國學院大學日本文化研究所編、発行:国書刊行会、1984年、本文824 頁、索引22頁

概要

 今日その大半が亡佚してしまった日本古代の大宝・養老律を復原する考証とその関連論考を収める論文集。本書は、以下の3篇および附篇をあわせた四篇で構成され、小林宏と高塩博が責任編集。
 第1篇には「唐律疏議の原文について」(小林)、「律集解と唐室疏議」「唐律疏議考―我が国における唐律継受の一側面―」「律附釈考」(以上、小林・高塩共同執筆)の4篇の論文を収め、これらは日本律とその母法そのものの研究でもあるが、日本律復旧の基礎的研究としての役割をも担う。
 第2篇には、日本律のテキストとして刊行した『訳註日本律令律本文篇』上下巻(昭和50年、東京堂出版)を作成する過程で著された12篇の日本律復原考証を収め、第3篇には、それ以降に著された6篇の復原考証と新稿1篇を収録している。
 附篇には、江戸時代の律逸文蒐集である「律逸」の著者をめぐる論稿その他4篇をおさめる。第2篇以下の執筆者は、小林・高塩をはじめ、川北靖之、伊藤勇人、島善高、嵐義人の6名で、いずれも本研究所主催の律令研究会のメンバーである。なお、巻末に復原の現況を一目瞭然たらしめる「日本律一覧並びに条文索引」が附されている。

目次

序詞

唐律疏とその継受の研究
唐律疏議の原文について
律集解と唐律疏議
律疏考
 一我が国における唐律継受のー断面一
律附釈考

日本律復原の考証(その一)
律逸文考
 一闘訟律三条の復原について一
律逸補遺
律条拾零
律条拾穂
律条拾塵
律条拾藻
律条拾遺
雑律姦罪諸条の復原的考察

日本律復原の考証(その二)
律条拾肋
日本律二題
大宝律若干条の復原について
 一日本律逸文研究(ー)一
養老律若干条の復原について
 一日本律逸文研究(二) 一
賦役令集解による戸婚律三箇条の復原
 一日本律逸文研究(三) 一
日本律復原及び律集解逸文に関する若干の考証
 一日本律逸文研究(四) 一
日本律復原の補訂

附篇
『律逸』の著者について
『律逸』の著者をめぐって
『律令』所感一日本思想体系3に寄せて
広池千九郎博士編纂の『倭漢比較律疏』を読む

成稿一覧

日本律復元論考一覧並びに条文索引