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森敦研究会 活動報告
研究会の活動

 森敦研究会は、原則的に、毎週火曜日夕方と土曜日午後に活動してきました。森敦「われ逝くもののごとく」の自筆原稿の異同を中心に精査し、まとめました。また、同時に物語内容へのアプローチとして、語釈の検討を行いました。
 さらに、地理的地勢的な検討も加え、実際に夏季休暇等に物語舞台となった庄内地方を訪れ、現地調査を行いました。現地調査は、現地の地理的な調査だけではなく、鶴岡市立図書館、郷土資料館での文献調査をはじめ、現地の方にもインタビューし、方言や言葉の意味、風習についてうかがいました。
 当たり前ですが、庄内地方と言っても、各地域によって異なった方言、風習があることを、肌身をもって知ることができたのは、大切な経験でした。それらの成果も踏まえて、各ページはでき上がっています。

研究会の記録

 以上の成果について、とりわけ自筆原稿などの精査で得た異同などに、現地調査の実感を加えた成果報告の機会として、森敦文学研究会を開催しました。詳細は以下の通りです。
 森富子氏には、森敦の身近にいた方にしかわからない〈秘話〉をご講演いただき、貴重な機会となりました。
 黒田大河先生、中村三春先生にも毎回シンポジュウムにご参加いただき、刺激的なご発表と森敦研究の可能性をお示しいただきました。塚田修一先生には、社会学的な視点から先端的なご発表をいただき、森敦文学の有する可能性を開いていただきました。

研究方法を考える

 これからも森敦文学研究は続きます。それは森敦文学の潜在的な可能性を開くことが目指されているでしょう。森敦文学をどこまで読み抜いていけるか、解釈の可能性への挑戦です。
 さらに考えられるのは、その可能性について、どのような表現手段で発表していくことができるかということです。記されている物語を読むことに、物語舞台の調査や地図の考察などを加えていくことに、どのような表現がふさわしいのか。
 この「森敦文学研究の世界」サイトは、研究会が得た知見に基づき、表現のアイデアの試みとして実現しました。ですが、もっと別の技法もあるはずでしょう。表現方法の可能性への挑戦です。
 森敦文学研究には、その追究の可能性が秘められています。
 この研究会で試みてきたプロジェクション・マッピングやスマートグラスを用いた実写と影絵の組み合わせなど、現在のテクノロジーは、文学研究の在り方とくにその表現方法について考え、新しい発想を促すほどの十分な展開を遂げています。
 活字を読み、物語をイメージすることから、身体が臨み体感的にイメージを獲得すること、その技法の追究は、文学研究にも、きっとあるはずです。それらについて、物語表現の解釈とともに「考察・覚書」ページに記しました。これまでの森敦研究からこれからの森敦研究へ―本研究会がささやかながらでも、寄与できればと思っています。

エッセイ

 森敦研究のために、作品を読み、資料の調査を行い、取材に行きますと、折々に感じることがあります。それらをエッセイとしてかたちにしてみました。森富子氏をはじめ、外部の方にもお寄せいただきました。研究には載らないのかもしれませんが、感覚したことがたしかにあるのです。

第1回森敦研究会

テーマ 森敦文学研究〈わたし〉が語る
日時 平成28年12月17日(土) 13:00~17:10
場所 國學院大學渋谷キャンパス1号館1105教室・1102教室
日本学術振興会平成28年度科学研究費助成事業(基盤研究(C))
「自筆資料および実地踏査による森敦文学の総合的研究」
研究課題番号16K02417
内容 13:00~13:30
1105教室
開会挨拶・研究成果中間報告〈わたし〉の技法
井上明芳(國學院大學文学部准教授)
シンポジウム〈わたし〉が語る(1105教室)
基調発表
〈汎通する自己〉としての作品-『意味の変容』から『酩酊船』へ遡行する―
黒田大河(滋賀大学教育学部特任准教授)
基調発表
方法としての〈わたし〉-『われ逝くもののごとく』への道程―
中村三春(北海道大学大学院教授)
全体討議
 
講演
森敦『われ逝くもののごとく』の執筆秘話
森富子氏
 
1102教室
森敦研究会による研究成果発表
テーマ 「理論」「作品」「草稿」「年譜」に基づいたアクティブ・ラーニング
森敦研究会 新木悠吾+山田愛美+齋藤樹里+伊藤秋絵+須賀菜穂子+小玉瞭平+廣松大煕+夏田公理+山本美紀(創価大学助教)
 
 

第2回森敦研究会

テーマ 森敦文学研究 物語を〈体験〉する
日時 平成29年12月9日(土) 12:30~17:00
場所 國學院大學渋谷キャンパス2号館2102教室
日本学術振興会平成28年度科学研究費助成事業(基盤研究(C))
「自筆資料および実地踏査による森敦文学の総合的研究」
研究課題番号16K02417
内容
開会挨拶・研究成果中間報告
井上明芳(國學院大學文学部准教授)+森敦研究会
シンポジウム 物語を〈体験〉する
基調発表
『われ逝くもののごとく』と「ハーメルンの笛吹きじさまの話」
中村三春(北海道大学大学院教授)
基調発表
『われ逝くもののごとく』の〈わたし〉考
ーメタフィクションとしての語りー
黒田大河(滋賀大学教育学部嘱託講師)
基調発表
『われ逝くもののごとく』の〈キャラ〉を読む
塚田修一(東京都市大学・大妻女子大学非常勤講師)
全体討議
司会 井上明芳
特別講演
タイトル
森富子氏

森敦研究会による研究発表
テーマ 「われ逝くもののごとく」の物語をスマートグラスやプロジェクションマッピングなどの映像によって〈体験〉する。
森敦研究会 山田愛美+新木悠吾+和田みのり+前田夏菜子+山本美紀(創価大学助教)
 
 

第3回森敦研究会

テーマ 森敦文学研究 言葉に〈ふれる〉
日時 平成30年12月15日(土) 12:30~17:00
場所 國學院大學渋谷キャンパス2号館2102教室
日本学術振興会平成28年度科学研究費助成事業(基盤研究(C))
「自筆資料および実地踏査による森敦文学の総合的研究」
研究課題番号16K02417
内容
開会挨拶、研究成果報告
井上明芳(國學院大學文学部教授)+森敦研究会
シンポジウム 言葉に〈ふれる〉
基調発表
森敦「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」論
―生と死を接続できるのかー
中村三春(北海道大学大学院教授)
基調発表
「意味の変容」の変容
黒田大河(滋賀大学教育学部嘱託講師)
基調発表
「意味の変容」の展開
―重層する〈意味〉―
井上明芳
ディスカッション
ファシリテーター 山本美紀(創価大学助教)
 
ブックトーク
森敦研究会メンバー
 
特別講演
「意味の変容」のプロセス
森富子氏
 
森敦研究会による研究発表
テーマ 「われ逝くもののごとく」のリアル/フィクションを、物語の物語に基づいて表現する。現地調査や自筆原稿の調査結果を活かし、リアルとフィクションを映像化して提示する。
森敦研究会 新木悠吾+前田夏菜子+佐藤知見+栁谷智佳+尾川絢香
 
 

第4回森敦研究会

テーマ 森敦文学研究 neo〈境界〉思考
日時 令和2年1月11日(土) 12:00~17:00
場所 國學院大學渋谷キャンパス2号館2102教室
令和元年度國學院大學特別推進研究助成金(國特推助第108号)
「森敦文学の文化資源としての可能性をめぐる総合的研究」
内容
開会挨拶・主旨説明
研究発表
翻訳の〈境界〉―森敦「天上の眺め」と「天上에서」―
齋藤樹里(國學院大學大学院博士後期課程2年)
森敦「われ逝くもののごとく」の時間と〈境界〉
前田夏菜子(國學院大學大学院博士前期課程2年)
研究成果報告
〈境界〉を視る―森敦「かての花」を中心に
新木悠吾(森敦研究会、國學院大學大学院聴講生)
シンポジウム 森敦文学研究 neo〈境界〉思考
基調発表
テクスト・あいだ・時間―『酩酊船』の境界思考―
黒田大河(大阪樟蔭女子大学教授)
〈境界〉などというものはない―森敦「月山」の小説と映画―
中村三春(北海道大学大学院教授)
〈境界〉の期待を越えて―分かつから達するへ
井上明芳(國學院大學教授)
ディスカッション
閉会