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セメスター留学たより<3>
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中国文学科セメスター留学(9月の便り)

 (引率者からの便り)

セメスター留学参加者26名は829日(水)に留学先である中国天津市の南開大学に到着した。宿舎は学内の留学生寮の一つ「愛大会館」。現地に適応する期間を過ごした後、93日(月)の開学式を迎えた。開学式は、本学と南開大学の双方から教職員が多数出席し、東方芸術大楼にて挙行された。授業は、開学式終了後すぐに愛大会館内の教室で開始された。

この留学のカリキュラムは、午前の中国語の授業(午前8時〜1140分)と午後の中国文化講座(二胡、絵画、武術)・中国古典文学・引率教員担当講座(午後2時〜340分)から構成されており、さらに月曜日と水曜日の早朝(午前640分〜720分)には太極拳の授業が行われる。中国文化講座の中でも二胡の授業は学生に人気があり、みな熱心に練習に励んでいる。中には自費で1600元(約26,000円)もする高価な二胡(胡弓)を購入した者もいた。

すべて中国語で行われる授業に、当初は戸惑いを見せる学生もいたが、第3週目を過ぎる頃には聞き取り能力も向上し、教員とのコミュニケーションも円滑に行えるようになってきた。最近では留学生活に順応し、「毎日が充実していて年を取るが早く感じられる」との声も聞こえてきている。

97日(金)には、愛大会館201教室で語学パートナーを探すための「集団見合い」が行われた。これは、授業を補完する目的で南開大学漢語言文化学院(略称漢院)が考えた企画であり、本学の学生に同世代の中国の学生(漢院所属)を引き合わせて、中国語習得の手助けをさせようとするものである。これ以後、授業時以外に週1・2回程度の語学パートナーとの勉強が始まった。はじめのうちは、語学パートナーに予習・復習や宿題の手伝いをしてもらう学生が多かったが、現在では、若者同士の交流を楽しみ、あちこちで笑い声が響いている。授業を補うに余りあるものがあると感じている。

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日(金)には、課外活動として講演会を開催した。講師には、神奈川県教育委員会から南開大学へ日本語講師として2年間派遣されている県立藤沢西高校の先生(本学院友)を迎え、自らの体験によって中国における戸惑いや感動を語られ、「異文化を体験し、世界を知り、自分探しをすること」「日本文化を再認識し、世界に発信すること」の大切さを説かれた。学生たちは真剣に聴き入り、ぜひ今後の留学生活に生かしていきたいという感想を漏らしていた。

15日(土)には、北京日帰り旅行を行った。本学青葉雅楽会が、日中友好35周年の記念事業「日中文化・スポーツ交流年」のイベントに参加して雅楽の演奏を行うもので、それを応援するのが目的である。まず天壇公園・琉璃廠を参観した後、会場の王府井に赴いた。会場が混み合っていたので、演奏が行われる時には遠くからしか応援できなかったが、青葉雅楽会の演奏が北京で最も賑やかな繁華街に響き渡ったのを、みなで感動しながら聴き入った。

 

21日(金)は、そろそろ日本の味が恋しくなっている学生たちのために愛大会館の厨房を借り、大鍋二つにカレーを作り、カレーライスを振る舞った。南開大学の前学長、教職員も招待し、大変賑やかなカレーパーティーになった。学生たちはもちろん南開大学の皆さんにも大好評であった。

 

22日(土)には、教学実践活動の一環として、天津市郊外に位置する宝抵区石辛庄村を訪問した。到着後、村役場の会議室において馬志新書記から、村の概要について説明がなされた後、45人のグループに別れ各農家を訪問した。餃子を一緒に作り、村人が日常食べている食事をご馳走になった。各農家の畑を見て回り、家族との草の根交流を楽しんだ。その後、再び村の会議室で馬書記から村の印象を聞かれた。学生たちは、各農家の人々から温かく迎えて戴き感謝していること、料理が美味だったこと、別れの際には、感激のあまり涙があふれ出てきた等々の率直な感想を述べた。村を後にする時、馬書記から何時でも良いからまた是非遊びに来てほしいと言われ、バスの中から何時までもなごりを惜しむように手を振っていた。

 

24日(月)には、先週の金曜日に行われた第一回のテストの結果発表があった。このテストは二週間に一度実施され、到達度を確認していくもので、60点未満の場合は二回の補講の後、再試験を受けなければならない。普段からしっかりと学修している者は、成績が良かったが、まだ修学旅行的な気分が消えてない者は、得点が低かったため、別室に集め、再度留学の意義を説き、注意を喚起した。引率者のドアの前に毎晩「在室確認表」を貼り、学生に対して体調管理や授業の予習・復習、音読を習慣づけるようコメントを書いているが、まだまだ徹底されていない。一ヶ月経過後、再度個別の面接時間を設け、指導していきたいと考えている。

 

25日は、中国の旧暦815日にあたり中秋節を迎えた。南開大学の最高位者である進文書記から国際交流処を通じてわざわざ学生達に月餅が届けられた。この日は家族が集まり、月餅・果物などを食べながら、名月を観賞し、楽しい話で盛り上がる。丸い月を家族団らんの象徴と考え、「団円節」(だんえんせつ)とも呼ばれる。担当の先生方からも学生に月餅のプレゼントがあった。引率者からは普段学生達が大変お世話になっている阿姨(アイ)(各フロアの部屋とフロントの管理をするおばさん)たちに感謝の印として月餅をプレゼントした。

次回の便りは、10月末になる予定です。(下山記)

 


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