『国際研究フォーラム「21世紀における国学研究の新展開 国際的・学際的な研究発信の可能性を探る」報告書』令和3(2021)年2月
「本報告書は、2020年2月8日に実施された国際研究フォーラム「21世紀における国学研究の新展開 国際的・学際的な研究発信の可能性を探る」における発表、討議をまとめたものである。新型コロナウィルスの感染拡大の足音が静かに忍び寄るなか、ぎりぎりのタイミングで対面の開催とすることができた。その後、感染拡大の局面となり、各種の講演会や研究会が続々と中止となった。4月7日には緊急事態宣言が発出され、大学の授業もすべてオンラインとなった経緯を振り返ると、本国際研究フォーラムを対面で開催し、国内外からの多くのパネリストと直接に議論できたことは、きわめて貴重な機会であったと痛切に感じている。 さて、國學院大學研究開発推進機構日本文化研究所は、2007年にそれまでの國學院大學日本文化研究所を発展させる形で設置された研究開発推進機構の一機関となった。そのことを機に「神道・国学研究部門」と「国際交流・学術情報発信部門」の2部門を設置し、それぞれの研究事業を推進してきた。国際研究フォーラムは、2008年から主に「国際交流・学術情報発信部門」が中心となって日本文化研究所の行事として企画し、さまざまなテーマを取り上げて議論をしてきたが、今回は「神道・国学研究部門」が「國學院大學 国学研究プラットフォーム」の構築の最終段階に入ったということで、国学をテーマに据えて実施する運びとなった。 過去を振り返れば、日本文化研究所が関わった国学に関わる国際シンポジウムとしては、2003年の「《神道》はどう翻訳されているか」(21世紀COEプログラム)があった。そこで、「国学」をどう翻訳すべきかが問われていたことが印象に残っている。 “Kokugaku”とすべきかNativismかNational Learningか。その後も国際学会などで海外の国学研究者たちの発表を聞く機会が何度かあったが、その議論はまだ決着していないと感じている。国学をどう表現するかという問題は、国学とはなんであるのか。どういうものとして論じたいのかという問いである。それは翻訳するという局面や国際的な議論の場であるからこそ立ち上がってくる問題でもある。今回の国際研究フォーラムは、まさにあらためて国学の輪郭を問い直す場になった。さまざまな地域文化を背景に持ち、広い視野を持つ国際的な研究者たちによる「国学」をめぐる議論は、ときに国学とは何かを問うことすら忘れてしまいがちなわれわれに新たな気づきをもたらした。本報告書の刊行によって、あらためてその気づきがさらに多くの方々にもたらされることを期待したい。」(平藤喜久子「はしがき」)
報告書のPDFは以下のリンク先からダウンロードすることができる。
『国際研究フォーラム「21世紀における国学研究の新展開 国際的・学際的な研究発信の可能性を探る」報告書』(PDF: 12.5M)
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