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2.宣伝活動のために重視している媒体(問3)

池津 友美・坂井田 慎

 問3では、「宣伝活動のためにつぎの媒体をそれぞれどの程度重視していますか」との質問し、新聞・雑誌・折込チラシ・TVのCF・路上宣伝・ラジオ・電車中刷り・インターネットの8つの媒体のそれぞれについて、「非常に重視している」「かなり重視している」「どちらともいえない」「あまり重視していない」「重視していない」の5点尺度によって回答を求めた。そして、「非常に重視している」と「かなり重視している」とをまとめて『重視』、「あまり重視していない」「重視していない」とをまとめて『非重視』という2つのカテゴリーをもうけた。

2-1.単純集計

 (表2-1)の【単純集計】の結果、「雑誌・インターネット」の利用を重視する会社は、それぞれ56.3%,70.3%と『重視』している企業が多い。雑誌は近年旅行雑誌の出版が相次ぎ比較的安価に掲載出来るからではないだろうか。また分野別の雑誌に掲載することは、旅行を希望する特定の消費者に情報を提供することができ、無駄なコストを省くことになります。インターネットは安価で大勢の人へ情報を伝えることが出来ます。これら二つは「見たい人に見てもらう型」広告形態で、余分な経費を減らすことが最大のメリットである。
 次に「折込チラシ・路上宣伝・ラジオ・電車中刷り」を見てみると、多くの企業がこれらの媒体を用いた宣伝方法を軽視していた。それぞれ50.0%,60.2%,55.5%,59.4%,と半分以上の企業が軽視していた。これは四つの広告形態が不特定多数の消費者へ情報を伝えることは可能であるが、それに伴うコストも大きいと考えられるためであろう。
 「新聞・TVのCF」これら二つは「多くの人に見せる型」広告形態で、余分な経費を減らすことが最大のメリットである。これらを『重視』する企業と軽視する企業の数が半分に分かれました。新聞を『重視』する企業は41.5%,『非重視』する企業は34.4%、TVのCFを『重視』する企業は36.7%,『非重視』する企業は40.6%と半分に分かれた。これら二つの媒体は宣伝効果としては、他の媒体より大きな影響力がある。しかしそれに伴う宣伝コストも他の媒体よりも大きい。
 以上のことをまとめると、現在の宣伝活動はインターネット・雑誌などの専門情報を多く載せる媒体へ特化している。この方法は費用が安いため、今後もこの分野へ特化していく企業が、増加していくことが予想される。

2-2.企業規模別クロス集計

 規模別クロス集計(表2-2)の結果、まず新聞は100人未満の企業で『重視』しているが58.6%、どちらでもないが10.3%、『非重視』が24.1%となった。また100〜299人の企業では『重視』しているのが53.3%、どちらでもないが3.3%、『非重視』が33.3%となった。300から999人の企業では『重視』しているが61.9%、どちらでもないが10.9%、『非重視』が26.0%となった。1000人以上の企業になると『重視』しているが60.0%、どちらでもないが30%、『非重視』が10%ととなった。
 企業規模に関係なく全体的に『重視』されているが、どちらかと言えば企業規模が大きいほど重視されているようである。
 次に雑誌について見てみると、100人未満の企業では『重視』しているが62.1%、どちらでもないが10.3%、『非重視』が24.1%である。100〜299人の企業では『重視』しているのが56.6%、どちらでもないが13.3%、『非重視』が23.3%である。300から999人の企業では『重視』しているが63.1%、どちらでもないが10.9%、『非重視』が23.9%である。また1000人以上の企業になると『重視』しているが35.0%、どちらでもないが20.0%、『非重視』が45.0%となった。企業規模1000人以上の大規模な企業では『重視』されておらず、雑誌に興味を示す様子はなかった。それ以下の中小企業では重視されているようだ。
 折込チラシは100人未満の企業で『重視』しているが31.0%、どちらでもないが20.7%『非重視』が44.8%である。また100〜299人の企業では『重視』しているのが16.6%、どちらでもないが20.0%、重視していないが53.3%である。300から999人の企業では『重視』しているが16.1%、どちらでもないが17.4%『非重視』が52.1%である。1000人以上の企業になると『重視』しているが35.0%、どちらでもないが20.0%、また重視しないが40.0%を占めた。企業規模が大きいほど重視されている割合が大きいようだが、全体的にはあまり重視されていないように見える。新聞と同時に折り込まれるチラシは、二度手間になるので新聞だけを重視している企業がほとんどなのではないだろうか。
 次にTVのCFだが、100人未満の企業では『重視』しているが31.0%、どちらでもないが17.2%、重視していないが48.2%である。100〜299人の企業では『重視』しているが30.0%、どちらでもないが16.7%、『非重視』が43.3%であった。300〜999人の企業では『重視』しているが39.1%、どちらでもないが19.6%、『非重視』が37.0%である。1000人以上の企業では『重視』しているが55.0%、どちらでもないが10.0%、『非重視』が30.0%であった。大規模企業が大きくなるにしたがって、重視しているところが多い。テレビCFは製作するのに高いコストがかかるため、小規模企業では難しいのではないかと考えられる。
 路上宣伝はと言うと、100人未満の企業で『重視』しているが14.1%、どちらでもないが20.3%、重視していないが55.1%である。100〜299人の企業では『重視』しているが6・6%、どちらでもないが20.0%、重視していないが53.4%。300〜999人の企業で『重視』しているが17.4%、どちらでもないが19.6%、『非重視』が58.7%を占めた。また1000人以上の企業になると、『重視』しているが15.0%、どちらでもないが20.0%、重視していないが60.0%であった。このように路上宣伝は企業規模に関係なく、各企業で重視されていない。路上宣伝はあまり広告としての機能を重視されていないようである。私たち消費者から見れば、街中で見る広告に目を引かれて購買意欲がでてくると思ったのだが、意外な結果であった。
 ではラジオはどうだろう。100人未満の企業では『重視』しているが13.8%、どちらでもないが20.7%、重視していないが62.0%となった。また100〜299人の企業では『重視』しているが10.0%、どちらでもないが20.0%、『非重視』が60.0%である。300〜999人の企業では『重視』しているが37.0%、どちらでもないが13.0%、重視していないが45.6%である。1000人以上の企業では『重視』しているが15.0%、どちらでもないが25.0%、重視していないが55.0%となった。企業規模が大きくなるにしたがって、『重視』されなくなる。大企業でのラヂオ宣伝は効力がないとみなされているのではないか。
 電車の中刷りをみてみよう。100人未満の企業では『重視』しているが6.8%、どちらでもないが31.0%、『非重視』が58.6%、である。また100〜299人の企業では『重視』しているが6.6%、どちらでもないが16.7%、『非重視』が66.7%。300〜999人の企業では『重視』しているが15.2%、どちらでもないが23.9%、『非重視』が56.5%であった。1000人以上の企業になると、『重視』しているが20.0%、どちらでもないが25.0%『非重視』が50.0%であった。全体的に重視されておらず、企業規模に関係なく電車の中刷りは利用されていないようである。
 最後にインターネットについてみてみる。100人未満の小さな企業では重視しているが79.3%、どちらでもないが13.3%、『非重視』が12.5%である。100〜299人の企業では重視しているが60.0%、どちらでもないが10.0%、『非重視』が20.0%である。300〜999人の企業では重視しているが69.6%、どちらでもないが15.0%、重視していないが15.2%を示した。また企業規模1000人以上になると、重視しているが85.0%、どちらでもないが15.0%、『非重視』が0.0%であった。全体的に重視されており、100人未満の小規模企業でも重視している企業が多いことからも分かるように、インターネットはコストが安いので利用しやすいのだろう。また1000人以上の企業では重視し ていない企業は無いのが特徴だろう。

Copyright 2003, Ikezu Tomomi and Sakaida Shin

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