2月10日、日本文化研究所の主催により、公開研究会「電波な声:復帰前沖縄における怪情報、抵抗、メディア Charged Voices: Rumor, Resistance, and Radio in Pre-Reversion Okinawa」が開催されます。

諸般の事情により、開催を延期いたします。日程を変更して開催する予定ですが、現在日程調整中です。

日時 2022年2月10日(木)18:30~20:30 延期・開催未定
会場 Zoomを用いたオンライン開催
発表者 ドリュー・リチャードソン Drew Richardson(カリフォルニア大学サンタ・クルーズ校、Ph.D. Candidate)
コメンテーター 崎濱紗奈(東京大学東洋文化研究所東アジア藝文書院特任研究員)
使用言語 日本語
主催 國學院大學研究開発推進機構日本文化研究所

 参加費無料。参加をご希望の方は、申し込みフォームより2月8日(火)までにお申し込みください。

※なお、記録のためにZoomセッションを録画させて頂きます。ご了承ください。

【発表要旨】

 Voice of Americaはコンチネンタル・エレクトロニクス社によって放送されていたが、その放送にあたって、同社は「世界で唯一100万ワットの電波送信機を持つ会社」であり、そのワット数は「アメリカ、プエルトリコ、ハワイ、アラスカにある全ての普通の放送局の電波出力の合計」に相当する、と1950年代の広告で自慢していた。実際には、この100万ワットの電波塔は数えるほどしか建設されなかったが、ほとんどが軍事利用を目的とするものであって、その一つが沖縄に置かれたのである。1963年から1971年にかけて、アメリカの占領下にある沖縄県国頭村の近くに、この超高出力の電波塔が建設されて稼働し、そしてこれが奇妙で超自然的な怪情報の温床となった。この電波塔は、超高出力で Voice of America を中国に放送していたため、その近くでは様々な怪現象が見られた。例えば、近隣では鍋からラジオ放送が聞こえたり、テレビが火花を散らしたりした。また、地元の農民達は、電球に銅線を1本繋いでおくだけで、放送時間になるとその電球が点灯することを発見したりしたのである。そして、暗号が流されている、木々が鳴る、怪しい火が見られる、人や動物が感電死した、といった様々な怪情報が流布した。アメリカ当局は、このような怪情報が地元紙に掲載されて流通するのを注意深く監視していた。というのも、それが占領に対する抵抗運動へと人々を動員することを危惧していたのである。本発表では Voice of America の歴史と、復帰前の沖縄における怪情報と抵抗の関係について考察する。さらに、農民反乱から戦後沖縄までを視野に入れて、メディアとしての怪情報の持つ革命的な潜在力について再考する。