問1では「貴社の従業員数を記入してください。なお、「団塊の世代」とは1947年(昭和22年生れで誕生日がきて満60歳)から1949年(昭和24年生れで誕生日がきて満57歳)の3年間に生まれた年齢層のことを指します。」と質問した。
【単純集計】の結果は、正規従業員数の平均値は345.42人。うち団塊の世代の平均値は20.17人。非正規従業員数は182.13人。うち団塊の世代は8.49人。派遣社員など直接雇用していない人の人数は28.45人。うち団塊の世代は0.45人。正規従業員数に占める団塊世代の割合の平均は約5.84%、非正規従業員数に占める団塊世代の割合は約4.66%、派遣社員等に占める団塊世代の割合は約1.58%と、団塊の世代は正規従業員に比べて、非正規、派遣等とその割合は低くなっている。
正規従業員数のうち団塊の世代の人数の比率を、少ない(2.98%未満)の57社(31.3%)、中程度(3.0%〜6.7%)の58社(31.9%)、多い(6.8%以上)の58社(31.9%)の3カテゴリーに再編し、団塊世代と呼ぶことにした 【度数分布】。
規模別に見ると (表1-1)、「99人未満」の企業では団塊世代の割合が「少ない(2.98%未満)」のが58.0%、「中程度(3〜6.7%)」は26.0%、「多い(6.8%以上)」は16.0%と団塊世代の割合が少ない企業が多く、反対に「100〜199人」の企業では「少ない」24.3%、「中程度」35.1%、「多い」40.5%、「200〜499人」の企業でもそれぞれ20.4%、30.6%、49.0%と団塊世代の割合が高い企業が多い。「500人以上」の企業では「中程度」が45.9%ともっとも大きいが、「99人未満」の規模のより小さな会社では、団塊世代の割合が低いことが特徴といえる。
業種別に見ると(表1-2)、「建設業」(「少ない」20.0%、「中程度」30.0%、「多い」50.0%)、「製造業」(「少ない」10.9%、「中程度」43.8%、「多い」45.3%)で団塊世代の割合が高く、逆に「卸・小売業」(「少ない」44.8%、「中程度」27.6%、「多い」27.6%)、「サービス業」(「少ない」53.6%、「中程度」28.6%、「多い」17.9%)では団塊世代の割合が低い。
創業年別に見ると(表1-3)、「1946年以前」に創業した企業(「少ない」14.0%、「中程度」37.2%、「多い」48.8%)、「1946〜1957年」に創業した企業(「少ない」8.9%、「中程度」35.6%、「多い」55.6%)と、創業年の比較的古い企業で団塊世代の割合が高く、逆に「1958〜1977年」に創業した企業(「少ない」44.2%、「中程度」37.2%、「多い」18.6%)、「1978年以降」に創業した企業(「少ない」65.0%、「中程度」25.0%、「多い」10.0%)と、創業年の新しい企業では団塊世代の割合が低くなっている。
大卒採用別に見ると(表1-4)、統計上、大卒採用動向と団塊世代の割合に関係性は見られなかった。
問2では「団塊の世代の方々の職種は何ですか。あてはまるものすべてに○をつけてください。」と質問した。
【単純集計】の結果は、67.0%の企業において団塊の世代は「管理職」についており、次いで団塊の世代が「技術職」、「事務職」についていると回答した企業が共に46.2%、「営業職」44.5%、「専門職」34.1%、「その他」14.8%であった。
規模別に見ると(表1-5)、「99人未満」の企業では団塊世代の人が「専門職」であると回答した企業は9.4%、「100〜199人」の企業で36.8%、「200〜499人」の企業で51.0%、「500人以上」の企業では少し減るものの45.9%と、規模が大きくなるにつれて「専門職」の団塊比率は増していく。「技術職」、「管理職」、「事務職」、「営業職」においても同様である。
業種別に見ると(表1-6)、「技術職」において「建設業」、「製造業」が78.3%、68.7%と団塊世代が多く、「管理職」では「建設業」、「製造業」に加えて「卸売業」も高いが、問1での結果同様いずれの職種においても「サービス業」がもっとも団塊の世代が少なくなっている。
創業年別に見ると(表1-7)、ここでも問1の結果と同じく、「1945年以前」、「1946〜1957年」では団塊世代が多いが、「1978年以降」がすべての職種でもっとも少ない結果となっている。
大卒採用別に見ると(表1-8)、大卒の採用動向と団塊世代の職種の間に統計的関係性は見られなかった。
団塊世代別に見ると(表1-9)、団塊世代の割合が「多い」企業がすべての職種において団塊世代が最も多く、反対に団塊世代の割合が「少ない」企業が最も少なくなっている。
問3では「団塊の世代の定年退職が始まる前の2006年度と比べて、団塊の世代の定年退職が始まる2007年度から2009年度にかけての採用者予定数は、増減がありますか。」と質問した。
【単純集計】の結果は、2007年度は新卒者、中途採用者、非正規従業員、派遣社員等すべての項目において「そのまま」と答えた企業がほぼ4割と最も多かった。2番目に多かったものについて違いがあり、大卒者(30.2%)、中途採用者(33.0%)は「増やす」と回答した企業が3割以上あり、その一方で「非採用」は15%程度(大卒者14.8%、中途採用者15.9%)であったのに対し、大院卒者(35.7%)、高専・専門・短大卒者(32.4%)、非正規従業員(28.0%)、派遣社員等(30.2%)は「非採用」と回答した企業が3割程度で、反対に「増やす」が10%台(大院卒者14.3%、高専・専門・短大卒者18.7%、非正規従業員15.9%、派遣社員等12.6%)となった。2008年度、2009年度もほぼ同様の結果となったが、「未定」とした企業が2008年度で20%台、2009年度になると40%前後となり、2007年1月時点では採用予定の決まっていない企業が多い。
規模別に見ると
2007年度では(表1-10)
、「中途採用者」以外のすべてでなんらかの関係が認められ、大学院卒新卒者では「99人未満」の企業で「非採用」が55.3%、「100〜199人」39.4%、「200〜499人」34.8%、「500人以上」27.8%と規模が小さいほど「非採用」の割合が高くなる傾向があり、「派遣労働者」も同様の傾向があった。「大卒新卒者」
(表1-11)
と「短卒新卒者」
(表1-12)
では上記と同様規模と「非採用」に同様の傾向が認められるとともに、それぞれ採用を「増やす」と答えた企業は規模が大きくなるほどその割合が高くなった。「非正規従業員」(表1-13)については、「100〜199人」の企業で、「非採用」の割合がもっとも高く、反対に採用を「増やす」と答えた割合は最も低い結果となった。
2008年度
(表1-14)でも、大学院卒新卒者は「500人以上」の企業で「増やす」と答えた割合が最も多く(38.5%)、反対に「非採用」と答えた割合は少なかった(15.4%)。一方、「非採用」の割合が最も高かった(34.5%)「「99人未満」の企業で「増やす」と答えた割合も34.5%と高い結果となった。「大卒新卒者」
(表1-15)
では「増やす」と答えた企業が高い割合を維持し、「減らす」、「非採用」と答えた企業はそれぞれ平均5.1%、4.4%と積極的な採用がうかがえる。「短卒等新卒者」
(表1-16)
では500人未満の企業では大きな差は見られなかったが、「500人以上」の企業では突出した「増やす」の高さ(51.9%)と「非採用」の低さ(3.7%)が目立ち、規模の大きな企業でのみ採用の増加が見込まれる。「中途採用者」
(表1-17)
、「非正規従業員」
(表1-18)
、「派遣労働者」
(表1-19)
では統計上の関係性はみられなかった。
2009年度に入っても「大卒新卒者」
(表1-20)では採用の増加が続き(「増やす」43.6%)、「減らす」、「非採用」と答えた企業はそれぞれ3.6%、4.5%と低いままであった。「短卒等新卒者」
(表1-21)でも「500人以上」の企業のみが高い採用(「増やす」52.6%)を続ける。
業種別に見ると 2007年度(表1-22)、2008年度(表1-23)、2009年度(表1-24)ともに採用動向と業種に際立った関係性は認められなかった。
創業年別に見ると、2007年度では 「大卒新卒者」 (表1-25)、 を「非採用」と答えた企業は「1946年以前」4.5%、「1946〜1957年」10.9%、「1958〜1977年」13.0%、「1978年以降」35.0%と創業が新しいほど「大卒新卒者」を「非採用」と回答した企業が多く、「1946〜1957年」の企業で「増やす」の割合が高くなっている(43.5%)。「短卒等新卒者」 (表1-26) においては、「1945年以前」、「1946〜1957年」創業の企業で、「増やす」がそれぞれ21.4%、26.1%と比較的高く、逆に「非採用」は28.6%、23.9%と低くなっているのに対して「1958〜1977年」、「1978年以降」では「増やす」がそれぞれ13.3%、16.2%と低く、「非採用」が40.0%、45.9%と高くなっており、創業の新しい企業は、古い企業と比べて「短卒等新卒者」の採用に消極的であると考えられる。「中途採用者」 (表1-27) については、「1978年以降」創業の企業が「増やす」(46.2%)を最も高く回答し、「非採用」(10.3%)は最も低かった。新興企業の中途採用に対する積極性がうかがえる結果といえる。2008年度 (表1-28)、2009年度(表1-29)でも「大卒新卒者」に対して2007年同様の傾向が見られる。
大卒採用別に見ると
2007年度では、「大卒採用」を「増加」、「現状維持」、「非採用」と答えた企業は「大学院卒新卒者」
(表1-30)、
「短卒等新卒者」
(表1-31)、
「中途採用者」
(表1-32)、
でもそれぞれ「増やす」、「そのまま」、「非採用」と回答した割合が最も多く、大卒採用動向と同様の状況にあることがわかった。
2008年度では、「大学院卒新卒者」
(表1-33)、
「短卒等新卒者」
(表1-34)
で同じ傾向が続く。
「中途採用者」については、2008年度
(表1-35)、2009年度(表1-36)と大卒を「非採用」とした企業で「中途採用者」を「増やす」と答えた企業が増加する傾向(20.0%→33.3%(2008年度)→42.9%(2009年度))がうかがえる。
団塊世代別に見ると(表1-37)、団塊世代と2007年度採用動向になんら統計上の関係性は見られなかった。これは企業の採用状況が好転したことと、いわゆる『2007年問題』の間には関連がないことを意味する。(ただし、企業が『2007年問題』に備えてすでに人材の確保を果たしつつあるため、2007年度にはすでに団塊世代のギャップを埋めるための採用は終えているという可能性は否定できない) 2008年度、2009年度でも、団塊世代の割合と採用数を「増やす」ことの間には関連が見られなかった。
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