しているが、「非常に重視している」「重視している」「どちらともいえない」の選択肢に散らばっている。
企業調査規模別クロス集計の結果を見ると(表4-1)
、100人未満の小規模な企業の方が、1000人以上の大規模な企業より商品需要の項目以外は全ての項目において「非常に重視している」と答えた割合が大きかった。
【機能性・実用性】小規模な企業ほど重視していることがわかった。
【デザイン】100未満の企業と1000人以上の企業での差が一番大きい結果となった。上記にあるようにデザインに関して企業の関心が低いとあるが、100未満の企業が「重視していない」という項目で0%なのに対し、1000人以上の企業は10%の値を示し、大規模な企業が特に関心が無いということがわかった。
【価格設定】100〜299人規模の企業以外、「あまり重視していない」と答えた値が0%となった。企業規模に関係なく重視されていることがわかった。
【コスト】コストに関して、大企業の方が重視していないというのはやはり大企業の方が高い収益のもと、商品開発にかけるコストがあるためではないかと思われる。
【商品需要】設問の中で唯一1000人以上の企業が100未満の企業より「非常に重視している」という項目において高い割合を示した。
【革新性】小規模な企業ほど重視していることがわかった。商品需要を大きな企業ほど重視し、逆に革新性というものを100人未満の小さな企業が重視している点から、大企業は今まで培ってきた商品開発技術がありなおかつ顧客の認知度も高く一定の需要があると思われ、新しいものを作り出すというよりは今までのものを生かしより多く売れるものを必要としているのではないかと考えられる。一方、小さな企業ほど他社との差別化を図り、またより新しいものを追求して自社を売り込み競争に打ち勝つ為により新しいものの開発に力を入れているのではないか。
業種別クロス集計の結果を見てみると(表4-2)製造業は機能性、実用性を重視し、サービス業は価格設定を重要としていて、運輸、通信業はコストを重要と考えていることがわかった。また、運輸、通信業において各設問の重視していないという欄の回答率が高かったのは、他の業種に比べて顧客の目にふれたり、実際に商品を使用したりする機会が少ない為ではないかと思われる。
【機能性・実用性】製造業が特に重視している事がわかった。サービス業や運輸、通信業より目に見える形として物を作り出す製造業において、機能や実用性は重要になってくるのであろう。
【デザイン】デザインについてはどの業種もさほど重要視していないことがわかった。また、「どちらともいえない」という回答率も高く、デザインについては時と場合によって変わってくるのではないかと考えた。運輸、通信業において重視していないという回答率が他の業種より高かったのはやはり業務形態の違いからだと考えられる。
【価格設定】どの業種も価格設定を非常に重視していることがわかった。その中でもサービス業において非常に重視しているという回答率が一番高かったのは意外だった。
【コスト】6つの設問の中で全ての業種において非常に重視していると答えた率が高かった。また、価格設定と同じく重視していないという回答率もほぼ0に近いことから、全ての業種がコストという点において重点をおいていることがわかった。
【商品需要】サービス業が商品需要を重視していたのが意外だった。商品と聞くと製造業が中心になるイメージがあったが、サービス業において、お客様へのサービスを商品の一つとして考えているのではないかと思った。
【革新性】デザインに次いで、どの業種もさほど重視していないことがわかった。デザインと同じく運輸、通信業において重視されていないことがわかった。
商品需要を重視している企業が多く、大規模企業はその傾向が顕著である。その他の項目で小規模企業が比較的高い数値を出していることからも大規模企業との差別化を図っていることがわかる。また、業種によっても商品開発において重視している点が違うことがわかった。
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