國學院大學日本文化研究所編、発行:続群書類従完成会、2000年、A5判380頁

概要

 國學院大學日本文化研究所が行っている大中臣祭主藤波家に関する研究成果。平成7年に國學院大學に寄贈された「神官祭主藤波家文書」に関連して、大中臣氏や神官祭主職、藤波家に関する論文を、学内外問わず多くの研究者に依頼し、編集したもの。
 「神宮祭主藤波文書」には、中世以来、神宮祭主として伝承されたもの、中臣氏直系の家柄として伝えられたもの、明治になって藤波言忠氏が天皇の側近として仕えられた言忠氏関係史料、さらには婚姻関係にある広橋家に関するものなど、多くの貴重な資料が含まれている。これらは日本にける神祇史、古代以来の祭祀研究にとって、また日本近代史研究にとっても非常に重要な資料であり、本書ではそれらの関係論説を13篇所収している。
 関係する刊行物として、平成5年には岡田莊司教授を中心に『大中臣祭主藤波家の歴史』(続群書類聚編纂会)が編纂刊行され、平成9年には史料を整理の上『神宮祭主藤波家文書目録』(日本文化研究所)が出版されている。所載論文は、以下の通りである。

  • 大化前代における中臣氏の動向―中臣烏賊津使主伝承を手がかりとして―(荊木美行)
  • 八~九世紀の伊勢神宮史料に関する一考察―内宮政印と大神宮司印をめぐって―(小倉慈司)
  • 神宮幣帛使と中臣氏―「祭主」成立の史的背景―(早川万年)
  • 清麻呂流大中臣祭主家成立の背景―太神宮の崇咎と清麻呂―(藤森馨)
  • 鎌倉期の神宮祭主についての一、二(平泉隆房)
  • 神家神道発生考―祭主家大中臣氏の宗教的性格―(牟禮仁)
  • 大中臣祭主家と伊勢神道書―大中臣定世の古事記書写を通路として―(岡田莊司)
  • 近世における祭主職の継承(平井誠二)
  • 神宮長官の就任儀式(中西正幸)
  • 侍従藤波言忠と欧州帝(王)室制度調査(堀口修)
  • 皇室制度形成と藤波言忠(川田敬一)
  • 藤波言忠と牧野伸顕―「人物払底」下の天皇側近―(柴田紳一)
  • 補:『光業卿記』と『継塵記』(今江廣道)