【日時】 平成21年9月20日(日)10時~17時30分
【場所】 國學院大學・学術メディアセンター1階・常磐松ホール
【発題者】
近藤光博(日本女子大学)
中町信孝(甲南大学)
Jean-Michel Butel(仏・INALCO)
Jolyon Thomas(米・プリンストン大学)
Gregory Watkins(米・スタンフォード大学)
【レスポンデント】
臼杵陽(日本女子大学)
櫻井義秀(北海道大学)
冨澤かな(東京大学)
西村明(鹿児島大学)
山中弘(筑波大学)
【司会】
井上順孝(國學院大學)
趣旨
このシンポジウムでは、宗教文化教育の教材の一つとして映画を位置づけたときに、どのような可能性、利用の方法があり、また問題点を孕んでいるかなどを、幅広い視点から議論し、意見交換することを目指します。
映画の中にはしばしば非常に興味深い宗教文化の問題が織り込まれています。キリスト教、イスラーム、仏教といった歴史的な宗教を正面から扱ったいわゆる宗教映画は言うまでもなく、喜劇映画、ミステリー映画、恋愛映画、ドキュメンタリー映画など、さまざまなタイプの映画に、宗教に関わるテーマを扱ったシーンを見出すことができます。
それゆえ学校教育において、宗教文化の問題を身近に感じさせる上で非常に有効な教材になりうると言えます。宗教文化に関わるテーマは中等教育においては、歴史、地理、倫理、美術、音楽、国語、さらには英語といった科目に深く関わります。高等教育においては、宗教学、社会学、人類学、民俗学、歴史学、文学など多くの学問分野に関わります。
その意味で宗教文化教育における映画の活用は多くの可能性を秘めています。しかし、映画は一定の視点から描写されたものであるゆえ、偏見や誤解といったものを与えることもあります。影響が大きいだけに、この点への考慮も重要でしょう。
グローバル化が進む現代は同じ映画をほとんど同時に複数の国の人が観るとことが多くなりました。同じ映画も受け取る宗教文化の違いによって、異なった意味と影響をもたらすでしょう。そうした受け取る側の文化的差異も考慮に入れる必要が増しています。
異なった学問領域と異なった国の研究者が議論す ることで、映画を教材として用いる上で、新しいパースペクティブが生まれることを期待しています。
プログラム
9月20日(日) 20 September
9:30~10:00 受付開始 Arrival, registration
〈午前の部〉
10:00~10:10 挨拶および趣旨説明 井上順孝
Opening Remarks by INOUE Nobutaka
10:10~11:00 第1セッション 近藤光博 KONDO Mitsuhiro
「映画を教材にして比較宗教の理論的課題を明らかにする―― ひとつの試みの報告」
“A Tentative Report Examining Theoretical Issues of Comparative Religion Through Film Usage as Teaching Materials”
レスポンデント 冨澤かな TOMISAWA Kana
11:10~12:00 第2セッション 中町信孝 NAKAMACHI Nobutaka
「アラブ歴史映画に見るイスラームとナショナリズム」
“Islam and Nationalism as Seen in Arab Historical Film”
レスポンデント 臼杵陽 USUKI Akira
12:00~13:00 〈昼食 Lunch〉
13:00~13:50 第3セッション Jolyon Thomas
「西洋から見た日本映画の宗教性」
“The Religiosity of Japanese Film as Seen From the West”
レスポンデント 櫻井義秀 SAKURAI Yoshihide
14:00~14:50 第4セッション Jean-Michel Butel
「アニメはどんな宗教を語ってくれるか―『平成狸合戦ぽんぽこ』に見る日常宗教」
“The Image of Religion in Anime: Everyday Religion in Pompoko”
レスポンデント 西村明 NISHIMURA Akira
14:50~15:10 〈休憩 Break〉
15:10~16:00 第5セッション Gregory Watkins
「宗教と映画を教える際の新しい傾向」
“New Trends in Teaching Religion and Film”
レスポンデント 山中弘 YAMANAKA Hiroshi
16:10~17:30 総合討議 Concluding Discussion
司会: 井上順孝 INOUE Nobutaka
18:00~19:30 懇親会 Banquet