國學院大學日本文化研究所編、発行:汲古書院、2004年、四六判上製カバー318頁

概要

 律令研究会の研究報告書。本研究所主催の律令研究会は、昭和44年1月に第1回例会を開催した。爾来、養老令の注釈書集成である『令集解』を講読し続け、平成16年5月、例会はついに300回を迎えた。
 研究会は昭和60年度よりは年1回の割合で、会員あるいは会員外の諸氏より最新の研究を報告していただき、その都度、要約を研究所報に掲載した。本書は例会300回を記念して、これらの要約や研究会記事等を一書にまとめたものである。

目次

I部
律令研究会の発足(瀧川政次郎)
律令研究会第百五十回例会を迎えて(小林宏)
律令研究会について(高塩博)
律令研究会第二百回記念講演会
 挨拶(小林宏)
 諧謔家としての瀧川政次郎先生(島善高)
 瀧川政次郎先生と律令研究会(下村效)
北京に於ける瀧川政次郎博士(島善高)
『譯註日本律令』の終結に際して(小林宏)

II部
新説を出すことにあせらぬこと(坂本太郎)
近代化と律令法(小林宏)
白鳳仏の一考察――山田寺仏頭を巡って(山下重一)
日本の律法典における形式性と実用性(小林宏)
日本律二箇条の復原について(宮部香織・石岡浩)
《書評》國學院大學日本文化研究所編『日本律復原の研究』(木暮英夫)
大宝令の注釈書「古記」について――研究史の整理と今後の課題(宮部香織)
『令集解』所引の「師説」と「師云」(長又高夫)
変わりゆく律令解釈(宮部香織)
奴婢は奴隷か(榎本淳一)
律令制下の判事局について(長谷山彰)
風土記と律令(高藤昇)
律令制下の武具――『国家珍宝帳』の解釈を中心として(近藤好和)
日本の古代駅路と世界の古代道――特にローマ道との比較を主にして(木下良)
格式法の位置づけをめぐって(大津透)
儀式における唐礼の継受(古瀬奈津子)
『本朝法家文書目録』の価値(瀬賀正博)
「因准」について――明法家の法解釈理論(小林宏)
焼尾荒沈の禁制(水戸部正男)
中世の神判について――「刑政総類」所収、一分国法の起請条規にかかわって(下村效)
中国法の受容と徳川吉宗(高塩博)
「刑法新律草稿」の発見(高塩博)
新律綱領の虚像と実像――法原理とその運用実態の関係をめぐって(後藤武秀)
明治期弁護士考――馬袋鶴之助文書の研究(村上一博)
敦埠写本書儀にみる唐代法制史料(丸山裕美子)
宋代における絶対的法定刑の修正について(川村康)
明代の律令考――洪武年律令編纂の二・三の史料の再検討から(佐藤邦憲)
西欧中世の註釈学者と法律学(渕倫彦)

律令研究会の歩み
編集後記(高塩博)
執筆者紹介