國學院大學日本文化研究所編、発行:創文社、2005年、A5判222頁

概要

 憲法改正・裁判員制度・ロースクールなど、法意識が大幅な変革を遂げつつある現在、西洋の法文化の導入により確立したわが国の法制度に付け加えるべきものはもう何もないのだろうか?
 本書は日・中古来の法制度が飛躍的に発展、結実した江戸時代を例にとり、その時代を生きぬいた将軍・幕府官吏・下級役人・庶民の思考の中から、現代にも通じる法意識・法過程を探る新たな試みである。徳川吉宗における法創造の手法・背景・要諦を追求した小林宏論考「徳川吉宗と法の創造」、評定所留役・吟味方与力など幕府法曹の実務の活動の上にあらわれた創造性を考察した神保文夫論考「幕府法曹と法の創造―江戸時代の法実務と実務法学―」、目安箱の特別訴訟的手続きの機能とそれがはたす法創造に論及した大平祐一論考「権力者への直訴―目安箱の意義―」、湯起請・鉄火といった神判を近世訴訟制度の中に位置づけその意味を探った吉田正志論考「賭けと裁判―湯起請・鉄火・起請文・公事銭―」の4本の講演録、ならびに4氏が一堂に会して行われたシンポジウムを収載する。公開学術講演会シリーズ第8冊目である。

目次

第一部 講演

徳川吉宗と法の創造(小林宏)
権力者への直訴―目安箱の意義(大平祐一)
賭けと裁判―湯起請・鉄火・起請文・公事銭(吉田正志)
幕府法曹と法の創造―江戸時代の法実務と実務法学(神保文夫)

第二部 シンポジウム

法文化のなかの創造性―江戸時代に探る
パネリスト(小林宏・大平祐一・吉田正志・神保文夫)
コメンテイター(西村重雄)
司会(高塩博)

あとがき
執筆者略歴