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10.バリアフリーへの取り組み(問16〜問17)

星川 聖彰

10-1.従業員用のバリアフリー設備(問16)

 問16では、「貴社が設置されている従業員用のバリアフリー設備(お客様との兼用の設備を含む)にすべて○をつけてください。」と質問した。 なお、問16は多重回答であるため、比率の合計は100%にはならない。
 【単純集計】の結果は、最も多かったのが「エレベーター」の42.4%、以下2番目が「多機能トイレ」の33.7%、3番目が「スロープ」の27.2%、4番目が「駐車場」の20.7%、5番目が「敷地内の通路」の15.2%、6番目が「更衣室」の12.0%、7番目が同率で「視覚障害者誘導用ブロック」と「避難設備」の7.6%、9番目が「その他」の6.5%、最も少なかったのが「エスカレーター」の3.3%で、無回答は31.5%であった。

 規模別に見ると(表10-1)、従業員数100人未満の企業は25社で、そのうち最も多かったのが同率で「スロープ」と「駐車場」の24.0%、以下3番目が同率で「エレベーター」と「多機能トイレ」、「敷地内の通路」の16.0%、6番目が同率で「更衣室」と「その他」の8.0%、8番目が同率で「エスカレーター」と「視覚障害者誘導用ブロック」の4.0%、最も少なかったのが「避難設備」の0.0%で、無回答は52.0%であった。
 従業員数100〜299人の企業は21社で、そのうち最も多かったのが同率で「エレベーター」と「スロープ」の38.1%、以下3番目が「多機能トイレ」の33.3%、4番目が同率で「駐車場」と「敷地内の通路」、「更衣室」で9.5%、7番目が「その他」の8.0%、最も少なかったのが「エスカレーター」と「視覚障害者誘導用ブロック」、「避難設備」の0.0%で、無回答は33.3%であった。
 従業員数300人以上の企業は23社で、そのうち最も多かったのが「エレベーター」の56.5%、以下2番目が「多機能トイレ」の39.1%、3番目が「スロープ」の30.4%、4番目が「駐車場」の21.7%、5番目が「敷地内の通路」の17.4%、6番目が「避難通路」の13.0%、7番目が同率で「視覚障害者誘導用のブロック」と「更衣室」の8.7%、9番目が「エスカレーター」の4.3%、最も少なかったのが「その他」の0.0%で、無回答は13.0%であった。
 規模別で無回答を除去してχ二乗値検定を行った結果、「エレベーター」と「避難設備」を設置しているのは、規模の大きい企業が5%水準で有意に多かった。なお、その他の項目においては規模による有意差は認められなかった。

 業種別に見ると(表10-2)、建設業は13社で、そのうち最も多かったのが同率で「エレベーター」と「多機能トイレ」の30.8%、以下3番目が同率で「駐車場」と「更衣室」の15.4%、5番目が同率で「スロープ」と「避難設備」の7.7%、最も少なかったのが同率で「エスカレーター」と「視覚障害者誘導用ブロック」、「敷地内の通路」、「その他」の0.0%で、無回答は53.8%であった。
 製造業は30社で、そのうち最も多かったのが「多機能トイレ」の30.0%、以下2番目が同率で「エレベーター」と「スロープ」の26.7%、4番目が「駐車場」の23.3%、5番目が「敷地内の通路」の20.0%、6番目が同率で「避難設備」と「その他」の10.0%、8番目が「更衣室」の6.7%、最も少なかったのが同率で「エスカレーター」と「視覚障害者誘導用ブロック」の3.3%で、無回答は30.0%であった。
 卸・小売業は15社で、そのうち最も多かったのが「エレベーター」の73.3%、以下2番目が「多機能トイレ」の40.0%、3番目が「スロープ」の33.3%、4番目が「駐車場」の26.7%、5番目が「視覚障害者誘導用ブロック」の20.0%、6番目が「更衣室」の13.3%、7番目が同率で「エスカレーター」と「敷地内の通路」、「その他」の6.7%、最も少なかったのが「避難設備」の0.0%で、無回答は13.3%であった。
 サービス業は33社で、そのうち最も多かったのが「エレベーター」の45.5%、以下2番目が「多機能トイレ」の36.4%、3番目が「スロープ」の30.3%、4番目が同率で「駐車場」と「敷地内の通路」の18.2%、6番目が「更衣室」の15.2%、7番目が同率で「視覚障害者誘導用ブロック」と「避難設備」の9.1%、9番目が「その他」の6.1%、最も少なかったのが「エスカレーター」の3.0%で、無回答は33.3%であった。
 業種別で無回答を除去してχ二乗値検定を行った結果、「エレベーター」を設置しているのは卸・小売業が73.3%と非常に多く、5%水準で有意差が認められた。なお、その他の項目においては業種による有意差は認められなかった。

 創業年別に見ると(表10-3)、1949年以前に創業した企業は29社で、そのうち最も多かったのが「エレベーター」の37.9%、以下2番目が「多機能トイレ」の34.5%、3番目が「スロープ」の24.1%、4番目が「更衣室」の13.8%、5番目が同率で「視覚障害者誘導用ブロック」と「駐車場」、「その他」の10.3%、8番目が同率で「敷地内の通路」と「避難設備」の6.9%、最も少なかったのが「エスカレーター」の3.4%で、無回答は24.1%であった。
 1949年〜1968年に創業した企業は27社で、そのうち最も多かったのが「エレベーター」の33.3%、以下2番目が同率で「多機能トイレ」と「駐車場」の29.6%、4番目が「スロープ」の25.9%、5番目が「敷地内の通路」の18.5%、6番目が同率で「避難設備」と「更衣室」の11.1%、8番目が「視覚障害者誘導用ブロック」の3.7%、最も少なかったのが同率で「エスカレーター」と「その他」の0.0%で、無回答は40.7%であった。
 1969年以降に創業した企業は28社で、そのうち最も多かったのが「エレベーター」の50.0%、以下2番目が「多機能トイレ」の35.7%、3番目が「スロープ」の32.1%、4番目が「駐車場」の28.6%、5番目が「敷地内の通路」の21.4%、6番目が同率で「更衣室」と「その他」の10.7%、8番目が同率で「エスカレーター」と「視覚障害者誘導用ブロック」の7.1%、最も少なかったのが「避難設備」の3.6%で、無回答は28.6%であった。
 なお、無回答を除去してχ二乗値検定を行った結果、全項目において創業年別では5%水準での有意差は認められなかった。

 障害者の雇用とバリアフリー設備の関係を調べるため、本設問と問20でクロス集計を行った。なお、問20の単純集計などについては「11.障害者の雇用」で後述する。
 集計結果(表10-4)は、まず障害者を雇用している企業は64社で、そのうち最も多かったのが「エレベーター」の45.3%、以下2番目が「多機能トイレ」の39.1%、3番目が「スロープ」の29.7%、4番目が「駐車場」の23.4%、5番目が「敷地内の通路」の15.6%、6番目が「更衣室」の14.1%、7番目が「視覚障害者誘導用ブロック」の10.9%、8番目が「避難設備」の7.8%、9番目が「その他」の3.1%、最も少なかったのが「エスカレーター」の1.6%で、無回答は29.7%となった。
 障害者を雇用していない企業は28社で、そのうち最も多かったのが「エレベーター」の35.7%、以下2番目が同率で「スロープ」と「多機能トイレ」の21.4%、4番目が同率で「駐車場」と「敷地内の通路」、「その他」の14.3%、7番目が同率で「エスカレーター」と「避難設備」、「更衣室」の7.1%、最も少なかったのが「視覚障害者誘導用ブロック」の0.0%で、無回答は35.7%となった。
 そして、無回答を除去してχ二乗値検定を行った結果、全項目において5%水準での有意差は認められず、障害者の雇用の有無と従業員用のバリアフリー設備とは関連がないと判断できよう。

10-2.消費者向け施設の所有状況(問17)

 問17では、「貴社は、店舗などお客様がいらっしゃる施設をお持ちですか。」と質問した。【単純集計】の結果は、「はい」が26.1%(24社)で、「いいえ」が67.4%、「無回答」は5.4%であった。

 規模別に見ると(表10-5)、従業員数100人未満の企業は25社で、そのうち「はい」と回答した企業は20.0%、「いいえ」と回答した企業は76.0%、「無回答」は4.0%であった。 従業員数100人から299人の企業は21社で、そのうち「はい」と回答した企業は23.8%、「いいえ」と回答した企業は71.4%、「無回答」は4.8%であった。 従業員数300人以上の企業は23社で、そのうち「はい」と回答した企業は21.7%、「いいえ」と回答した企業は69.6%、「無回答」は8.7%であった。 この集計結果から、消費者用の施設を所有している企業の割合はいずれも2割前後であり、規模別では差は見られなかった。

 業種別に見ると(表10-6)、建設業は13社で、そのうち「はい」と回答した企業は7.7%、「いいえ」と回答した企業は92.3%、「無回答」は0.0%であった。 製造業は30社で、そのうち「はい」と回答した企業は10.0%、「いいえ」と回答した企業は86.7%、「無回答」は3.3%であった。 卸・小売業は15社で、そのうち「はい」と回答した企業は53.3%、「いいえ」と回答した企業は33.3%、「無回答」は13.3%であった。 サービス業は33社で、そのうち「はい」と回答した企業は39.4%、「いいえ」と回答した企業は54.5%、「無回答」は6.1%であった。 この集計結果から、消費者用の施設を所有している企業の割合は、卸・小売業が他業種と比べて高く、建設業や製造業が低いことが伺える。 また、卸・小売業では半数以上が消費者用の施設を所有しているのに対して、建設業や製造業では全体の1割以下であることから、業種間の差が大きいことも伺える。

 創業年別に見ると(表10-7)、1949年以前に創業した企業は29社で、そのうち「はい」と回答した企業は17.2%、「いいえ」と回答した企業は79.3%、「無回答」は3.4%であった。 1949年〜1968年に創業した企業は27社で、そのうち「はい」と回答した企業は29.6%、「いいえ」と回答した企業は63.0%、「無回答」は7.4%であった。 1969年以降に創業した企業は28社で、そのうち「はい」と回答した企業は32.1%、「いいえ」と回答した企業は64.3%、「無回答」は3.6%であった。 この集計結果から、新しい企業ほど消費者用の施設を持っている割合が高いことが伺える。

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