cover

國學院大學日本文化研究所『国際研究フォーラム「日本の宗教文化を撮る」報告書』令和5(2023)年2月

 「誰もがカメラを持ち歩き、カメラに撮られる日常を送っている。ほとんどの人々が、折に触れて写真を撮り、カメラに写り込んでいる。街には防犯カメラも溢れており、車にもドライブレコーダーという名でカメラがついている。撮り、撮られることは、意識せずとも日常になっている。
 本報告書は、2021年12 月に國學院大學研究開発推進機構日本文化研究所の主催で開催された国際研究フォーラム「日本の宗教文化を撮る」における議論をまとめたものである。
 2014 年にInstagram の日本語サービスが開始され、2017年には「インスタ映え」が流行語大賞を撮った。だれもが写真を撮って発信するようになった時代に、私たち研究者はどう撮ることに向き合っていく必要があるのか。何を知る必要があるべきなのだろうかと考えるようになった。
 1980 年代、ジェイムズ・クリフォードら文化人類学者たちは「文化を書く」という行為をめぐって議論をした。研究者は学術的な行為として「書く」ことを行う。客観的に記述しているつもりでも、そこには書き手の意図が否応なく紛れ込んでしまう。書き手と書かれる側の関係、言語の違いも書くときには影響を受ける。では、「文化を撮る」ことはどうだろうか?写真は「真を写す」と書き、あたかも客観的で真実を写しだしているように思われる。しかし、同じ場所であってもまったく同じようには撮れないように、実は撮ることもさまざまな思いや条件の制約を受けるのではないだろうか。
 こうした問題意識のもとに構想されたのが、今回の国際研究フォーラムである。この議論をきっかけに、「撮る」ことの危うさと魅力を感じて頂けると幸いである。」(平藤喜久子「はしがき」)

報告書のPDFは以下のリンク先からダウンロードすることができる。

『国際研究フォーラム「日本の宗教文化を撮る」報告書』(PDF: 12.8M)

冊子版をご希望の方は研究開発推進機構事務課までお問い合わせ下さい。

【目 次】
はしがき
開催概要

国際研究フォーラム「日本の宗教文化を撮る」 「仏像の3D 計測と「お身代わり仏像」―仏像盗難と地域社会の現在―」(大河内智之)

「いまドキュメンタリーを撮るということ―寺院のCOVID-19 対応から考える―」(ティム・グラフ)

「カジュアルに真面目に、映像(映画・ドラマ・番組)で伝える神社」(山咲 藍)