戸田義雄編、発行:大明堂、1978年

概要

 「世界の国々に自国文化学としての国学があるか」「世界の諸民族に各自の民族性・民族文化の特質を研究する学問があるか」「日本の近世国学や新国学を自国文化学として、他国のそれと比較することは可能か」というような一連の問題意識をもって、シンポジウム「国民性と学術の使命―国学の比較研究の試み」が、昭和50年に日本文化研究所の主催で開催された。本書は、このシンポジウムを柱にして、さらにいくつかの論文を補い、一冊にまとめたものである。
 本書ではまた、日本文化研究所のプロジェクトである「国学の比較研究」に関しても、その発題の主旨と今後の研究プログラムについても記している。

目次

序詞(内野吾郎)

第一部
 シンポジウム 国民性と学術の使命―国学の比較研究の試み―
 (パネリスト:渡部昇一、佐伯彰一、西義之、榎一雄、内野吾郎 司会:戸田義雄、上田賢治)

第二部
 日本文化学としての新国学の発生―芳賀矢一の国学観と日本文献学の提唱―(内野吾郎)
 国学の光と影(上田賢治)

第三部
 人文の学と民族の心(佐藤健二)
 諸民族の精魂―その他の表現としての宗教・芸術・哲学の問題―(戸田義雄)

第四部
 イスラムにあらわれたアラブの文化的伝統(加賀谷寛)
 ユダヤ人のものの見方と生活様式―ユダヤの宗教を中心とした―(浅見定雄)
 日本文明の位置付け―あとがきに代えて―(戸田義雄)

参考文献
索引
亜細亜・欧米・文化比較年表