【目次へ】 【凡例へ】 【調査票へ】

1.情報を入手するメディア

佐藤 陽一

1-1.「概況」(単純集計)

1-1-3.新聞利用傾向

 最も読む新聞の種類は【問1】は、71.5%が一般紙、10.6%がスポーツ紙となっていた。また、新聞の利用頻度は【問8】は、全体のおよそ6割がほぼ毎日、すなわち少なくとも1日に数分程度以上は新聞を読んでいる。また、新聞から入手している情報については【問9】、趣味娯楽生活関連情報の入手源としている人は他メディアと比べて少なく39.7%にすぎず、、新聞には政治経済(報道が53.0%、解説が35.1%)、社会問題(報道が52.3%、解説が35.1%)についての情報が期待されているようである。

1-1-4.テレビ利用傾向

 をもっともよく視聴しているテレビは【問2】、予想通り民放地上波が75.5%と最も多かったが、一方、見ないと答えた人も5.3%と僅かながら存在した。テレビの利用頻度【問8】は、何らかのTV放送を毎日見ると答えた人は90%に上り、テレビというメディアの重要性が伺える。テレビから入手している情報については【問9】、政治経済、社会問題情報の入手について新聞に近い傾向があり、時事情報の入手源としても大きな役割を果たしている。

1-1-5.ラジオ利用傾向

 ラジオは「聴かない」という人が55.0%であり、利用している人の場合ではFM民放が21.2%、AM民放が19.9%でほぼ同じであった【問3】。今回調べたメディアの中では最も利用されていなかったメディアであるラジオの利用頻度についてみると【問8】、毎日聞いているのは全体のうち20%弱であった。ラジオを利用している場所については【問7】、自宅で利用するという人が37.1%を占めているものの、移動中とした人も全体の6.6%弱で、車載、携帯して利用している人もそれなりにいるようである。また、ラジオから入手している情報の傾向がインターネット利用者に近くなっている【問9】

1-1-6.インターネット利用傾向

 利用したことがあるインターネットのサービスに関しては【問4】、87.1%と9割近くの人はWWWを利用したことがあり、78.1%と8割近くがEメールを利用したことがあり、これらが上位2位を占めた。ファイル転送利用が37.1%あり、ブロードバンドの恩恵か、ファイルのやりとりはインターネットを通じて行っている人もいるようである。オンラインゲームの利用度が26.5%と4分の1に達していたのは意外である。インターネットの利用場所については【問7】、一方、自宅外での利用が30%ほどあり、その大部分を学校が占めていることから、利用はするが自宅ではインターネットに接続していないという人も全体の3分の1ほどいるようである。インターネットで入手している情報は【問9】、80.8%と圧倒的に趣味娯楽生活関連情報が多いが、平行してその他の情報(複数回答で政治経済報道12.6%、社会問題報道17.2%、科学教養21.2%)も入手している。多方面の情報が一気に集められるWWWの特徴と言えるだろう。

1-1-7.雑誌利用傾向

 もっともよく読む雑誌【問5】は週刊33.3%、月刊誌36.7%がそれぞれ3割強、月2回刊(隔週刊)が11.3%と1割強、読まれている。雑誌の利用頻度【問8】は、少なくとも数分以上は毎日読む人が約35%で、週に数回が35.1%であるほか、月に数回というのも24.5%あり、全く触れないという人は6.0%であった。
 雑誌の利用場所で特徴的なのは【問7】、立ち読みではないかと思われる「店舗で読む」という人が25.2%あり、書籍の7.9%と比べ購入せずに済ませている人が多いことが伺える。また、雑誌は専ら趣味娯楽生活関連情報(80.6%)を入手する為に利用されている【問9】

1-1-8.書籍利用傾向

 一ヶ月の読書量【問6】は、1冊前後が41.7%、5冊前後が25.5%とそこそこに読まれている。一方、読まないと答えた人も14.6%あった。また、利用場所については【問7】、移動中に利用するとした人が32.5%おり、これが書籍というメディアの特徴と言えるだろう。書籍を【問9】科学教養についての情報源としている人は38.4%であり、他のメディアと比べ高い数値となっている。

1-2.クロス分析1

1-2-1.新聞利用者と各情報

 スポーツ紙利用者は一般紙利用者と比較して、趣味生活娯楽情報を新聞(スポーツ紙57.1% >一般紙21.6%)だけでなく(表1-1)、TV(スポーツ紙80.0%>一般紙51.2%、)でも多く得ているようである(表1-2)

1-2-2.テレビ利用者と各情報

 NHK視聴者はテレビで社会問題報道を重視しており(50.0%)、民放視聴者はテレビで趣味娯楽生活情報を多く得ていたが(58.90%)、民放視聴者も社会問題報道を重視するという回答が24.2%あった(表1-3)

1-3.クロス分析2

1-3-1.新聞利用度と他メディア利用度(表1-4)

 新聞の利用度とテレビの利用度に関して、やや反比例の傾向が見られるが、新聞をよく読む人ほど他メディアの利用度も高くなっている。

1-3-2.テレビ利用度と他メディア利用度(表1-5)

 テレビをあまり利用しない人は他のメディアの利用度もあまり高くはないが、それぞれを少しずつ利用しているといったところである。書籍の利用度はテレビの利用度と反比例の傾向にある。またテレビを利用しないという人ほどインターネットの利用度が高くなっている。

1-3-3.ラジオ利用度と他メディア利用度(表1-6)

 新聞、テレビに関して大きな差異は認められなかったが、書籍、雑誌について利用時間が比例する傾向が見られた。また、ラジオのヘビーユーザはインターネットのヘビーユーザと重なるようである。

1-3-4.インターネット利用度と他メディア利用度 (表1-7)およびインターネット利用傾向(表1-8)

 インターネットを3時間以上利用するというヘビーユーザは、他のメディアを利用しないという値が短時間利用者に比べて低く、多くのメディアを利用しているようである。また、インターネットを利用しない人はテレビをよく見ているようである(1時間以上+3時間以上テレビを利用:100%)。インターネットと書籍の利用度に関しては、インターネットを1時間以上利用する人と全く利用しない人という両極端において、書籍の利用度が高くなる傾向がある。

 インターネットの各サービスは、利用時間が長くなるほど多くのサービスを利用しているようである。1時間以上+3時間以上利用している人は全てのサービスにおいて利用率が平均値を上回っている。

1-3-5.雑誌利用度と他メディア利用度(表1-9)

 新聞利用度、ラジオ利用度、書籍利用度に関して比例関係が見られたが、雑誌を全く利用しない人は代わりになのか、書籍をよく利用しているようである。

1-4.「総括」

 テレビを多く利用していると文字・静止画メディアである新聞、雑誌、書籍、インターネット(とりわけWWW)の利用度が下がる傾向にあるようである。
 ラジオとインターネットの利用者及び入手している情報が重なっているというのは意外であった。視覚・文字メディアであるWWWと聴覚・音声メディアであるラジオを平行して利用しているのだろうか。
 新聞とインターネットをよく利用している人は他のメディアもよく利用しているようである。そもそも情報収集意欲が旺盛な人は当然の帰結として、多くのメディアを長時間利用しているということなのではないだろうか。

Copyright 2003, Satou Youichi

【先頭行へ】【つぎへ】