「福利厚生で最も力を入れていること」であるが企業の人数によって無回答、衛生面を除いた福祉、休暇、給料について200人未満、2000〜499人、500人以上の各企業の回答がかなり固まっていることが 表3-3-1から明らかになっている。まずダントツの無回答率を示した500人以上の企業は他に比べると給料の増加が少ない。そして衛生面についての回答が多かった2000〜499人の企業は休暇についての回答が少ない。そして最後に、給料についての解答が多い200人未満の企業は福祉についての回答が少ない。これによって分かるのは3つのグループをそれぞれひとまとめにすると各グループが何を求めていて、何をいらないものと考えているか(?)が分かるということである。3つのグループに共通しているのは福祉の向上を第一に考え(福利厚生についての質問だからあたりまえかもしれないが)、衛生面は二の次といった感じがする。衛生面、無回答を除いた各回答から考えると200人未満のグループではまず給料が一番、そして福祉休暇の順であり、休暇よりも給料を求めていると考えているのが分かる。こうすると次の2000〜499人グループは休暇はいらないから給料、福祉を求める働き者(?)、500人以上グループは給料よりも休暇、福祉を求めているような感じがするのだ。
問12の単純集計結果は、企業のイメージアップ(26.8%)と人材が育つ(42.3%)を重要視しておりこれら二つで全体の約7割をしめている。とくに人材が育つに関して42.3%と過半数近くを得ており企業は有能な人材を最も求めていることがこのことからわかる。さらに現状維持が非常に少なく何かしら企業は変革を求めていると言えよう。
問11と問12のクロス集計によると(表3-2-1)、福祉の向上にもっとも力を入れている企業ではイメージアップ(31.1%)と人材育成(31.4%)、休暇の増加にもっとも力を入れている企業では企業のイメージアップ(38.9%)、給与の増加にもっとも力を入れている企業では人材が育つ(66.7%)、衛生面の良さにもっとも力を入れている企業では企業のイメージアップ(57.1%)、がそれぞれ福利厚生などで力を入れた結果が得られている。
問11の結果は福祉の向上と給与の増加をしようとしている企業が多く、その結果が企業のイメージアップと人材育成になると考えている企業が半数を占める。不況の今日、まずもとめるのは恒久的な利益だと考えるのが妥当ではないのだろうか。
また、企業の利益の増加を第一に考えているところが少なく本心からこの問いに答えているとは考えにくい。この集計結果を見る限りアンケートでも企業のイメージをあげようとしているのではないかと疑いたくなる。
時代の流れとともに企業は変革を余儀なくされてきた。企業はその中で必死に戦い抜いてきた。不況である現在、企業は社員のことを考え日々、時代の流れに身を任せずに自分で道を切り開き歩んでいる。その企業の社員を思っている一面が調査できうれしく、またこれからの自分の道も切り開いていきたいと思う。
Copyright 2002, Masayuki Tsuji and Norio Miyata