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9.企業の社会的責任(問14〜問15)

加藤 結香

9-1.企業の社会的責任(問14)

 問14は「貴社は、つぎのそれぞれの方に対する社会的責任をどの程度重視していますか。なお、以下、企業の社会的責任とは、利害関係者(ステークホルダー)に対して企業活動について説明責任を果たすことを意味すると考えてください」と質問した。【単純集計】の結果は、社会・従業員・地域に対しては「重視している」が多く、消費者・顧客に対しては「非常に重視している」が多かった。

 規模別に見ると(表9-1)、社会・従業員・消費者・顧客に対しては、規模に関わらず「非常に重視している」または、「重視している」が80〜90%以上を占めている。
 しかしながら、地域に対しては、「非常に重視している」「重視している」が70%程度で、「どちらともいえない」が100人未満では16%、100〜299人では19%、300人以上が17.3%となっている。もう少し細かく見てみると、規模が100人未満では、「非常に重視している」が、社会:28%、従業員:32.0、地域:20%、消費者:24%、顧客:44%であり、一方の300人以上になると、「非常に重視している」が、社会:47.8%、従業員:52.2、地域:30.4%、消費者:56.5%、顧客:65.2%となっている。  このことから、規模が大きくなるにつれて、社会的責任を重視していることがわかる。

 業種別に見ると(表9-2)、建設業、製造業、卸・小売業、サービス業の4種に分けることができる。 どの業種とも、社会・従業員・消費者・顧客に対しては、規模別と同様に、「非常に重視している」「重視している」が全体の70%を超えているのがわかる。 しかしながら、地域に対しては、全体的に「どちらともいえない」が多い。
具体的に述べると、建設業に関しては、「非常に重視している」が23.1%、「重視している」が30.8%、「どちらともいえない」が38.5%と、「どちらともいえない」の割合が著しく大きい。
 このことから、建設業では、地域を重視しすぎてしまうと、顧客それぞれの要望に応えられなくなってしまう恐れがあるからだと推測できる。

 創業年別に見ると(表9-3)、まず、1949年以前、1949〜1968年、1969年以降と3つに分けることができる。分析してみると、どの対象に対しても、1949年以前創業、1949〜1968年創業は、同じぐらいの数字になっている。しかしながら、1969年以降創業に関しては、著しく異なるものもある。例えば、顧客に対して「非常に重視している」は、1949年以降は51.7%、1949〜1968年は59.3%、そして1969年以降は39.8%である。また、従業員に対しても、1949年以降は37.9%、1949〜1968年は44.4%、1969年以降は、17.9%と大きな差があるのである。しかし、「非常に重視している」と「重視している」をそれぞれの創業年毎に全体的に見ると、目だった差はないため、1969年以降創業は、社会・従業員・地域・消費者・顧客を平均的に重視しているということがわかる。

9-2.企業の社会的責任(問15)

 問15は「社会的責任に関する業務に携わる人数について伺います。1)社会的責任に関する業務に携わることがある人は、どのぐらいいらっしゃいますか。2)そのうち社会的責任に関する業務に専念している人は、どのぐらいいらっしゃいますか」と質問した。
 【単純集計】の結果は、1)・2)ともに、10人未満が一番多い結果となった。

 規模別に見ると(表9-4)、社会的責任に携わる人数を10人未満とした企業が、規模が100人未満では64.0%、100〜299人の規模では47.6%、300人以上の規模では34.8%と、規模が大きくなるにつれて、10人未満と答えた割合が減っている。社会的責任に携わる人数が10〜30人未満とした企業は、規模が100人未満では8.0%、100〜299人の規模では19.0%、300人以上の規模では21.7%と、規模が大きくなるにつれて、増えている。以上のことから、規模が大きくなると同時に、社会的責任に携わる人数も平行して増えていることがわかる。また、社会的責任に専念している人数に関しても同じ結果になっている。

 業種別に見ると(表9-5)、社会的責任に携わる人数、専念している人数ともに、業種に関わらず、10人未満が圧倒的割合を占めている。しかしながら、建設業に関しては、社会的責任に携わる人数を見てみると、10〜30人未満が23.1%、100人以上が15.4%と、他の業種より社会的責任に携わる人数が多い。だが、その中で社会的責任に専念している人数を見てみると、10人未満が73.9%、10〜30人未満が5.4%、30〜50人未満が1.1%、50〜100人未満が0%と、専念する人数となると、他業種と同様に、割合が減っている。

 創業年別に見ると(表9-6)、1949年以前、1949〜1968年、1969年以降と分けられるが、規模別、業種別と同様、社会的責任に携わる人数、専念する人数は、10人未満が多かった。このことから、創業年数によっての差は特にないのだということがわかる。

Copyright 2009, Kato Yuka

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